『素晴らしい食卓』(『生命式』より)
『素晴らしい食卓』
村田沙耶香著
前世は魔界都市ドゥンディラスで戦う超能力者だったらしい妹(久美)が、フィアンセとご両親を連れてくるという。
そして、圭一のご両親に、久美の故郷ドゥンディラスの料理を振る舞うことになったというところで、物語は、始まる。
いろいろ論点が、散りばめられていて、どれをつっこんだら良いか迷うが、
①文字通りのテーマは、食文化は、継承されるべきなのか?ということなのだろう。
圭一のご両親は、久美には、故郷の味、虫の佃煮?を継承して欲しいと思っているのだけど、息子の圭一は、そもそも、虫を食べないばかりか、極度の偏食で、お菓子とフライドポテトだけで育ってきたらしい。圭一は、食文化の押し売りは、おかしいと主張する。
食文化の伝統を守るべきか否かは、多くの要素が関わる複雑な問題といえる。伝統を守ることは、その地域や文化の歴史、アイデンティティを維持し、環境との調和を保つ一方で、食文化の革新や進化、科学的知見に基づいた健康的な食事、持続可能性や倫理的観点を重視することも重要。そのため、これらの要素をバランス良く考慮し、時と場所、状況に応じて適切な判断を下すことが求められる。
そうはいっても、夫婦になるのに、お互いの食文化に関わらないというのは、少し違うのではないかと思ったりは、した。
②そこで、次に夫婦の役割って何だ?
夫婦の役割は文化や個々の価値観により多少異なることがあると思われるのだけど、一般的には以下のような要素が含まれるはず。
1. 相互支援:夫婦はお互いを精神的、感情的、物理的に支え、助け合う役割を果たす。
2. コミュニケーション:互いの考え、感情、懸念などを正直に共有すること。
3. 共同生活:夫婦は一緒に生活を共有する。
4. 愛情の表現:愛情と尊敬の感情は、夫婦関係を健康で幸せなものに保つためには不可欠。
5. 意思決定の共有:夫婦は一緒に重要な決定を下す役割も果たす。これは子育て、財政管理、生活スタイルの選択など、様々な事柄に関わる。
本書に戻ると、圭一の発言が、気になった。
「僕と久美さんは互いの作ったものを決して食べない夫婦になります。」
夫婦になっても、食事は、個人の自由だという考え方。老夫婦に時々いるのだけど、、
食べるものが違うだけで、一緒に食べていれば、考え方としてはありなのかもしれないとは、おもった。
そうは言っても、私自身は、基本は同じものを食べてきた。
同じものを食べて、同じようなサイクルで共同生活をするから、似てくるのかなあとか、思ったりした。
確かに、食生活が、バラバラには、なりがちなではあるけどね。そうすると、夫婦であることの必要性は、薄くなっていくのかもしれない。
物理的には、シングルで生きる人も一定数は、いるわけなので、
というか、ドイツとか、ヨーロッパは、結婚に踏み込まず、同棲生活で、子供も共同で、育てている人々も多数いる。食生活の理由で結婚しないわけではないが。
日本も、法改正されると、そうなっていくのかもしれないと思ったりした。
私としては、結婚はともかく、パートナーは必要だと思っているけどね。