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【読書記録】『アドルフ』

『アドルフ』
ベンジャミン・コンスタン著


主人公・アドルフは、裕福な家庭で育ち、将来を嘱望される青年。アドルフは、世話になっているP伯爵の愛人・エレノールに恋してしまう。アドルフはエレノールに何度も愛を語り、ついにエレノールと結ばれる。

その後、アドルフのエレノールへの愛は冷めていく一方で、エレノールはアドルフを束縛していく。
アドルフは何度も別れを決意をするのだけど、エレノールのことを思うと、別れ話は切り出せず、苦しい関係は続く。互いに苦しい関係性の中で、エレノールは身体を壊して死んでいく。

物語の主題は何か?

愛情が深まることで依存が生じ、その依存が愛情の質を損なうといういわゆる、「愛のパラドックス」を現していることなのだと理解した。

愛情が深まることで生まれる相互依存関係は、一見して心地よいものに思えるのだけど、実際にはその関係性が双方にとって苦痛や傷をもたらす可能性があるということ。

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