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臨床心理士、公認心理師としてカウンセリングをしています。

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最近の記事

ケス

言わずと知れたイギリス映画の名画。監督は巨匠のケン・ローチ。  デザイナーのagnes b.が「好きな映画」と推し活し(そのおかげで日本でも公開されるようになりました)、スミスのモリッシーが「困難にぶち当たるといつも思い出す映画」と言い、オアシスのノエルギャラガーも影響を受けたと公言しています。  マンチェスター(モリッシー、ノエルギャラガーの出身地)やリバプール(ビートルズ)などロックミュージックとサッカーの聖地では、「炭鉱で働くか、ミュージシャンかサッカー選手になるしか生

    • ビフォアミッドナイト

      ジュリーデルピーの指摘が刺さります。 「あなたって隠れマッチョなのよね」、「あんたの愛撫っていつもワンパターン」などなど。 そして極めつけはイーサン・ホークの浮気問題。 「カラマーゾフの大審問官で盛り上がってメールのやりとりしてたあの女は何なの?」  カラマーゾフの大審問官の章は人が人たるに値する倫理とは何か、を理知的思考の塊である次男イワンが意外にも寓話的に語るという部分です。しかも寓話的ながら登場する悪魔の嫌らしさは圧巻です。  まさにイーサン・ホークとジュリー

      • 失われた時を求めて 2

        失われた時を求めて プルースト 岩波文庫版  本作はどこからどうみても恋愛小説という唯一無二の小説です。ここまで同性愛と異性愛を絡めて密接につながりあっていることが書かれた作品は他にないのではないでしょうか。  若干ディテールは違いますが、だいぶ平たくざっくりと、かつ偏った見方で本作の考察をしたいと思います。  本作はまず、株のデイトレーダーで億万長者となったスワンが業界ナンバーワンのキャバ嬢オデットに恋をするところから始まります。とにかく貢ぐこと貢ぐこと。オデットはそれを装

        • aikoのカブトムシとブルーハーツ

          音楽番組でaikoの「カブトムシ」のMVが流れていた。 いい曲である。男の自分でも沁みる。 リリースされたのは自分が20代後半で、ある意味恋愛狂騒曲の時期だったので、もっとドンピシャだったはずなのに、あの頃はあまり好きとは言い難かった。といってもアンチ巨人ファンが巨人ファンであるように、多分気になって仕方なかったのだと思う。 ブルーハーツは『人にやさしく』という曲に見られるように、「気が狂いそう」から始まって「優しい歌が好きで」と真逆な言葉を続ける天才的なソングライティ

          サイコとグレートマザー

          サイコ 出ましたね。やっぱり本作でも。 鳥  鳥のはく製ですが。 ヒッチコックの映画にはマザコン男がよく出てきます。 「北北西に進路を取れ」や「裏窓」はマザコンを乗り越えた主人公の男が真のパートナーを見つけて結ばれる話でした。「北北西に進路を取れ」ではナイフなどの飛来物で人が殺されるのですが、あれは「鳥」の代理物であるとする説があります。 そう、鳥(及びその代理物)って「母なるもの」の象徴らしい。 サイコでは鳥のはく製を集めている男は亡き母の亡霊を追い求めるかの

          サイコとグレートマザー

          恋人たちの予感と禁止の禁止

           若いときに観たときはあまり面白いと思わなかったのですが、azushi.317さんのインスタのレビューを観て、もう一度観たら面白かったです。  ロブライナー監督はスタンドバイミーでリバーフェニックスと主人公の男の子とのある意味で同性愛的なものと友情を描いていると思います。それとは対照的に本作では愛と異性の友情を描いたとも言えるかもしれません。  愛と友情。多分本作が出るまで、この両者が同時に成立するの?みたいなテーマってなかったんじゃないでしょうか。スタンドバイミーのよう

          恋人たちの予感と禁止の禁止

          タワーリングインフェルノに見るdisaster問題の変遷

          パニックムービーの祖と言われている名画です。火事映画の祖とも言われていて、後のバックドラフトにも影響を与えたと言われています。ポール・ニューマン、スティーブ・マックイーン、フェイ・ダナウェイと役者も揃っています。それにしてもスティーブ・マックイーンの消防士のジャケットのかっこいいこと。これは日本でも流行している英国王室御用達のバブアージャケット(ユニクロもオマージュ服を販売してますね)をモデルとした服です。 バブアーは結構高級品で、私も持っていますが、連れ合いから高い高いと

          タワーリングインフェルノに見るdisaster問題の変遷

          LAコンフィデンシャルに見る女性像

          若いときに観たときはそんなに面白いかな、と思っていたのですが、 インスタのazushi.317さんのレビュー(本作品に限らず、紹介されている映画がエンタメと作品性と絶妙なバランスでセレクトされたラインナップです)を見て、とても魅力的に紹介されていたので、見返してみました。 作品紹介はそちらに譲るとして、まずは感想です。 セットや服など、どれも古き良きアメリカの粋が詰まっていて、見ているだけで楽しいです。登場人物たちのスースもお洒落です。ファッションのお手本です。話の筋も

          LAコンフィデンシャルに見る女性像

          異邦人 カミュの描く不条理とは?

          カミュの異邦人といえば不条理。でも読んでいくと不条理ってどこが?と初めて大学生のときに読んだときには思いました。太陽のせい、とは何だかよくわからないけどゴダール映画みたいにお洒落な意味かしらん?とか。  しかし幾つか評論を読むと、面白さ100倍です。太陽のせい、までには幾つかの段階があります。 1  お母さん問題 母性神話にも通じますが、主人公は別にお母さんを大切に思っていない訳ではないけれど、マザコン的なところがありません。それじゃダメ、お母さん大事でしょ、もっとベタベタし

          異邦人 カミュの描く不条理とは?

          失われた時を求めてとキャバクラ

          同窓会で、酒が入ってくると、男子たちがキャバクラがどうのこうのと盛り上がっていた。お酒が飲めない自分はキャバクラに行ったことがない。だから何がいいのかわからず、すっかり大人になった女子たちと、あっちのほうでキャバ嬢にベンツ一台分貢いだだの何だのと言ってるね、と冷静に会話していた。そういえばキャバクラを舞台にしたドラマや映画が沢山あって、石原さとみや広瀬アリスをはじめ、なんだか夢のような美女が演じていることも多い。日本人ってどうしてこんなにキャバクラ好きなんだろうと改めて思った

          失われた時を求めてとキャバクラ