ROUNDERS(ラウンダーズ)

「競馬は文化であり、スポーツである」をモットーに、世代を超えて読み継がれていくような、普遍的な内容やストーリーを扱った、読み物を中心とした新しい競馬雑誌です。vol.1「調教」、vol.2「ジョッキー」、vol.3「野平祐二」、vol.4「馬見」を特集。amazonにて販売中!

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最近の記事

ポジションが全て

勝利ジョッキーインタビューにて、福永祐一騎手が何度も繰り返し言っていたように、道中のポジションが全てであった。気難しい面のあるカフェファラオだからということのみならず、他の出走メンバーであったとしても、外の3、4番手がフェブラリーステークスを勝つためのポジションである。スタートしてから第1コーナーまでの間、意識的に勝ちポジを取りに行けたかどうかが勝敗を分けたとも言える。カフェファラオと福永祐一騎手だけは外を目指し、それ以外の馬とジョッキーは内ラチを向いていたのだ。 東京競馬

    • ディープインパクト超級

      エフフォーリアの異次元の強さだけが光った有馬記念、というと言いすぎだろうか。岡田牧雄氏は「ディープインパクト級」と語っているが、もしかするとそれ以上かもしれない。ディープインパクトは3歳時の有馬記念でハーツクライに負けたからではなく、エフフォーリアの競走馬としての強さがそれほどに規格外ということだ。上がり33秒台を問われる瞬発力勝負の舞台ではそれを上回る鋭さで勝利し、上がりの掛かる馬場やコースで行われるレースでは他馬をパワーとスタミナで圧倒する。パワー型とかスピード型とかスタ

      • 流れというもの

        競馬のレースにも人生にも流れというものがあって、それに上手く乗れた者が勝者となり、そうでないものが敗者となる。もちろん、流れに乗っただけでは勝てないので、勝ったということは強さを兼備していたということではあるが、流れに乗れずに敗れた者たちの中には強さを秘めている馬がいたということも忘れてはならない。今年の朝日杯フューチュリティステークスは、ドウデュースが流れ乗って勝った強い馬であり、2~5着馬は流れに乗れずに敗れてしまった強い馬たちということになる。 カジュフェイスがハナに

        • サンデーサイレンスのクロスは走る!?

          ダークペイジとトーホウラビアンが3番手以下の集団を引き離して逃げ、前半マイルが46秒4、後半マイルが47秒4という引き締まった流れをつくりだした。ウォーターナビレラ以下は平均ペースといったところか。後ろから行った馬たちにもチャンスがある、展開による有利不利の少ないレースとなった。1番人気に推されたナミュールは立ち遅れが響いて4着に敗れたが、それ以外の馬たちは力どおりの決着(着順)と考えて良いだろう。 勝ったサークルオブライフは、先行集団を見る形でレースを進め、最後の直線に向

          夢ではなかった

          最内枠を引いたソダシがスピードを生かしてそのままハナに立ち、譲ったインティ、行き切れなかったカジノフォンテンという並びで最初のコーナーを回った。初ダートのソダシにとっては砂をモロに被りたくないという意識が先頭に立たせたのだろうし、枠順が逆ならばインティが逃げていたはず。あらゆる要素が重なってソダシが誘導馬を務めることになり、前半マイルが49秒3、後半が48秒3というスローペースに落ち着き、前に行った馬たちにとって有利な展開となった。 勝ったテーオーケインズは、今回はスタート

          種牡馬としての未来に飛び立った

          コントレイルがジャパンカップで有終の美を飾った今、この馬に思い入れのある私としては実に晴れやかな気持ちではあるが、ずっと一点だけ曇りがある。それはホープフルSのレース後、ノースヒルズのGMである福田さんとの会話にある。 「おめでとうございます!」と声を掛けると、「福永騎手が上手く乗ってくれました。それにしても、ひとつ勝つのは難しいですね」と福田さんはニッコリと微笑んでくれた。それに対して私は「去年のサートゥルナーリアはレース後もゆったりと歩けていたので、コントレイルにとって

          種牡馬としての未来に飛び立った

          あの日のことが思い出される

          内からホウオウアマゾン、クリノガウディーが先手を奪い、それにサリオスやグレナディアガーズが続き、前半マイルが47秒6、後半マイルが45秒0という、G1レースとは思えないほどのスローペースに流れた。最後の直線に向いてからの究極の瞬発力勝負となり、ディープインパクト産駒最強のマイラーであるグランアレグリアが突き抜け、56kgの斤量に恵まれた3歳馬たちが2、3着を占めた。レースは生き物とはいえ、さすがにこのペースは遅すぎて、今年に限っては力と力のぶつかり合いという激しさはなかった。

          あの日のことが思い出される

          キズナ産駒は芝で牝馬を狙え

          シャムロックヒルが飛び出し、ロザムールが外から被せるように競りかけた結果、前半1000mが59秒0、後半が60秒8という超ハイペースに流れた。前半と後半の落差だけでは分かりにくいならば、今年の上がり3ハロンの時計(36秒5)を過去のレースのそれを比較してみると良い。 2020年 34秒8 2019年 34秒6 2018年 34秒7 2017年 34秒4 2016年 34秒1 2015年 36秒3 やや重 2014年 34秒1 2013年 34秒5 2012年 36秒4 重馬

          キズナ産駒は芝で牝馬を狙え

          種牡馬としての価値

          カイザーミノルが先頭に立ち、内からトーセンスーリアが追いかける形でレースは進み、前半1000mが60秒5、後半1000mが57秒4という究極のスローペースになった。最後の直線に向いてからの瞬発力勝負となり、直線に向いたときのポジションと一瞬の爆発力が問われるレースとなった。せっかくの3強が揃った天皇賞・秋だけに、もう少し流れて底力を問われる激しい内容になってもらいたかったが、それでもゴール前の3頭と3人の騎手たちの叩き合いは迫力十分であった。 勝ったエフフォーリアは、ほぼ完

          種牡馬としての価値

          逃げ切りの方程式

          12.5 - 11.1 - 11.5 - 12.1 - 12.8 - 12.6 - 12.8 - 14.3 - 13.1 - 12.6 - 12.4 - 11.7 - 11.5 - 11.4 - 12.2(60.0-65.4-59.2) 13.3 - 11.5 - 11.7 - 11.7 - 11.4 - 12.1 - 13.1 - 13.5 - 12.7 - 12.9 - 12.3 - 11.9 - 11.6 - 11.5 - 12.0(59.6-64.3-59.3)

          走る女の娘

          大方の予想どおりエイシンヒテンが先頭に立って、前半1000m61秒2、後半が60秒ジャストというスローペースを刻んだ。今年は阪神競馬場で行われ、ややタフな馬場であったことも含めても、全体の時計が掛かっており、京都競馬場で行われていた秋華賞とは別のレースであったことは確かである。前に行った馬たちに有利な流れではあったが、上位を占めた3頭はこのメンバーでは一枚力が抜けていた。 勝ったアカイトリノムスメは、終始、ソダシを前に見る理想的なポジションでレースを進め、最後の直線の急坂で

          ドイツ系統繁殖の勝利

          押し出されるような形で武豊騎手のブルームが先頭に立ち、英ダービー馬であるアダイヤ―と日本のクロノジェネシスが続く。この隊列だけ見ても、さすが凱旋門賞と言ったところ。道中は凱旋門賞にしては流れた方ではないだろうか。最後の直線では、中団で脚をためた馬たちが内と外に分かれて伸びた。今年も重馬場で行われたように、不思議と最近の凱旋門賞は雨に降られることが多く、パワーはもちろんのこと、無尽蔵なスタミナと最後まであきらめない精神的な強さを求められるレースになっている。 勝ったトルカータ

          ドイツ系統繁殖の勝利

          スローモーションで見える

          外からポンと出て、スムーズに先頭に立ったモズスーパーフレアにビアンフェが続き、内からピクシーナイト、中からレシステンシアが追いかける展開となった。前半600mが33秒3、後半600mが33秒8という、スプリントG1としては平均ペース。この緩やかな流れであれば、前に行った馬はなかなか止まらない。もう少しレースが流れれば、外を回って後ろから行った馬たちにもチャンスが生まれたはず。 勝ったピクシーナイトはスタートが決まり、持ったままで有力馬を射程圏に入れるポジションを手に入れた。

          スローモーションで見える

          キャロットクラブ2021年度募集馬の馬体評価

          1、ナスケンアイリスの20牡 走るロードカナロア産駒の特徴のひとつである、前後のバランスの良さを見事に表現している好馬体。前躯も後躯もしっかりと実が入って、力強さに溢れている。脚元も健康そう。胴部はやや詰まって映るので、スプリントからマイル戦が最も力を発揮できる舞台になるだろう。〇 2、コケレールの20牡 ロードカナロア産駒らしからぬ、縦に長くて薄手の馬体は母系がしっかりと引き出されている。筋肉量とトモが物足りなく映るが、馬体全体のシルエットは理想的。動かすとまだ身体を

          キャロットクラブ2021年度募集馬の馬体評価

          ラオウと黒王号のごとき

          内枠を利してユニコーンライオンが逃げ、前半1000mが60秒ジャスト、後半が58秒5という、中緩みのスローペースに流れた。前に行った馬にとって極めて有利であり、スタートしてから第1コーナーまでのポジション取りが着順を大きく左右した。勝ち馬はたしかに強かったが、レース自体はG1としては凡庸だったと言っても過言ではない。せっかく高速馬場で行われない中距離G1レースなのだから、もっと激しい宝塚記念が見たかった。 勝ったクロノジェネシスは好スタートを切り、レイパパレのすぐ後ろに付け

          ラオウと黒王号のごとき

          ほんの僅かな差

          ダイワキャグニーが先頭に立ち、前半マイルが46秒4、後半が45秒3という、とてもG1レースとは思えないほど遅いペースで道中は流れた。前目のポジションを確保できた馬は有利であったが、それ以上にラスト3ハロンのスピード勝負となり、瞬発力に長けたマイラーのためのレースとなった。 勝ったダノンキングリーは、昨年の天皇賞・秋以来のレースにもかかわらず、最後の直線では切れに切れた。3歳時は馬体に幼さを残しながらもコンスタントに走ったが、古馬になって馬体に実が入って力強さが増してきたのと