【本の要約】『やわらかい頭の作り方』
ロッシーです。
『やわらかい頭の作り方』(著者:細谷功)という本を読みました。
めっちゃ面白かったです。
最初に、著者はこのように書いています。
なるほど。確かに「自分は頭が固いかも?」と疑うことができる人でないと、そもそもこういう本を手に取りませんよね。
この記事を読んでいる方も、その意味では第一関門を突破したのではないでしょうか。
それでは以下、ざっくりと要約していきます。内容が盛りだくさんなので、すべてを要約することはできません。自分が大事だと思った部分にフォーカスします。
この記事を読んで、もっと興味が出てきた方は、ぜひ本書を実際に手に取ってみてください。
1.思考回路が変わらなければ意味がない
頭をやわらかくするには、まず自分の思考の癖や偏りを認識する必要がある。
人間の行動の多くは、各人の「思考回路」によって支配されている。思考回路が変わらなければ、個別の行動は変わらない。
「何度言ったら分かるの!」と行動面をいくら注意しても、治ることはない。
例えば、「他責」という思考回路の人が会社にいたとする。その人に仕事を任せたら、「時間がないからできない」と言ってきたので十分な時間を与えたとする。しかし、今度は「予算が足りなかった」とか「他社が協力してくれなかった」と別の言い訳を考えてくる。
つまり思考回路が変わらなければ、「もぐらたたき」のように個別の事象に対応するだけで本質的な解決策にはつながらない。
2.気づいた時点で解決している
「頭を使って仕事をしろ」といっても意味がない。そう言われた人は、自分が「頭を使っていない」とは思っていないから。つまり、「気づき」が重要である。
気づきが問題解決には重要なのですが、問題解決の対象となる「問題」には、以下の3種類がある。
②を①の状態にもっていくことを「問題の解決」、③を②の状態にもっていくことを「問題の発見」という。
「気づき」というのは、問題の発見のことであり、圧倒的に難易度が高いのは問題発見のほう。「問題は見つかってしまえば解決したようなものだ」という言葉にもそれは表れている。
3.単純に考えるほうが実は大変?
パスカルは、ある友人に出した手紙の最後に、以下の趣旨の言葉を残している。
あるトピックについて、100ページのレポートと1ページのレポートを書くのでは、どちらが難しいか?
一瞬、100ページのほうが難しいと思ってしまうが、実は1ページのほうが難しい。
100ページのレポートを作成するのと同じくらいの情報収集をした後に、「要するにこれはどういうことなのか?」という点を突き詰めて考え、再構成してシンプルなメッセージとして集約した結果を1ページにするほうが、頭も使うし、時間もさらに使う必要があるから。
つまり、「単純に考える」ことは、複雑で膨大な情報を「再構成する」処理が必要になるため、深く考える力が必要であり、それが「やわらかい頭」である。
単に知識を膨大に有していることは「やわらかい頭」とは直接関係なく、状況によっては逆に焦点がしぼりにくくなる可能性があるという点で、「頭が固くなる」危険性もはらんでいる。
4.「自分中心」からの脱却
「言葉の乱れ」が目立ってきたと言われる。しかし、「乱れ」なければ、何百年も前から一切変わることがなかったはず。
次世代の新製品を開発するようなときには、「わがままな少数派」の意見が正しいという前提で、自分の発想を変えてみることが必要。
時代の変化は、たいていの場合「特殊なケース」から始まる。いつまでも「自分の価値観を標準」と考えていると、変化に取り残されてしまう。
「間違っているのは自分ではないか?」という考え方がまさに「頭のやわらかさ」につながっていく。「自分が正しい」という前提で物事を見ていると、進歩がなく新しい発想は出てこない。
「おかしい」「失礼だ」「やめさせたい」「正したい」と思ったとき、「おかしいのは自分の考え方のほうではないか?」と常に考えてみることが大事。
5・どんな仕事にも上流と下流がある
どんな仕事でも、川の流れのように「上流」と「下流」がある。
上流の仕事は、特定の人しかできない仕事なので、付加価値が高い。
例えば建物をつくる場合、一番難易度が高いのは、「やわらかい」部分、つまり顧客の要望を聞いてそれを形に表し、図面に落として具体的な材料の構成等にしていくところ。
ところが大抵の「見積書」に示されるのは、「数値化」できる部材の材料費や施工の作業時間になる。
多くの仕事では、上流側の仕事は「無料」で行われて、その代わりにそのコストをわかりやすい下流の仕事で回収する、という構図で成り立っている。
6.頭のやわらかさへの最大の敵は知識である。
若者と年配者とどちらが頭がやわらかいか?
たいていの人は若者と答えるはず。しかし、年配者のほうが若者よりも一般的には知識が多い。
世の中の常識を覆す斬新な発想をするのは、その道の専門家ではなく、素人や門外漢と言われるような人達であることが多い。つまり、「知識」という一見財産と思われるものが、柔軟な発想をする上では負の資産となって足を引っ張る。
一見プラスに見える事象も別の視点から見ればマイナスに変わる。「頭をやわらかく」するための発想の転換の着眼点というのは、一見肯定的に思われていることを全て否定的に捉えたり、その逆をあえて試みること。
長所は必ず短所になり、短所は必ず長所になる。そう考えるだけでも発想は単純に2倍に広がる。
7.「成功」の反対語は「失敗」ではない
両極と真ん中は実は対照的であって、両端に見えるものは実は似ている。
北極 ---- 赤道 ---- 南極 の関係性でいえば、両極である北極と南極が実は気候的にも似ていて、対極にあるのが赤道という構図がある。つまり、「北極と南極」の対極が「赤道」ということになる。
成功 ---- 何もしないこと ---- 失敗 もこれと同じ構図であり、成功と失敗は、「何か行動をした結果」という点では紙一重の「同意語」であり、その反意語は「何もしないこと」ということになる。
8.常識は非常識、非常識は常識
「そんなこと常識でしょ」「あの人非常識だよね」と私達が言うときには、「暗黙裏に当然と思っている自分の価値観」を、あたかも世の中の正義であるかのように正当化したい場合である。これは思考停止の典型的な症状。
思考停止している人の最大の特徴は、自分が思考停止していることに気づいていないこと。
常識を「絶対的な目的」と考えるか、「単なる手段のひとつ」と考えるかが、「固い頭」と「やわらかい頭」の分かれ目になる。
9.アラカルトとコース料理、どちらが自由?
アラカルト、つまり自由選択では当然のことながら選ぶ対象は自分の知っている範囲のものがほとんどになる。これに対して、コース料理では、自分の知らないものが一定の割合で含まれてくる。
自由選択では、良くも悪くもほぼ期待通りのものが出てくるが、コース料理では、もしかするとはずれに当たる可能性もある代わりに思わぬ発見がある可能性を秘めている。
自由旅行とパッケージツアーも同様の構図。自由旅行というのも、自らの視野を広げるという点では、実は知らず知らずのうちに「食わず嫌い」になっている可能性がある。
音楽でのCD時代とダウンロード時代も同様。CDの場合、聞いてみたら意外に良かった「アルバムの1曲」に出会える可能性がある。ダウンロードで1曲ごとにバラで購入できるようになると、そのような出会いの可能性は格段に低くなり、「自分の知っている範囲に限定される」。
好きなものばかりを選べる自由は、自分の知っている範囲に限定された自由という点では不自由といえる。
10.具体的と抽象的
人間が動物と違い、決定的に高度な知的能力を操れるのも、抽象化能力を身につけているから。
「抽象化」とは、「要するに何なのか?」を考える能力。具体的な事象を抽象化することと、それを再度復元して自らの具体的な課題に当てはめてみるという「具体と抽象の往復」が、まさに人間の知的機能の重要な要素。
最後に
いかがでしたでしょうか。
さっそく抽象化してみます。
この本で最も重要なのは、4.「自分中心」からの脱却に書いた、
「間違っているのは自分ではないか?」という考え方がまさに「頭のやわらかさ」につながっていく。
の部分だと思います。
そのように考えることで、「気づき」が得られます。思考停止に陥らなくなります。常識から抜け出せるようになり、頭がやわらかくなると思います。
そうなれば、「上流」の仕事をすることができ、AIに仕事を奪われることもなくなるのではないでしょうか。
その考えも「間違っているかもしれない」と思っていますけど(笑)。
Thank you for reading !
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