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【書評】佐藤優『ねじまき鳥クロニクルを読み解く』 人と会うことは暴力だ
ロッシーです。
佐藤優の『ねじまき鳥クロニクルを読み解く』を読みました。
この前、村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』をむしょうに読みたくなったのですが、読了後にたまたまこの本の存在を知り、読むことにしました。
本書は、『ねじまき鳥クロニクル』をテキストとして、佐藤優が自分の母校である同志社大学の学生たちと様々な考察をした講義を記録したものです。
「なるほど、そういう読み方もできるのか!」
「こういう意味が隠されているとは気が付かなかった」
など、非常に知的好奇心を刺激される内容でした。
こういう授業だったら誰も居眠りしないだろうな~と思います。
読書というのは、どうしても自分だけの世界で終わりがちです。しかし、こういう本を読むことで、「他の人はどういう風に解釈したのか」という風に、自分とは異なる視点に気づくことができるので、同じ本でも何倍も楽しむことができると思います。
ちなみに、本書を読んでいて、刺さったのが以下の言葉です。
「人と会うことは暴力だ」
これは、筑波大学の社会精神保健学教授の斎藤環さんから著者が聞いた言葉だとのこと。
以下は、著者がどんな意味なのかを斎藤さんに伺ったことを述べている箇所からの引用です。
斎藤さんが言うところの「暴力」という言葉は、良いとか悪いとかいった価値判断とは関係なく、「他者に対する力の行使」すべてを指す概念なのだという。「あの人に会わなくてはならない」という気の重さのようなもの、圧力とか重力と置き換えてもいいんだけど、そういう見えない力のようなもの。目の前にいる人の態度や言葉に一切の攻撃性が見当たらなかったとしても、そこには常に、ミクロな暴力ないし暴力の兆候がはらまれている。それで斎藤さんは「人と会うことは暴力だ」と言ったんだ。
私自身、人と会うと疲れるタイプです。
しかし、なぜそうなるのかについては、何やら説明できないモヤモヤ感がありました。
上記の文章は、まさにこれを言語化してくれました。
>良いとか悪いとかいった価値判断とは関係なく、「他者に対する力の行使」すべてを指す概念
そうなんですよね。
人と会うということは、お互いに「他者に対する力の行使」をするわけですから、パワーを消費するわけです。
私は、大量のパワーを消費して疲れてしまうタイプですから、対人関係において接近戦は得意ではないのです。だから、逆にリモートワークで全然ストレスがたまらないのでしょう。
それは良い悪いではなく、個人の性質の違いなのだと思いますが、やはりまだまだ世の中では接近戦が強い人のほうが有利なのは間違いありません。
私自身、仕事を遂行するうえで接近戦は避けられないのが現状ですから、できる範囲でやっていくしかありません。
でも、「人と会うことは暴力だ」という風に言語化できることによって、前よりもきっと接近戦に対する苦手意識は減るような気がします。
知らんけど(笑)。
本を読んでいて一番うれしいのは、自分が欲しかったまさにその言葉を得られるときではないでしょうか。
だから読書はやめられないのです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
Thank you for reading!