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【書評】夏目漱石『明暗』を読めば、洞察力がアップすること間違いなし

ロッシーです。

夏目漱石の『明暗』を読みました。

『明暗』は最高傑作

『明暗』は、夏目漱石の最後の作品で未完です。

「どうせ未完なんだから読んでもしょうがないだろ」

と思い、いままで読んでいなかったのです。(といいつつ、同じく未完の『カラマーゾフの兄弟』は読んでいるのですけど)

しかし、『明暗』に対する評価の高さをネットで知り、読むことにしました(笑)。

で、読んだところ・・・

はい、私の中で夏目漱石作品ランキング1位となりました!

ちなみに、2位は『行人』、3位は『こころ』です。なぜか後期の作品ばかりですね。

心理描写が面白い

『明暗』の何が面白いのか?

ストーリーそのものではなく、登場人物の心理描写が面白いのです。腹の探り合いや、対決ともいうべき会話の駆け引きなど、読みごたえがあるのです。

たとえば、主人公の津田が妻のお延と会話をするシーンでは、表面上は穏やかなやりとりをしているのですが、津田の内心には「妻に隠し事をしている後ろめたさ」や「自分の弱さを悟られたくないプライド」が渦巻いています。

一方で、お延もまた、夫の態度に対して「不信感」と「夫を支えたい気持ち」の間で揺れ動いています。

こうした感情の微妙な揺れは、直接的には描かれず、津田の視線の動きやお延の言葉の間の「間」によって暗示されているのですが、その「言葉にされない心理」を読み取るのが面白いのです。まるで心の中を覗き見るような感じですね。

洞察力がアップする

もちろん、面白いだけでも十分本書をおすすめする理由になるのですが、他にも以下のようなメリットがあると思います。

本書のような心理描写に優れた文学作品を読むと、登場人物の視点や感情を追体験することで、他人の立場に立って考える力が養われたり、登場人物の感情の微細な揺れに気づく力が身につき、リアル世界でも、他人の気持ちや表情の変化に敏感になれると思います。

そして、登場人物の心理を推測しながら物語を読んでいくことで、洞察力が鍛えられ、他人の心情を深く理解する力も向上するように思います。

そういう力って、ビジネス本や自己啓発書では身につかないのですよ。だから、やっぱり文学ですね。そして『明暗』を読むべし!と言いたいわけです。知らんけど(笑)。

願い事をするとしたら

それにしても!

この作品が未完成であることが本当に惜しいです。

もしもアラジンの魔法のランプがあったとしたら、以下の3つの願いをかなえてもらいたいですね。

1つ目:『カラマーゾフの兄弟』を完成させてもらう
2つ目:『明暗』を完成させてもらう
3つ目:魔人を自由にしてあげる

それくらい、完成した『明暗』を読みたかったですね。

ChatGPTに聞いてみた

もし、夏目漱石が存命していて『明暗』を完成させていたとしたら、どんなストーリーになっていたのかをChatGPTに聞いてみました。以下、ChatGPTの回答です。↓↓↓

夏目漱石の未完の小説『明暗』は、漱石晩年の成熟した作家としての筆致が際立つ作品であり、人間の内面や複雑な人間関係を鋭く描写するところに特徴があります。この作品は、主人公・津田とその妻・お延、そして津田の元恋人である清子を中心に展開されますが、未完のまま終わったため、その後の展開については多くの議論がなされています。
漱石がこの作品を完成させた場合、彼の文学のテーマや当時の社会的背景を踏まえると、以下のような展開が考えられるかもしれません。

### 1. **津田の「自己内省」と精神的変化**
津田は病気を抱え、死を意識する中で、自分の生き方やこれまでの行動に対する深い内省を迫られます。漱石の他の作品(『こころ』『それから』など)でも見られるように、主人公が自己を見つめ直し、過去の選択を悔い、精神的な葛藤を深める展開が予想されます。津田は自分のエゴイズムや、お延や清子に対する態度を振り返り、彼らとの関係性を再構築しようとするかもしれません。

 **可能な展開**: 津田が清子に再び接触を試みる中で、お延との関係に亀裂が生じる。しかし、最終的には清子との再会を経て、彼女との過去を清算し、病に向き合いながらお延との関係を修復する方向に進む。

### 2. **お延の独立と成長**
漱石は『三四郎』や『それから』などでも、女性の自立や精神的成長を描いてきました。『明暗』においても、お延が津田との関係に依存するだけではなく、彼女自身が精神的に成長し、独立した存在へと変化する可能性があります。津田の病気や清子の存在をきっかけに、お延が自分自身の人生を見つめ直し、夫に対する感情や結婚生活の意味を問い直す展開が考えられます。

 **可能な展開**: お延が清子に対して強い嫉妬を抱きながらも、清子の人間性を理解し、逆に彼女から刺激を受けて自分の生き方を模索するようになる。最終的には津田の病や死を乗り越え、独り立ちする姿が描かれるかもしれません。

### 3. **清子の存在と「過去」の清算**
清子の存在は、津田の過去の象徴であり、彼の人生における「未解決の問題」を体現しています。漱石がこの作品を完成させた場合、清子は単なる「元恋人」としての役割を超え、津田やお延にとっての重要な「鏡」として機能する可能性があります。清子が津田と再び向き合うことで、彼女自身も過去を乗り越え、新たな人生を歩み始める展開が考えられます。

**可能な展開**: 清子が津田との再会を通じて彼への未練を断ち切り、自分自身の新しい人生の道を見つける。一方で、清子の存在が津田とお延の関係に変化をもたらし、彼らが互いの本音に向き合う契機となる。

### 4. **「明」と「暗」の対比の深化**
『明暗』というタイトルが示すように、この作品は人間の「明るさ」と「暗さ」、すなわち人間の光と影の側面を対比的に描いています。完成された場合、漱石はこの対比をさらに深め、登場人物たちがそれぞれの「暗」を直視し、それを乗り越えることで「明」へと向かう道筋を描いた可能性があります。

**可能なテーマの深化**: 漱石が晩年に関心を持っていた「則天去私(天に従い、私を去る)」という思想が物語の中心となり、津田やお延、清子が自己中心的な感情を克服し、より大きな視点で人生を捉える展開が予想されます。

### 5. **結末の可能性**
漱石が『明暗』を完成させた場合、結末は必ずしも「救い」のあるものではないかもしれません。彼の作品は、現実的でありながら読者に深い余韻を残す終わり方をすることが多いです。そのため、津田の病死や、お延と清子がそれぞれの道を歩むといった、必ずしも幸福ではないが、登場人物が成長し、読者に考えさせるような結末が考えられます。

### 最後に
漱石がこの作品を完成させていたら、明治から大正にかけての日本社会の変化や、人間関係の複雑さをさらに深く掘り下げた物語が展開されたことでしょう。また、漱石の「則天去私」という晩年の思想が物語全体を貫く形で描かれた可能性も高いです。このような未完の作品に思いを巡らせること自体、漱石文学の奥深さを再確認する良い機会となります。

上記がChatGPTの回答です。もっとAIが進化すれば、上記のストーリーに応じて具体的な文章も書いてくれるようになるでしょう。

でも、それは夏目漱石っぽい文章であり、夏目漱石本人による文章ではありません。本物ではないのです。ああ、残念。


とにかく、『明暗』をまだ読んでいない方は、ぜひ読んでみてください。『こころ』や『坊っちゃん』だけではもったいないです。漱石ワールドはもっともっと広いです。ぜひ体験してみてください!


最後までお読みいただきありがとうございます。

Thank you for reading!


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