【現代美術館のトップバッター】広島市現代美術館 コレクション展 2024-Ⅰ ハイライト+ リレーションズ[ゲストアーティスト:手嶋勇気]
1日目、下瀬美術館へ行ったあと広島市内に戻って宿泊。
次の日は広島市現代美術館へ。
広島市現代美術館は日本初の公立現代美術館。1989年開館。
建築は黒川紀章。
比治山公園内の山の上にあり徒歩で行くとなかなかの坂を登った先にある。
以下美術館HPより引用
とは言うものの、坂の途中にある多聞院の前に差し掛かった時、1945年8月被爆の状況が掲示板に写真つきで示されていた。
爆風により壊れた屋根瓦、今も残されている当時の建物の一部。臨時の県庁として被災者を救援した場となったそうだ。
このお寺だけに限らず、市内を歩くとぽつりぽつりと当時の状況を伝える史跡がある。
今、自分が住んでいる場所は大昔は農村で戦後から開拓が進み、住宅地になった地域なので、忠霊塔や慰霊碑は街角や公園の隅にポツンとあるが、当時の状況を伝える史跡はほぼない。
そういう一つ一つに衝撃を受ける。
美術館HPの一文「四季折々の風景が楽しめる」ようになるまで幾年月かかったか。胸がズンと重くなりつつ美術館に入場をした。
今回はコレクション展開催時期を狙っての訪問。展示タイトルは、
コレクション展 2024-Ⅰ ハイライト+ リレーションズ[ゲストアーティスト:手嶋勇気]
作品ピックアップ
1階の展示は往年の現代美術を展示。そしてここにあったか!と思えた品々。
シンディー・シャーマン!
彼女の作品を森村泰昌氏の作品の隣に置いてくれて…この感じたまらん。興奮ポイントである。
森村さんもシンディーも自分自身が作品に出演している。セルフポートレートだ。
セルフポートレートの面白さ、ってなんだろう。自分自身を材料にして被写体と撮影者が対等なのが面白さか。
セルフィーという言葉よりずっと前から「自撮り」で作品を作っていた2名の作家。
この2人の共通点はまだある。
・90年代後半に東京都現代美術館で個展を開催していること。
(シンディー・シャーマン1996年、森村泰昌1998年)
そのまま、森村さんによるシンディー・シャーマンへのオマージュ作品もある。
今回広島で見た2点とも90年代に各個展でみた作品だ。30年近く経ってここ広島で再会ということになる。
見た当時は2者のつながりを考えたこともなかったが、時間の経過、自分の経験とともに作品同士のつながりを感じることができるようになったのだな、と思う。
赤瀬川原平
原平さんの千円札の作品がコレクションされている。
今回コレクションに展示があるということも、この広島行きを決意させた要因の一つだ。
聖徳太子の時代の千円札。
そして新紙幣が発行される夏にコレクション展で展示。
なにか意図を感じてしまう。
この千円札は模写、模造、偽造の間で裁判が行われ争うわけだが、そのあたりはぜひ赤瀬川さんの著書を読んでほしい。
美術・芸術裁判の判例にもなっている話だが、一個人の思いつきがここまでおおごとになっていく過程が面白い。
ただ、事の原点は本人の好奇心と探究心から始まったことだと私は捉えている。野心や犯罪的思考からの作品ではないと解釈している。
地下1階
若林奮さんの原爆ドーム。
若林さん、こんな高さのある大きな作品も作っていたのか。これは圧倒された。
この日の朝、平和祈念館の展示を見て涙が止まらなくなり這いつくばって出てきて、遠目で見た原爆ドーム。その距離から見るだけで朝の時点では精一杯だった。(平和祈念館は朝の7時半から開館している)
若林さんの作品を見てやはりもう少し近くで見てから帰らないといけないな、と強く思えた。少し勇気がもらえた。
展示室の外に
キース・ヘリングの祭壇が展示されている。(撮影不可)
この作品の寄贈者はオノ・ヨーコ氏だった。
自然光が入り白い壁に輝く祭壇。
なにか、救いを見出す。
館内の様子
チーズケーキで腹ごしらえも済んだので、下山して次の目的地、広島県立美術館へ。