身体だけでなく、脳の疲労にも目を向ける重要性
アスリートをやっていると、やろうと思っていた練習をやり切れなかったり、目標としていたパフォーマンスが発揮できなかったりして、落ち込んでしまうことがある。
アスリートに限らず、現代人は「脳がつかれている」といわれる。
仕事で良い業績を上げられなかったり、日課と決めて始めた「一日1時間の読書」ができなかったり、
そういう「ちょっとした挫折」を繰り返すことで、自己肯定感が下がってしまい、
「自分はダメな人間だ」
となって落ち込んでしまう。
そういうときにどうしたら良いかの答えが欲しくて読書をしていたら、こんな本に出会った。
「精神科医の禅僧」という肩書の説得力たるや、半端ない。
心の専門家を極めていそうな肩書である。そんな人が、僕たちに学びにならない本を書くわけがないと勝手に思い込んで、1ページ目を開いたのだが、まあ面白かった。
なので今日は全編のネタバレにならない範囲で、この本から僕が学んだことを書きたい。
疲労には3種類ある
筆者は言う。「疲労には3種類あります。」
え、身体の疲労と心の疲労、せいぜい2種類じゃないの?
僕は思った。
読むと、心の疲労が2種類に分けられていて、合計3種類らしい。
では、その2種類は何かというと、
「自己肯定感が低いことによる疲労」と、
「マルチタスクによる疲労」
だという。上は、自分なんてだめだ、と思い込んでしまうことによる疲労、とすぐわかるが、下はちょっとわかりづらい。
マルチタスクによる疲労は、一度に同時進行で沢山のことに注意を向けてしまうことによる脳疲労、なんだとか。
最近、音声アプリclubhouseがはやって、僕がパーソナリティを務めているボイスメディア、Voicyも注目されている。
これからはメインの情報源は耳から取り込む時代。ボイスメディアをうまく使いこなせない人間が情報弱者となる、とまで聞いたことがあるが、これらが推奨する
「家事をしながらのながら聞き」
のように、一度に複数のことに注意を向ける行為は、脳を疲弊させる行為なんだそうだ。
Voicyを沢山聞いてほしい僕にとっては耳が痛い話だが、僕自身の体験としても理解できるところはあった。
最近、耳での学習の流れで、ラジオを流しながらローラーをしたり、デスクワークをすることが多くなったのだが、それらが終わった後何となくイライラするというか、脳がつかれている感覚があった。
なるほど、あの時感じた脳の疲労感はマルチタスクが原因なのかと、合点がいったのだ。
では、これら2種類の脳疲労をどのように和らげるか?の話に移っていこう。
自己肯定感をどうやって上げるか?
自己肯定感は、
「自分自身の行動が、コントロール下にある状態」
の時に上がるのだという。逆に言えば、自分の行動を感情によってコントロールできない状態の時に下がる。
例えば、休日にはキャンプに行く、と決めていた人がいたとする。
ところが平日の仕事が忙しく、疲れてキャンプに行くことができなかった。
その時この人は、「本当はキャンプに行きたかったけど、行けなかったな」ということがストレスになり、脳が疲弊し、自己肯定感が下がる。
もっと細かい話でいうと、SNSの通知が来た時にそれまでの仕事からSNSに遷移して時間を浪費してしまったり、仕事終わりにジムに行きたかったのに、甘えて行けなかったり。
そういう細かな「感情に流されてもともとやりたかった行動をとれなかった」体験が、自己肯定感を下げるのだという。
それではどうやって上げるかだが、筆者は2つのコツを挙げている。
1. ゲーム感覚にする
「10分間で2通のメールに返信できるかやってみよう」
「今から1時間、スマホを見ないようにしよう」
このように、自分自身に小さな課題を与え、それをクリアする。その「クリアできた」時の達成感が、自己肯定感を上げることにつながる。
2. 1分深呼吸
自分の感情に流されてダラダラと仕事をしてしまったり、無気力な1日を過ごしてしまったりという流れを断ち切るために、1分深呼吸をすると良いという。
たとえそれまでが思い通りに進まなくても、区切りをつけてそこからは切り替えるというマイルールを設けることで、充実した1日を過ごすことができるのかもしれない。
シングルタスクにするために
次は、マルチタスクで脳を疲弊させないために、どうするか?について。
こちらは簡単で、「今、目の前にあるものに集中する」ことが重要だ。
ご飯を食べているなら、サラダに使われている野菜の色や食感、風味を感じ取る。
歩くときには、右足のかかとが地面から離れて、左足が地面につく感覚を研ぎ澄ませる。どの関節をどのように使っているのかに注意を向ける。
普段、テレビを見ながら、音楽を聴きながら「何となく」やってしまっていることを、ひとつひとつ「集中して」やってみる。
また、SNSの通知は全部切った方が良い。
仕事に必要な通知もある!と反論されそうだが、ならば「◯時になったら通知を確認して返信する」というマイルールを決めておくと良いのだとか。
SNSの通知やメールの返信というのは、「コントロールできないもの」の典型だ。
自分自身では、相手がいつ返信をくれるかを予想できないし、強制もできない。
ならばそうした不確定なものを自分が気づく形で目に入れること自体がメリットのない行為であり、最初から目に入らないようにして、自分がコントロールできる状態で確認するようにした方が良い。
これらは僕も、何となくはわかってはいた、けど、いまいち重要性が理解できずにいたのでやったりやらなかったりだったこと、だった。
この本を読んで「なぜこれらの行為が精神的に疲れるのか?」が明確に理解できたので、これからはSNSの通知は完全オフを徹底したいと思う。
あとは、ローラーで長時間の練習をするときにラジオやyoutubeを流しながらやっていたこと。あれもやめて、ペダリング時の筋肉の感触や、呼吸器の反応に耳を傾ける時間を作ろうかな。
できる時に、できる範囲で
最後に、これらの変革は、最初から全てやろうとすると、変革度合いが大きすぎて達成できず、これもまた
「やろうとしたことができなかった」
という自己肯定感を下げるもとになってしまう。
なので、最初はちょっと意識してみるだけで良いと思う。
「通勤中はVoicyを聞くけど、電車を降りて会社までの道ではイヤホンを外して歩くことに集中しよう」とか、
「最初のひと口だけ食べることに集中して、あとは好きなテレビ番組を見ながらご飯を食べよう」
とか。
これらの「ちょっとしたマイルール」を実践するだけでも、脳の疲労は解消されていくので、現代に生きる我々のライフスタイルに合わせて適度に取り入れることで、日常のストレスを減少できるかもしれない。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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