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#ことば

〖詩〗言葉

昨夜 雨が降った
今朝の 眩しい 庭の葉を

陽に透かし

肌色のハサミで
スック スックと
切り取っていく

世界は
こんなにも美しい と
知らせるために

葉は 手元から
零れながら
還っていく

光の中へ
還っていく

澄んだ空気に
輝きながら
還っていく

〖詩〗モンシロチョウ

〖詩〗モンシロチョウ

ぺりり
剥がれた地球

ぴゅるる
風が注がれて

ひらり
モンシロチョウ
飛んでいった

〖詩〗ひとり

〖詩〗ひとり

一人でいると

言葉が 寄ってくる
闇が 寄ってくる

私はいつも
居心地のいい椅子に
もたれながら
しおからい夜の海で
さみしさをいじくっている

〖詩〗 ひかり

〖詩〗 ひかり

車体の曲線に降りて
星のように笑っては
進みに合わせて滑ったりする

前髪にとまったら
虹の泡になって
透きとおっている

木々の上では冠のまねごと
葉は 黄色に喜んで
幹は 隠した宝石をチラチカさせる

人は
虹彩と産毛が美しく
いつもより天使に近づいたりする

〖詩〗若者

〖詩〗若者

いつかわかるでしょうか
かつてわたしが
あんなにも単純に
青一色で描いていた空は
またたくまに汚れていった

いつかわかるでしょうか
いま わたしたちは
不気味な静寂を航る
重い曇天
それすら泣かせまいで
どうにか錨を下ろそうと

さあ
あなたの目には
光が乱反射している
あなたの中で生まれた光が
心身を泳いで

外へ出てゆこうとしている

批判されても
無視されても
光は光
闇を切り裂いていく

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〖詩〗イルカ

〖詩〗イルカ

イルカの口角は
生まれつき
ニコリ
上がっている

芸で餌を稼ぎ
四角い水槽で
グルグル暮らしても

ニコリ

笑っている

イルカの心は
いつも
濡れた瞳に
宿っている

〖詩〗たんぽぽ

〖詩〗たんぽぽ

たんぽぽの綿毛に
強い風

さみしそうで
うれしそうで
さみしそうで

綿毛のたんぽぽに
強い風

うれしそうで
さみしそうで
うれしそうで

〖詩〗 拾った石

〖詩〗 拾った石

祖母のひろった
河原の石が

祖母のむくちな
感性を かたる

〖詩〗 蚊

〖詩〗 蚊

机の上に
ひっくりかえり
すべるように
もがく 蚊

線香に当たった か
自然の摂理 か

胸から空へ 向けられた
ろっぽんの黒糸は
世界を か 細く
呪っているの か

〖詩〗 21世紀

〖詩〗 21世紀

簡単に つくる

簡単に できる

簡単に わかる

簡単に いきる

簡単な 存在に なる

〖詩〗 アヒル

〖詩〗 アヒル

けさ 生まれてきたかのように
白く ふくらみきった 臀部

日の糧を 食むたび 
水面より
あらわるる愛嬌