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#口語自由詩

【詩】夏山

【詩】夏山

あの素晴らしい山肌に
私の魂は吸いついてしまった
りんりんと
夏が更けてゆく

〖詩〗  休日

〖詩〗 休日

ちょっとした野望と
だいそれた空想を
なみなみ注ぐ
チープ・ピンクのプラコップ
そんな休日をおくる

〖詩〗 川原

川原で小石をいらうとき
心満たされてゆく
このうつわは
それのみで足りているのだ

いつか地溝を流れた水が
いまや雲となり天に浮かぶように
かつての我が感情は
これら石として現出している

川原でいらう心は
くぼんだり とがったり
まるんだり ほそったり

〖詩〗 人を嫌う

〖詩〗 人を嫌う

人を嫌うと
遠くの山が美しく迫ってくる
地平線を遮るビル群
あれらを粉塵と消し去り
山と空で視界を満たしたい欲が
抑えがたく溢れてくる

人を嫌うとき
私はひとつの大きな感覚となって
社会的無気力の装いのうちに
野性的知性の血潮
鈍く滾るそれを
しつしつとめぐらせ
山よ恋し 海よ恋しと浮ついて見せながら
その実深緑の闇に沈んでいるのだ

〖詩〗 おひるま

〖詩〗 おひるま

遠く横切る車群の輝き
側溝を流れる水面の煌めき
太陽の粒が星を真似て遊んでいる

【詩】山へ飛ぶ

【詩】山へ飛ぶ

空を飛べたら
あの山へだって行けるんだな
ベランダから臨む馴染の山へ

空を飛べたら
あの親しげな山肌めざして
彗星のように飛んでゆこうと思う

【詩】宇宙船

【詩】宇宙船

トクベツ貧乏な子たちが暮らす
町イチバンのボロアパートが
実は宇宙船だったらいい

地球の滅ぶ夜
静かに浮かび上がる船の中
彼らだけは夢を見続けられるように