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#日記

〖詩〗言葉

昨夜 雨が降った
今朝の 眩しい 庭の葉を

陽に透かし

肌色のハサミで
スック スックと
切り取っていく

世界は
こんなにも美しい と
知らせるために

葉は 手元から
零れながら
還っていく

光の中へ
還っていく

澄んだ空気に
輝きながら
還っていく

〖詩〗春の日

〖詩〗春の日

ひゅるり
風が吹き

茶ばんだ心の
剝ける気がした 

〖詩〗 空

〖詩〗 空

世間には
人目を惹くものが多く
空だけが
ただあるので
空だけに
心を放っている

〖詩〗 秋空

〖詩〗 秋空

秋になると
雲の怒りは溶けてゆくらしい

〖詩〗 虫

〖詩〗 虫

人は好きだが悩ましい
虫は好かんが単純だ
たまに虫を見ていたくなる
美しい作品のように思われてくる

〖詩〗 なつのおわり

〖詩〗 なつのおわり

残暑のころ
夏をさがしに行きたくなる
その残り香をかぎたくなる
ついつい
田舎の川原へ向かっている
夏草のしげみを割って
石の合間に落ちつくだろう
最後の入道雲を眺めながら
涼しい流音に
心地よい夕暮れを感じる