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建設業界について第2弾「職別工事業」

 前回の建設業界の記事では、元受けとなることが多い「総合工事業」についてお話をしましたが、今回は第2弾として下請けとなることが多い「職別工事業」について掘り下げて話をしてみたいと思います。

普段あまりこの業界にかかわることは多くないかもしれませんが、核家族化が進む中、両親の中古自宅をリフォームして居住するという流れも増えてきていますので、これを機に職別工事業の業界についても知識を高めていただければうれしいです。

こんにちは、佐々木正人です
是非、最後まで読んで持って帰って下さい!!
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(1)   職別工事業のビジネスモデル

職別工事業は、主に総合工事業者等から下請受注し、工事現場において建築物又は土木施設などの目的物の一部分を構成するために、建築工事を行う事業者です。

設備工事業が電気工事や空調工事、上下水道の給排水工事など、建築物に付随する設備部分全般の工事を担うのに対し、職別工事業は建築物や土木施設などの目的物の工事を担います。

工事種別も多岐にわたっていますので、その中で4割を占める「とび・土木・コンクリート工事業」と「床・内装工事業」のそれぞれのビジネスモデルなどについて話をしていきます。

①     (とび・土工・コンクリート工事業)

足場の組立て、重機の設置、工作物の解体、くい打ち、コンクリートによる工作物の築造などの工事を行う仕事です。元請企業から下請受注し、施工する工事が多く、元請工事を受注することは少ないです。

工期通りの施工、安全面への配慮、作業員の質、受注コストなどによって他社との差別化を図るようになっています。

②     (床・内装工事業)

床工事は、床シート、カーペットなどの取付け工事を行う仕事です。住宅用、飲食サービス用、医療・福祉用など用途は多岐にわたり、それぞれのニーズに合った床材を利用することが必要となります。

内装工事業は、木材、石膏ボード等を用いて、建築物の内装仕上げるための工事を行うお仕事です。ホテル、レストラン、住宅、イベント会場などの受注が多く、民間の需要動向に大きく影響を受けます。

床・内装工事業は、工期の最終段階の工事であることから工期の遅れのしわ寄せを受けやすい業種にもなります。

出典:リスクモンスター 業界レポート07_職別工事業

(2)   市場規模と業界動向

職別工事業全体の総売上高は約 24 兆 779 億円事業者数としては約20万社あり、うち上場企業は23社となっており、工事業3業種の中でも上場企業の割合は最も低く、中小企業の割合が高い業種でもあります。

また、これは職別工事業だけでなく建設業界全体の課題として、人材不足、高齢化が大きな問題となっています。若い世代の労働者は減少傾向にあり、少子高齢化の歯止めがかからない中、企業存続のためには、若年層の人材確保、世代交代が求められています。

職別工事業の完成工事高をみると、2019 年度において、元請けよりも下請けの完成工事高が3倍以上高く、下請企業の割合が多い業界であることがわかります。

下請・孫請企業となる場合が多いことから、元請企業から受注を得られるかが重要となるため、高品質かつ工期通りに施工を行い、様々な注文に柔軟に対応することが求められています。

出典:リスクモンスター 業界レポート07_職別工事業

(とび・土工・コンクリート工事業)

2013 年に策定された大規模自然災害等に備えた国土全域にわたる強靭な国づくりを推進する国土強靭化基本法を踏まえ、2020 年に「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」が策定されたことにより、公共工事の安定した受注が見込まれます。

一方で、2021 年3月頃から表面化したウッドショックの影響による資材調達コストの高騰や、人材不足の問題も懸念されており、先行きは楽観視できない状況にあります。

ウッドショックについては以前もお話ししましたので、宜しければご参照ください。

(床・内装工事業)

中古住宅のリノベーションやバリアフリー化に伴う工事は堅調に推移しています。近年は、消費者の環境問題への意識の高まりを考慮し、有害物質の発生を抑えた床材・壁紙の使用など、環境に配慮した工事への対応が必要となっています。

2020 年以降は、新型コロナウイルス感染拡大によって、企業の設備投資や店舗等の新規オープン・リニューアル案件の中止や延期が生じるなど、受注減少の影響を受けており、コロナ関連倒産が発生しています。

以前の投稿でコロナ感染拡大の影響を受けている業界としてお話させて頂きました。よろしければご参照ください。

(3)   職別工事業の財務分析と与信管理上のポイント

職別工事業は、自己資本に対する固定資産の比率を示す固定比率は、83.4%と総合工事業と比較して 10 ポイント以上高くなっています。元請けとなる総合工事業と比較し、この業界は工事に必要な重機等を有する必要があることから、固定資産を保有しやすいため、固定比率が高くなっていると考えられます。

売上高総利益率から売上高当期利益率までの利益水準において、総合工事業に比べ、概ね高い水準にあり、完成工事高に対する外注費の割合を示す完成工事高対外注比率は、総合工事業の 38.8%に対し、斯業界は 33.7%と5ポイント程度低くなっています。

総合工事業に比べ、下請けを使わずに自社で工事を完遂させる割合が高いことから、完成工事高対外注比率が低い結果につながっていると考えられます。

また、棚卸資産には未成工事支出金や資材等が計上されますが、元請けとなる総合工事業は最も工期が長く、工事代金の回収に時間を要するため、未成工事支出金が下請け企業に比べて多額となります。

そのため、この業界においては、総合工事業に比べて棚卸資産の回転期間が短期間になりやすく、約1か月短い結果につながっていると考えられます。

出典:リスクモンスター 業界レポート07_職別工事業

職別工事業の与信管理のポイントは、元請企業となるか、下請・孫請企業となるか、さらに受注元が官公庁か民間企業かによって、利益率や取引条件が異なり、注意すべきポイントが異なります。

工事代金の回収は、工事出来高での回収、もしくは工事完成後の一括回収となりますが、公共工事の場合は、着手金として一部の支払いを受け、残りは工事の出来高に応じて、及び工事完成後に支払われる場合が多いというのも特徴です。民間工事の場合は、着工時・中間時・竣工時の3分の1支払いが一般的ですが、発注者の条件によって異なるようです。

工事受注は季節変動を受けやすく、工事の最終工程に当たる内装工事などは、3月、12 月に集中する傾向があり。年間を通しての工事量の確保、平準化がなされているかも確認が必要といえますね。

また、進行中の工事では、未成工事受入金と未成工事支出金のバランスを確認し、資金繰りに問題がないかについても把握に努めることが必要と考えます。

(4)まとめ

一言で建設業(工事業)といっても、建物そのものなど元受けとして行うことが多い「総合工事業」とその一部分を担い下請けとして請け負うことが多い「職別工事業」では様々な点で違いもあります。

冒頭でも触れたように、人口減少、少子高齢化が進む中、新築住宅の着工件数は減少基調にあり、団塊世代も後期高齢者へ突入していくなかで、両親が所有する中古住宅をリフォームして住みやすい家づくりを考える世代も増えているようです。

われわれの世代もそういう時期に来ていますので、業界の特性やポイントを把握しながら事業者の選定を考えなければいけないと感じています。

皆様にとって少しでも事業者を選ぶご参考になれば幸いです。

本日の内容は以上です。
次回もお楽しみに!では!

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