「つながり」の経済学 -デジタル時代の絆-
あいさつ
2月某日。
天気は快晴で日が差していたものの、肌寒かったのを覚えています。
私はその日、新宿御苑の不動産会社エス・テー・アールの寺本誓喜 会長とお話しする機会をいただきました。緊張して空回る私を宥め、ゆっくりと意義のあるお話をしてくださりました。
学ぶことしかない貴重なお時間を本当にありがとうございます。
今回この記事では、その時のお話の内容を、自分の理解と言葉で表現して、まとめるために執筆しております。どうぞ最後までよろしくお願いいたします。
序文
金を稼ごうと思った時、はじめに何を考えるか。
需要を調べ、商品を生み、販売をして、利益をあげる。
誰でも思いつくような、そんな思考の枠組みが音を立てて崩れた。
この記事で最も伝えたいキーワード、それは「つながり」である。
この「つながり」は、「縁(えん)」のことを指しており、人と人とが巡り合う関係性を意味している。
インターネットが普及して早幾年、革新的な技術によって我々人間の生活は大きく変わった。
世界から距離が消えたのだ。
遠く離れた国や地域の情報が手に入り、
いつでも他人と連絡が取れ、
指先一つで様々な物を配達してもらえる。
そんな時代の人間が、「つながり」を重んじなくなるのは想像に難くないだろう。
さらに、2019年の新型コロナウイルスの影響によりリモートワークが一般的になり、もはや人と触れ合う時間よりも画面を眺める時間の方が増えたのではないか。
今こそ、人との「つながり」とは何だったのか、
「つながり」のビジネスモデルを例に、この記事で綴りたい。
「つながり」は何を生むのか?
「つながり」とは何かを捉えるため、「つながり」の具体例から考えを広げたい。
私を例に考える。
まず「つながり」を作る
私は、C言語とPythonを習得し、簡単なプログラムなら作れるようになった。
どちらの言語も学び始めの頃は、多くの壁にぶつかりながらも試行錯誤を繰り返して、どうにか形にしていった。
しかし、私はプログラミングが好きだから学び続けることができたが、好きではないが学ばなければならない人にとって、学び初めの頃はかなり辛いものとなるだろう。途中で諦めてしまう人も出てきてしまうかもしれない。
そこで、まず自分が無料のプログラミングのセミナーを大学で開く。
無料であるためできることの幅は少ないが、多かれ少なかれ学生が集まるだろう。そこで、自身の持っているプログラミングの知識を提供することによって、集まった学生に価値を与えることができる。
「つながり」が生み出す価値
しかし、そこで終わってしまってはただのボランティア活動になってしまう。
では、何をするべきか。
例えば、
集まった学生たちに名前と連絡先を記入してもらおう。
ITのセミナーに参加しようという意欲のある学生が集まるわけであるから、様々な分野の組織に彼らを紹介することで、紹介料を受け取ることができる。
自身に収益があり、学生にもチャンスが巡り、紹介する組織にも人材を得ることができる、という三方にとって良いシステムを構築することができるのだ。
また他にも、
セミナーの最後にアンケートや聞き込み調査を行ってみよう。
もちろん、企業から依頼されてもいいし、自身で行うのは自由であるが、実際に話を聞くことで、多様なニーズや解決したい問題などを知ることができる。
それにより、マーケティングの分析を行うための材料やリサーチの結果を、肌で感じることができるので、より正しい意思決定を行う基準が得られるだろう。
「つながり」とは何か?
上記のビジネスモデルはあくまで一例であるが、これらを一般化すると
「つながり」において大切なものが見えてくる。
①自分の手元からお金や価値を出す (「つながり」を作る)
②新たな人を集めたり、信頼関係を築く (「つながり」を育てる)
③そこから新たな価値を生み出す (「つながり」を活かす)
この3つの中で、特に注意すべきなのは、「①自分の手元からお金や価値を出す」ことにある。
自分の持つ価値を他人のお金と交換しようと考えた時、その他人との信頼関係を無視することはできない。誰も、信頼していない人と価値と価値の交換をしようなどと思わないからだ。
まずは「つながり」を作るところから。
それによって、新たなビジネスチャンスを得るだけでなく、思いもよらぬところで自身のビジネスを成長させる要にもなりうる。
以上の例と考え方により、「つながり」を定義してみる。
最終的に、「つながり」とは「価値と価値の交換を常に行うことができる関係性」というように考えられる。しかし、ここで終わりではなく大切なことがまだある。
「つながり」の落とし穴と成立条件
「つながり」を持つべき相手
「つながり」を築くのが大切だと述べたが、もちろん注意点もある。
優れたものを悪用する人間が必ず現れるのと同様に、信頼関係を利用して自己の利益を優先するものが必ず現れる。
例えば、よく部下に食事を奢ってくれる上司がいたとしよう。純粋にその上司と良好な関係を築きたいと考える部下もいれば、ただ食事を奢ってほしいだけの部下も現れるだろう。あまりにもそれが酷いと、上司は食事に参加しなくなる。上司は、自己の利益を優先する部下によって、本来良好な関係を築くことができた部下との「つながり」の場を食い荒らされてしまうのである。
では、上司はどうすれば良かったのか。
早い話が、上司は利己的な人間と付き合うべきではなかった。
自分の価値だけを奪い続け、何も価値を返さないそのような人間と付き合うべきではなかったのだ。では、どのようにしてそれを判断するのか。
それは、自分の出した価値に対して、きちんとお礼を述べ、それを形ある何かに、あるいは行動に変えることができるかどうか、を見極めるのが良い。
つまり、自分の出した価値以上に価値を返してくれるであろう人間を選ぶべきだ。互いに価値を与え合える人間こそ、あなたにとって「つながり」を築くべき相手なのである。
「つながり」に必要条件
ここまででわかる通り、互いに良い関係を築くためには、自分自身が価値を持ち続けている必要がある。簡単に目でわかるものとしては、お金である。お金がなければ、返礼することもできないし、何か行動を起こすにしても、お金が一番お互いに認められる価値であるため、信頼を築く手段として持つべきだろう。
手元にお金がなければ、あとは行動と態度で示すしかない。積極的に相手の仕事に参画して成果をあげたり、相手を思いやれるような振る舞いをする。価値をつけるのは難しいが、お金以上に効果を生む時があるため馬鹿にできない。
相手と常に価値と価値の交換を行い続けられる状態、
それこそ信頼関係であり、やはり「つながり」の原点ではなかろうか。
金の切れ目が縁の切れ目とはよく言ったものだ。
「つながり」を育てるには?
当然ながら、相手によって「つながり」の強弱は存在する。
その強弱は、相手と自分の交換する価値の総量によって決まる。
自分が相手に与えた価値以上に相手が価値を返せば、相手を信頼できる。
相手が自分に与えた価値以上に自分が価値を渡せば、相手は信頼してくれる。
その総量が大きくなればなるほど、お互いの「つながり」はより強固になる。
わかりやすい例として、「よしみ」という言葉がある。
自分が食事をご馳走した次の日なら、相手に食事をご馳走されやすいだろう。
相手にとって重大な仕事を手伝った後なら、自分の仕事を頼みやすくなるだろう。
相手と自分に大きな価値の因縁があるとき、「つながり」はより強固になる。
相手に大きな価値を与えることによって、相手からより多くの価値を引き出させるというこの手法は、いわゆる「プレッシャー」である。
自分と相手との力量を考えてプレッシャーを与え続けることで、互いの信頼関係がより強固になるだけでなく、それだけの価値を交換し合えるほどにお互いを成長させられ、切磋琢磨し合える関係にも変化しうるのだ。
終わりに
ここまで読んでいただきありがとうございます。
「つながり」について、長々と綴りました。
この記事を書く中で何日も考えされられましたが、強固な「つながり」を築くのがいかに容易ではないのかに気付かされました。
容易ではないからこそ、一期一会という言葉のある通り、経営者は出会う人との「つながり」を本当によく大事にしていると感じます。
経営者の方にとっては当然の事実であるかもしれませんが、社会を知らない我々大学生にとっては、驚愕の事実であるように思います。
人間は一人では生きていけない、だからこそ他者を慈しむ心は、
時代が変わっても変わってはいけないものなのではないでしょうか。
最後に貴重な考え方をお示ししてくださった寺本会長には感謝の念に堪えません。
生涯を通して忘れてはいけない思考をいただきました。
改めまして、本当にありがとうございました!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?