言語化が下手すぎるけど、とにかくこの世界が好き。
四畳半神話大系が読書の秋2020の課題図書の一つになっていた。
最近作者の「四畳半タイムマシーンブルース」を読んだところだったので、
久しぶりに「四畳半神話大系」のほうも読みたいななんて思っていたところ。
ベストタイミングだと思い、久しぶりに元祖森見ワールドに行ってまいりました。
読み進めていくうちに、
懐かしい同級生に会ったような、ひとりひとりのキャラクターとその行動が
なんとも愛らしく感じているなんて、あぁ私も年を取ったのね。
小津なんて、もうかわいさの塊じゃない?つんでれなの?なんなのレベル。
昔はそんなこと全然思わなかったのに。←失礼
きっと森見登美彦の世界が好きな人のなかに、
自分も京都の大学生でしたって人は多いと思う。
私も数多くいる中の、そんな京都の大学に通う大学生だった。
京都の得体のしれない空気感や、個性のある街の特徴を当たり前に自分と共有できるところ。
なんとなく感じていたり、目に見えるもの、見えないものを言語化してくれているようで、小説の世界観がとても心地よい。
主人公の目線の動きがありありと伝わるし、行動の道筋に矛盾がない。
私もそこからそこ行くなら、下賀茂神社通るなあとか。
その道からならあの店の看板が見えるなあとか。
それに、やっぱりキャラクターの、いい意味で「大学生感」がすごい。
今思えば私の周りにも異常な落ち着きを払った師匠のような先輩や、
ちょっとした妖怪とのハーフのような同級生や、
自分の道をまっすぐすすむ、孤島の美女とかがいた。
高校生の頃の友達は、
いろいろな要素がある種似通った、「想像の範囲内」の人が多かった。
けれど大学は、一山超えて、
いや、こんなやつまじでおるんか?
どうやって入学したんや?
アルコールと水は同成分なんか?
といった、もうわけわからんやつは確かにいて。
普通の顔して普通の言動してるのに、
頭の中がぶっ飛んでる奴もたくさんいて。
多分みんな知り合いの知り合いとか、先輩の彼氏とか、そういった中には絶対いたであろうキャラクターを、
すごくリアルに、そういうやつはそういう行動するよなって思えるところが好き。
今思えば、大学生のころは、人生で一番枠組みの大きな自由が与えられていた気がする。
本当に大きな、目には見えないほどの柵の中で、
自由を強制される。
どこまでも遠くには行けないけれど、手の届く範囲はどこでも行ける。いつでも行ける。そう、単位さえ獲得すれば。
自由ですという選択をたくさん用意されすぎて、
自分でも自分の行動にわけわからんくなったりして。
それをこねくり回して言い訳臭くして自意識過剰にしたら、主人公のようになってしまうのは、全然ある。
主人公は、どの世界線でも、結局のところ同じような人たちに囲まれ、
入学当初思い描いていたバラ色のキャンパスライフとかけ離れている現状に嘆いているけれど、
実際のところ、結局起こりうる人生のイベントはある程度決められていて、
そのポイントをどうにかして押さえていく様を神様はおもしろがっているのかななんて思います。
私にとってこの小説のいいところは、
「人生一度きりだから、その一回を大切に」の真逆をいっているところで。
大学生活をないがしろに過ごしたバチ?なのかと思わせながら始まる「八十日間四畳半一周」なんて、
結構リアルに想像したらつらい。
けれど、もしあのとき違う選択をしていたら、というものをたくさん見せてもらったおかげで、
結局どれもおっけーよねって、いい意味で危機感をなくしてくれる。
きっと振り返ったときのこの人生は、これでおっけー。どういったってこうなってたの。って。
とにかく本当に森見登美彦先生のファンなのです。結局のところ。
いつまでもこの世界を面白がれる大人のままでいたいなあと思います。
大学生マインド永遠に。