アカデミック読書会(第46回)- 国家と海賊 -
読書会概要
7月14日(木)、20:00~21:30、オンライン(Zoom)にて、アカデミック読書会(第46回)を開催しました。参加者は2名、ファシリテーター1名の読書会でした。1名のかたは、初参加でした。
課題本は、フェルナン・ブローデル『地中海III』「第II部 集団の運命と全体の動き」「第7章 戦争の諸形態」です。テーマは、「16世紀地中海での戦争とはどのようなものだったのか?」です。
読書会の対話では、主に、要塞と海賊の話をしました。第7章のタイトルが、「戦争の諸形態」とあるとおり、16世紀の地中海ではさまざまな戦いの形態があったようです。
ブローデルは、世界を「イスラム教世界」と「キリスト教世界」とに分けて論じています。国家や領土、人種ではなく、文明や宗教で世界を分けているのが印象的でした。第6章でブローデルは文明を取り上げていることを考えると、近代国家がまだ完全には成立していない16世紀の地中海地域の様子を説明をするには、文明や宗教の区切りで世界を分けたほうが、国家の単位で分けて論じるよりも適切だと考えたのかもしれません。
海賊行為は、『地中海III』の他の章においても度々言及されてきました。「第5章 社会」の内容から、海賊の背後には、都市や力のある国家が存在していることがわかります。例えば、無敵艦隊を破ったドレークにはイギリスが、北アフリカのバルバリア海賊の背後にはオスマン帝国が存在しました。国家が海賊を利用していたことを考えると、海賊は、国家の裏の軍隊と考えても過言ではないと感じました。
今回は、国家による戦争と、国家と結びついた海賊について考える読書会でした。ご参加されたみなさまには、厚く御礼申し上げます。
次回(第47回)は、「第8章 結論にかえて ―― 変動局面と経済情勢」です。「第II部 全体の運命と全体の動き」の総まとめ的な内容です。ご参加お待ちしております。
読書会詳細
【目的】
【問いと答えと気づき】
【対話内容】
【気づきと小さな一歩】
【板書PDFファイル】
読書会の板書をひとまとめにしたPDFファイルです。
次回の読書会のご案内
【開催日時・場所】
2022年8月11日(木)20:00~21:30 @ZOOM
【テーマ】
長い16世紀とはどのような時代だったのか?
【課題本】
フェルナン・ブローデル著、浜名優美訳『地中海III 集団の運命と全体の動き2』「第8章 結論にかえて ― 変動局面と経済情勢」
【詳細・申込み】
※『地中海I』「第I部 環境の役割」まとめ動画: