アカデミック読書会(第45回)- 諸文明を繋いだユダヤ人 -
読書会概要
6月9日(木)、20:00~21:30、オンライン(Zoom)にて、アカデミック読書会(第45回)を開催しました。参加者は2名(途中から参加された方が1名)、ファシリテーター1名の読書会でした。
課題本は、フェルナン・ブローデル『地中海III』「第II部 集団の運命と全体の動き」「第6章 文明」です。テーマは、「地中海の諸文明はどのように影響し合ったか?」です。
今回の読書会では、初めて、Google Jamboard (オンライン・ホワイトボード)を使用しました。付箋に言葉を書いて自由に動かしながら、考えを可視化し、発想を広げる試みでした。
16世紀の地中海の文明は複雑でした。キリスト教(カソリック、プロテスタント、ギリシャ正教)・イスラム教・ユダヤ教という宗教の多様性、スペインやローマなどの地域、民族の多様性が見られる地域でした。
多様な文明の緩衝役を果たしたのがユダヤ人でした。10の言葉を話す人が何人もおり、通訳としても活躍しました。スペインから追放されたユダヤ人がトルコに渡り、印刷技術をもたらしそうです。ユダヤ人は、地中海において、それぞれ異なった文明を繋ぎました。
また、ユダヤ人は、資本主義の発展に寄与しました。ユダヤ人の共同体はどこにでも在り、ネットーワークが形成されていたこと、ユダヤ教の教義に「利子をとってはいけない」という制約がなかったことが大きな要因であると考えられます。
フェリーペ2世はカソリックでスペインを統一しようとし、異教徒たち(プロテスタント、ユダヤ教徒、モリスコ(キリスト教に改宗したイスラム教徒))を処罰・追放しました。その結果、スペインは多様性を失い、その他のさまざまな要因(戦争による借金など)もあって衰退してしまいます。
文明の発展には、文明の多様性と多様な文明ををつなぐ役割を果たす人々が必要であると、今回の読書会の対話で感じました。ご参加されたみなさまには、厚く御礼申し上げます。
読書会詳細
【目的】
【問いと答えと気づき】
【対話内容】
【気づきと小さな一歩】
【板書PDFファイル】
読書会の板書をひとまとめにしたPDFファイルです。
次回の読書会のご案内
【開催日時・場所】
2022年7月14日(木)20:00~21:30 @ZOOM
【テーマ】
16世紀地中海での戦争とはどのようなものだったのか?
【課題本】
・フェルナン・ブローデル著、浜名優美訳『地中海III 集団の運命と全体の動き2』「第7章 戦争の諸形態」
【詳細・申込み】
※『地中海I』「第I部 環境の役割」まとめ動画:
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