【エッセイ】もしもあの時、電話をしていなかったら・・
私には児童発達支援施設(以下、自発)、つまり療育に通う3才の息子がいる。
療育に通っているということは「障がいがある」ということだ。
彼の診断名は”自閉症スペクトラム”。所謂、発達障害、その中でも”コミュニケーションが苦手”っていうアレだ。
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そんな彼は、自発に通い始めてから急成長を遂げた。
3才をすぎても「ママ」や「とって」くらいしか発語がなかった息子が、自発に通い出してものの2〜3ヶ月でペラペラ喋るようになったのだ。
こうした姿を見ると、心の底から
「あの時、自分で選んで良かった」と思う。
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”あの時”とは、今年の3月のこと。
それがどんな状況だったのかお伝えするために、更に遡って去年の8月ごろの話からさせて頂きたい。
この時、私は自発探しに奔走していた。
9月に専門医との初診が控えていたからだ。「診断されれば、自発に通える」と思い込んでいた。
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準備万端で臨んだ初診。予想通り「ASD」と診断された。2才9ヶ月の時だった。
息子はまだ「ママ」も言えず、私はやっとやっと支援と繋がれると、診断を好意的に受け止めた。
しかし、「まだ児童発達支援はいらない」と言われ、自発に繋がれなかったのだ。完全に予想外だった。
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自発の代わりに、翌月から行政がやっている親子教室に通うことになった。
月一回40分の教室。
これは果たして意味があるのだろうか・・。
そんな疑念が払拭できず、私は療育の代わりになる幼児教室を探すことにした。
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そこで出会ったのが、療育で行うような運動・言葉・手先の器用さなどに取り組む幼児教室だ。
週一回、息子は楽しく通った。
そして「はー!」「ひー!」「ふー!」「へー!」「ほー!」と言う先生を真似して「はー!」「いー!」など言葉を発するようになった。
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一方、行政の親子教室には半年間通ったにも関わらず、先生の顔すら覚えず、三輪車で先生を攻撃する始末だった。
そう、相変わらず、行政の教室には意味を見出せずにいた。
しかし、幼児教室によって大きく成長を実感できたことで、私はある程度、満足していたのかもしれない。
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こうして迎えた今年の3月。「あの時」がやってくる。診断から半年が経って、経過観察の専門医の診察だ。
この時の私は「絶対、自発に!」という初診時の気合はなくなっていて「専門医の先生のアドバイスに従おう」という気持ちになっていた。
「今後、どうしたら良いですかね?」と問う私に、医師はこう告げた。
「どっちでも良いですよ。療育は多くやれば良いってものでもないし。」
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医師は丸投げだった。「こうしたい!」という具体的なプランを考えていなかった私は、この意見に動揺した。
息子の最適な道筋は”医師”が考えてくれるもの、と勝手に期待していたのだ。
こうして、「そのままでいいです」と答えてしまった。
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診察が終わり帰路につく。私はすぐに後悔し始めた。今、自発に繋がらないと次に自発に繋がれるタイミングはいつになるのか分からない。
色々悩み、夫にも相談した結果、その日のうちに「やはり自発に繋がりたい」と電話をしたのだった。
前言撤回をするこの電話は、私にとって勇気のいるものだった。
こうして、自発に通うための受給者証を発行する手続きに進むことになったのだった。
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その後、本当に色々あり、我が家は受給者証を取得してすぐに引越すことになった。
ただ、受給者証を持っていたことによって、引越し後にかなり助けられることになる。
まず、急遽引っ越したおかげで保育園も幼稚園にも通えない1ヶ月ができてしまったとき。自発は、息子に日中の居場所を提供してくれた。
そして、その自発に通い出して、息子はペラペラと喋るようになったのだ。
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もしもあの時「自発に変更したい」と電話をしていなかったら・・。
こちらの自治体では、医師の診察が半年以上先まで予約で埋まっていた。つまり、自発に通えるのは下手をしたら1年くらい遅れていたのかもしれない。
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もしも1年間、自発に繋がるのが遅くなったら。彼は、今頃喋っているのだろうか?
毎日のように「○○(自発の)せんしぇい なんじ くる?」と先生に会いたがる息子は、何を楽しみに生きているのだろうか?
自発に通い始め、イキイキとする息子を見るたびに、あの時、勇気を出して自発への変更を願い出て良かった、と思う。
これが私の「自分で選んで良かったこと」である。
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人生において幾度も「選択」を迫られる時があると思う。
私のように「誰かに丸投げ」を前提にアドバイスをもらうのは危険。
「主体的に選ぶ」ことを前提にした思考が大切なのだと学んだ一件でした。
どうぞよしなに。
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