結局様々な偶然がその人のスタイルを決める。

 昨日せっかくベースを始めた時の事を書いたので、その一年後ぐらいまでの事を書きたい。たまたまビートルズが好きでヴァイオリンベース(のコピーモデルって、もうええか)を買ったのだが、なんとヴァイオリンベースはベースとしてはかなり珍しいセミアコ(つまりボディがある程度空洞になっているのでアコースティック・ギターみたいにアンプに繋がなくてもある程度の音量は出る)構造だったので、アンプが買えない状況でもある程度ちゃんと練習が出来た。しかしやはりアンプに繋ぎたいとは思っていたので時々ステレオのコンポのAUXに繋いだりしていたのだが、父から「ステレオが壊れるからやめてくれ」とクレームをもらっていた。なのだが「じゃあステレオを使うのやめるから代わりにベースアンプを買ってよ」と言う謎のリクエストは受け入れてもらえるはずもなく、悶々とした日々を過ごしていると…。

 ある日父が会社の飲み会か何かから珍しくかなり泥酔して帰って来た。僕はこれはチャンスとばかり、カセットテープで音声を録音しつつ「ステレオでベース弾かれると嫌だよね?」と言うと父は「うん、そうだね」と「その質問今じゃ無いとダメ?」と言う顔をしながらしぶしぶ答えてくれた。「じゃあべースアンプ買ってよ。3万円だから」と値段を言うと「わかった、買ってあげるからとにかく寝かせて」と言って寝てしまった。後日そのテープをエビデンスとして聞かせてアンプを手に入れた僕、あのナゴシエーションの才能をそのまま伸ばして行けば、今頃ドナルド・トランプの日本版ぐらいにはなれていたのかもしれない。

 そして手に入れたZOOMと言うアンプ(皆さんが今リモートで仕事しているあれじゃ無いです)、何故かベースアンプなのにご丁寧にヴォリュームとマスターヴォリュームが付いていたので、ギターの友達がやっているみたいにヴォリュームを上げてマスターを絞ると「うっひゃ〜、ジャック・ブルースやクリス・スクワイアの音じゃん!」と言うギンギンに歪んだベースのトーンが出来上がった。そこから今の「何故かいつでも歪んでいる」と言う僕のベースのスタイルが出来上がったのだと思われる。

 いや〜、そう考えると人生ってただのハプニングの連続なんですね。なので上手く行っても失敗しても、殆ど自分のせいでは無いのかもしれない。これからもハプニングに良い感じに流されて、楽しくこの人生という大海原を漂って行かれたら嬉しいな、なんて思うんである。

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