【読書感想文(7)】柏葉幸子『霧のむこうのふしぎな町』(1975年)
おそらく主人公リナと同年代の子ども向けに書かれた児童文学なので、大人が読むと、若干生温かい気持ちになってしまう部分もあるが、それはそれとして素敵な小説であることは間違いない。
まず良いなと思ったのは、めちゃくちゃ通りへ行く方法についてだ。ファンタジーにとっては、物語の本筋とは別に、いかにして異世界への扉が開かれるかがとても重要になる。例えば『ハリー・ポッター』シリーズが「9と4分の3番線」という不思議な空間に突進することでホグワーツ魔法学校へ行くことができるように、まだ見ぬ