原題:An Homily against Disobedience and wilful Rebellion. (不服従と反乱を戒める説教)
第5部の解説をします。聖句でいうテーマはこれでしょう。
すべて人間の立てた制度に、主のゆえに服従しなさい。それが、統治者としての王であろうと、あるいは、悪を行う者を罰し、善を行う者を褒めるために、王が派遣した総督であろうと、服従しなさい。(ペトロの手紙一 第2章13~14節)
第5部のポイントは次の4点です。
①第4部の振り返り
②反乱の元となる悪徳~野心と無知
③教皇によるキリスト教界の混乱
④結びの短い祈りと一同に唱える祈り
まず冒頭で第4部が振り返られます。
第5部の本題に入ります。反乱の元となる2つの悪徳、野心と無知です。
野心と無知によって人間は反乱に走る。そしてこの2つの悪徳にかかわって言えば、人間には2種類いるということが述べられます。
このうち後者にかかわり、悪魔に唆されずに善を行い、この世の権力に服従する人々の例として、聖書から使徒の生き方が紹介されます。
ところでローマカトリックは、教皇を使徒ペトロの後継者と位置づけ、それを継承しているものされているのですが、この説教では、その教皇がこのペトロをはじめとする使徒たちの生き方に沿ってもいなければキリストの教えにも従っていないことを批判しています。この説教集の他の章でもたびたび見られますが、反カトリックの色彩を強く帯びています。
教皇は聖職者としての立場をわきまえず、この世の権力者たろうとして、神に定められた君主たちを配下に置こうとした。それによってさまざまな争いが起こり、キリスト教界の崩壊につながっていると強く述べられます。
反乱と不服従は悪であるのに、ペトロの後継者を自任する教皇がそれを唆す悪魔となっている。この状況を厳しく糾弾し、短い祈りのあと、第4部までと同じく一堂に唱える祈りをもって、第5部は終わります。
今回は第二説教集第21章第5部「無知と野心こそ悪の根源なり」の解説でした。次回はこの試訳をお届けします。
Twitterもご訪問ください。
主の平和/高校英語教師のひとこと説教集(@sermons218tm) / Twitter
聖書日課/高校英語教師の朝夕の祈り(@bible218tm) / Twitter
翻訳出版を目指す高校英語教師(@tmtm218tm) / Twitter