【症例紹介#6】のどの詰まり感(梅核気)
患者とその背景
患者:30代女性
主訴:頭痛・不眠・喉の閉塞感・軽いめまい。特に喉の詰まり感が苦しく、パニックになりそうになる。
状況:仕事が忙しいことに合わせ、子供が小さく育児にも追われ疲労している。性格的に完璧を求めてしまうため、納得ができるまで用事を片付けないと眠ることができない。常に何かに追われているような気がして眠ってもすぐに目が覚めてしまう。
望診と所見
望診:月に一度の頻度で通院している患者であるが、この日ははっきりと元気がないのが見てとれた。肌にハリがなく、目に力がない。声も小さく目を合わせない。
脈所見:細く拍動に力がない。
舌所見:やや紅い。
身体所見:背筋から後頚部にかけて強い緊張があり、皮膚に「あそび」がない。頚部に関しては筋肉が硬くなり、膨隆している。
治療開始
治療内容:皮膚に「あそび」がなくなるほど張りが強くなるということは、それだけ神経が昂っている証拠なので、いきなり鍼を打つと痛いだけになり逆効果である。
整体術でしっかりと按揉(あんじゅう・揉むこと)し、緊張を解いていく。
頚部の緊張が特に強いが、これを力づくで押すことも厳禁で、指を患部に沿わせ、筋肉と筋肉の溝に指を滑り込ませるよう意識して差し込んでいくことによって、「トリガーポイント」を狙うことができる。
トリガーポイントを押圧すると驚くほど綺麗に筋肉の緊張が解けるので、そのスキに鍼をトリガーポイントへ挿していく。緩んだ筋肉に挿すことで、不要な痛みを避けることができる。
記部位を中心に押圧、挿鍼した。
施術後の考察
考察:喉の詰まり感は、東洋医学では「梅核気(ばいかくき)」と呼ばれる。
ストレス玉とも呼ばれ、名前の通りストレス過多の際に見られる深い症状である。ストレスは頭部に現れやすいので、肩周りの不快感を取り去ることで案外簡単に梅核気は取り去ることができる。
患者も施術後は「全く感じない。今日はよく眠れそうで嬉しい」
と喜んで帰っていった。
終わりに:肩や首の凝りは、疲れよりも精神的な不快感、謎の不調、というカタチで現れることが多い。病院にいっても「どこも悪いところはない」と言われることが多いのもこの為であると言われている。
養生法
養生法:上記写真の部位に、せんねん灸を施すと良い。
火を使うことに抵抗がある場合は、火を使わないお灸もあるのでコチラを試しても同様の効果を得ることができる。