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問題解決のプロが伝授する、ビジネスで勝ち抜くための思考術/コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法

コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法』を読みました。
以下、気になった文を引用しながら感想を書いてみます。

本書は、マッキンゼーとボストン・コンサルティング・グループ(BCG)という、世界最高峰の2大コンサルティングファームで活躍した著者が、その経験を惜しみなく公開した一冊です。

ビジネスパーソンが知っておくべき問題解決のフレームワークから、コンサルタントならではの思考法、そして未来のコンサルタントに求められるスキルまでを網羅した、まさに「全技法」と呼ぶにふさわしい内容となっています。

本書の冒頭で著者は、問題解決の本質について次のように述べています。

「多くの場合、問題は、ラベルを貼れるほど単純ではない。問題解決というのは、先ほど述べたように、いわば総合芸術なのだ。あらゆるものを駆使して、あらゆる角度からロジカルに考える。そして、最後は、論理を超える。」

コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法

この言葉が示すように、本書は単なるフレームワークの解説にとどまらず、それらを実践で活用するためのコツや落とし穴まで詳細に解説しています。
例えば、コンサルタントの基本的な思考法について、著者は次のように説明しています。

コンサルの秘技のひとつを、ご披露しよう。本当の問題を特定するにあたって、コンサルは、当初クライアント企業が解決を相談してきた問題以外のところにこそ、本当の問題がある、という仮説のもとに分析する。

コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法

また、問題解決のプロセスについて、著者は以下のような4段階のアプローチを提案しています。

①WHAT:何が問題なのか?
②WHY:なぜ、それが問題なのか?
③WHY NOT YET:なぜまだそれができていないのか?
④HOW?:それができるようになるにはどうすればよいか?

コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法

特に「WHY NOT YET:なぜまだそれができていないのか?」という視点は、本書の中でも非常に重要な概念として繰り返し強調されています。

本書の特徴の一つは、マッキンゼーとBCGという2つの異なるアプローチを比較しながら解説している点です。著者は両社の違いを次のように描写しています。

最初に答えを出すマッキンゼー、相手が自分で気づくのを上手に導くボスコン。

危機感を煽るマッキンゼー、使命感に火を点けるボスコン。

コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法

この比較は、読者にコンサルティングの多様なアプローチを理解させるだけでなく、自分のスタイルを見つける手がかりを与えてくれます。

本書は単に問題解決の技法を教えるだけでなく、価値創造の重要性も強調しています。著者は次のように述べています。

問題を成長の機会に変えることを意識しながら、課題を設定することがカギとなる。さらに言えば、いまの暗いトンネルの先に、明るい未来が開かれているという設定の仕方をする。そうでなかったら、やる気がしない。みなをその気にさせることはできない。

コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法

この視点は、単なる問題解決を超えて、新たな価値を生み出すという高次の目標に読者を導きます。

本書にはいくつかの課題も見られます。一部の読者からは、事例の解釈に疑問を呈する声もあがっています。例えば、あるレビュアーは次のように指摘しています。

任天堂Wiiが大成功してプレイステーションが大失敗したのは~だからなのである」という例が、成功例×失敗例として再三再四出てくる。もうおわかりでしょう、事実関係としてすでに間違えている(実際はその後Wiiが失速しプレステは快進撃)。

本書のAmazonレビューより引用

このような指摘は、本書の内容を鵜呑みにせず、批判的に読む必要性を示唆しています。

しかし、この点を差し引いても、本書から得られる学びは非常に大きいと言えます。特に、問題の本質を見抜く力、構造化して考える方法、そして何よりも「Why Not Yet:なぜまだそれができていないのか?」という視点は、ビジネスの現場で即座に活用できる貴重な知見です。

著者は本書の最後で、これからのコンサルタントに必要なスキルについて次のように述べています。

「洞察力・共感力・人間力が自身の資質を磨くための大事な能力である」

コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法

この言葉は、単にコンサルタントだけでなく、すべてのビジネスパーソンに当てはまるものではないでしょうか。

本書は、コンサルタントを目指す人はもちろん、ビジネスパーソン全般、さらには経営者にもおすすめです。特に、問題解決力を向上させたいビジネスパーソン、戦略的思考を身につけたい管理職・経営者、そしてAI時代に負けない「人間ならではの思考力」を磨きたい人に大きな価値をもたらすでしょう。

本書を読むことで、問題の本質を見抜く力、構造化して考える方法、そして新しい価値を創造するための視点を獲得できるでしょう。ただし、本書の内容をそのまま鵜呑みにするのではなく、自分なりの解釈と批判的思考を加えながら読み進めることをおすすめします。

なぜなら、本書が教えてくれているのは、まさにそのような「考える力」こそが、コンサルタントを超える究極の武器だからです。

「見てから跳ぶのではなく、跳ぶことによって見えてくる、新しいことが発見できる。」

コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法

この言葉こそ、本書の真髄を表していると言えるでしょう。

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