【簡単あらすじ】倒産続きの彼女(微ネタバレ)【新川帆立/宝島社文庫】
『 玉子の好きにしたら良いんじゃない? 』
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美馬玉子の勤務する事務所に設置された、ある企業の外部窓口に【件名】倒産続きの同僚
という内部告発のメールが届く。
内容は、ある同僚が転職する度にその会社は倒産する、というもの。
玉子は、それから内部告発企業について調べ始める。
初めは、「バカバカしいこと」「アホらしくてやってられない」という考えの玉子たちだったが、調査を進めるうちに、新事実が発覚する。
さらに、会社内で壮絶な事件も発生し…
実際に、連続殺『法人』事件は起こっていたのか。
そして通報通りの犯人なのか。
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弁護士・剣持麗子シリーズの第二作目になります。
ですので麗子も当然登場しますし、物語のポイントポイントではかなりの存在感を出してきますが、本作では、麗子の同僚で一歳年下の弁護士・美馬玉子が主人公の作品です。
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美馬玉子の性質を一言で表すと、一般人が考える「二十代の働く女性」のイメージに近い「キャリアウーマン(死語)」です。
合コンの席で、男性側から「女性弁護士かよ」というちょっとマイナスな反応を示された後に、自分を殺したぶりっこで対応しその場の雰囲気をやわらげたり、才色兼備の剣持麗子を見るたびに・仕事を共にするたびに、どうしても世の中の不公平や不条理を感じてしまったり。
色々なことに・自分でもはっきりと自覚していないことに悩んでいる・悩まされている美馬玉子が、「倒産続きの彼女」という一通のメールからはじまる事件を通じ、変化し成長する作品です。
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今回で、元彼の遺言状・倒産続きの彼女・剣持麗子のワンナイト推理という、剣持麗子シリーズ三作を読了しました。
三作を読了することで、
黒幕のトラの存在と、剣持麗子・美馬玉子との因縁。
麗子を取り巻く、敵・味方の人間模様。
をはっきり理解することが出来ます。
剣持麗子という強烈な個性を持つ主人公を中心とし、その強烈な個性に負けない優れた才能・能力を持つために巻き込まれる事件とその解決。
剣持麗子シリーズは、個人的に、海堂尊さんのチームバチスタシリーズを思い出す内容です。
あちらの作品は、主人公の性別が男性であり、あだ名がグッチーとつけられるような一見パッとしない見た目と能力です。さらに、担当が外科ではなく、不定愁訴外来という花形でない部門を中心とした物語であり、一見すると本シリーズと対局の位置にあると思われるかもしれませんが、私は両作品の雰囲気が似ていると感じます。
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本シリーズがどこまで継続するか、麗子を取り巻く事件・人間模様がどれだけ広がりを見せるかは分かりませんが、ミステリ好きの方だけでなく多くの方が、これから読み始め、シリーズ完結まで追いかけて良いシリーズと思います。
前回も記述しましたが、元彼の遺言状で剣持麗子の性質が苦手と感じた人でも、他の二作を読了すると、その印象が変化する、もしくはその性質がクセになる、となる可能性が高いので、多くの方にシリーズ全作を読了することをおすすめします。
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