【簡単あらすじ】袋小路くんは今日もクローズドサークルにいる(微ネタバレ)【日部星花/宝島社文庫】
事件現場に立ち入ると、空間を強制的に「クローズドサークル」にしてしまう呪いを持った高校生の学園生活。
そんな高校生が普通の学園生活を送れるはずもなく、様々な事件に巻き込まれます。
クローズドサークルは、ミステリ作品として王道の舞台です。
具体的には多くの方が、無人島や雪山・山奥などを思い出すと思いますが、スマホの普及と高性能化が進んだ現在では、舞台を用意するにも制約が多く、そのためクローズドサークルを扱った作品が少なくなってきたと思います。
それを残念に思っている方も多いのではないでしょうか。
私も、こういった舞台で進められる作品はかなり好みのため進んで読了しますし、内容的にも「はずれ」と言われる作品が少ないと思っています。
今作品も、その期待を裏切ることのない良作だと思います。
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この作品では主人公の血筋の呪いという(少々強引な)設定により、この希少になってしまった舞台を何度も楽しむことが出来ます。
クローズドサークルを作るには大掛かりな前準備が必要ということもあり、「学生+学校」×「クローズドサークル」という、中々無い組合せのミステリ作品です。
学校という日常生活感満載であるはずの舞台が、クローズドサークルという非日常感満載の舞台に突然置き換わる、といった前提が面白いです。
登場人物が学生中心でのクローズドサークル作品というと、某ジッチャンの名にかけての「オペラ座館殺人事件」を思い出すくらいの、にわかミステリ読者の私ですが、中々無い設定の作品なだけに新鮮に読むことが出来ました。
主人公のふくろうさんは、あまり推理能力の無いほんわか男子高生。
推理能力のある某女子高生は、容姿端麗で頭も良いが、人付き合いの上手でないクールビューティ(古い表現…)。
この二人(?)が中心となって、ふくろうさんの呪いの発動によってクローズドサークルに変貌した、「図書館」「美術室」「視聴覚室」「音楽室」で起こった事件を解決していきます。
上記のように、主要登場人物についてはありきたりな設定と思うかもしれませんが、あえてこの設定にしたからこそ、第四章から終章への急展開に対しても無理無く読み進めることが出来ました。
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表紙の絵柄から、私のようなおじさん方には購入するためのハードルは高いかもしれないと思います。
私は、「町なかのシュークリーム専門店で、普通に何の躊躇いもなく若い女性に混じって行列に並んで購入出来る人間」なので問題は無かったのですが、そうでない皆さんも、購入して読了すれば中身について満足されるのではないでしょうか。
このミス大賞シリーズ作品として、納得の中身でした。
ワトソン役?のふくろうさんとホームズ役の年下女子高生の絡み方から、続編があっても何ら問題の無い終わり方です。
出版されれば、その続編も読んでみたい内容でしたが、作者さんはどうされるのか、こちらも気になる点です。
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