【簡単あらすじ】カレイドスコープの箱庭(微ネタバレ)【海堂尊/宝島社文庫】
様々な事件を乗り越え、閉鎖を免れた東城大学医学部付属病院。
今回は、田口医師へ「誤診疑惑」の調査が依頼される。
その原因は、検体の取り違えか、診断ミスか、それとも…
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愚痴外来・田口公平医師と、厚生労働省大臣官房秘書課付技官・医療過誤死関連中立的第三者機関設置推進準備室室長・白鳥圭輔のコンビ(トリー&グッチー)の最終章です(と私は思っています)。
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今回、田口医師は、
①アメリカの名門、マサチューセッツ医科大学(MMS)で学生数百人の前で特別公演を行い、最上級の拍手であるスプーン・オベーションを受け、
②病院内で発生した、ある患者について病理が誤診だったかどうかの調査を行い、
③日本国内のAi標準化のために「Ai標準化国際会議」の座長を務める。
という、世界を股にかける大活躍をします。
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当然ですが、上記問題解決のために途中で様々な障碍が発生します。
しかし田口医師は、今までのシリーズで様々な困難に対峙してきたからか、今作においては、突然の問題発生に対しても余裕すら感じられる対応をしているところも見受けられます。
その結果、対外的には「Aiセンター創設者であり、世界権威」となり、東城大学医学部付属病院内でも、ほとんどの方から「院長代理」(=その権力も保持する)とみなされるようになりました。
初期の田口医師からは想像出来ないほど出世している(本人は全く望んでいませんが)状況になりましたので、バチスタ(田口&白鳥)シリーズのちょうど良いまとめの作品だと思います。
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チーム・バチスタの栄光の段階では、不定愁訴外来をねぐらにし、平和な日常を送っていた田口医師でしたが、周囲の同僚や知人に支えられ(操られ?)、様々な問題に取り組み解決していくという現状は、本人の最初の願望とは全く違ってしまいましたが、これはこれで田口医師に相応しい状況と感じさせる作品でした。
作者はどんどん新刊を発行しておりますので、興味のあるシリーズが発行されたら、また読み進めたいと思います。
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