【簡単あらすじ】探偵さえいなければ(微ネタバレ)【東川篤哉/光文社文庫】
烏賊・ハリセンボン・ヤマメなどをモチーフにした、さまざまな着ぐるみが集う烏賊川市のビッグイベント「ゆるキャラコンテスト」。
その準備中に、一人の出場者が胸を刺されて死んでいるのが発見された!
何とかコンテストを開催したいという、責任者・参加者の思惑から、事件解決のリミットはコンテスト開始までの一時間。
ちょうどそこに居合わせた探偵の鵜飼が真相解明に乗り出す…!
上記「ゆるキャラはなぜ殺される」の他、五編が収録されています。
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東川篤哉さんの烏賊川市シリーズの第八作目で、表紙を「日常」「CITY」でおなじみのあらゐけいいちさんが担当しているということで、書店で見かけたときに即買いしました。
読み進めると、烏賊川市の舞台設定とあらゐけいいちさんの作品の雰囲気がとてもマッチしており、一気読みしてしまいました。
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1.倉持和哉の二つのアリバイ
レストラン・プロデューサーの倉持は、自分の提案を拒否した資産家の安西を殺害する。
その後アリバイ作りのため、探偵の鵜飼を利用しようとするが…
2.ゆるキャラはなぜ殺される
⇒ 最上段参照
3.博士とロボットの不在証明
最新機能を搭載したロボット…ではなく、今どきのロボットとしては当たり前の機能を搭載した二足歩行ロボットを完成させた秋葉原博士。
完成させるため借金をしたが、返済のあては全くなく、借主を殺害することに決めた。
4.とある密室の始まりと終わり
ある人物の浮気調査を依頼され、その依頼を達成した鵜飼。
依頼を報告するため、依頼人と一緒に息子の家に向かう。
完全な密室となっていたその家で、依頼人の息子が殺されていた…?
5.被害者によく似た男
会社社長の兄・一彦と、スーパーでバイトをしながら暮らしている弟・雅人。
この兄弟、見た目は一部分を除きそっくりと言われている。
そこに目を付けたある美女は、自身の復讐のために雅人と完璧なアリバイを作ったが…
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偽物が幅を利かせる名前通りにいかがわしい「烏賊川市」で起こるミステリーを、そこに住む面々がゆるーく活躍し解決する短編集です。
各作品とも、犯人たちは、真面目な動機で真面目にトリックを考え犯行に及ぶのですが、犯人渾身のトリックが、ギャグから回収される想定外の決め手で見破られてしまいます。
こんなことが決め手になるの!?とビックリしてしまう作品集ですので、今作品を読んだ読者の方は、もし何らかの犯人になるとしても、烏賊川市を舞台にはしたくないと考えるのではないでしょうか…笑
東川篤哉さんの短編シリーズが好きな方だけでなく、あらゐけいいちさんの「日常・CITY」が好きな方も、どちらの方でも楽しめる作品です。
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