【簡単あらすじ】犬神家の一族(微ネタバレ)【横溝正史/角川文庫】
『 斧(よき)・琴・菊 』
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信州地方での一大巨頭・犬神財閥の創始者である犬神佐兵衛が亡くなった。
佐兵衛は生涯正室を持たず、三人の側室とその夫と子供たちが相続人だと思われていた。
莫大な遺産について書かれた遺言状は相続人を驚愕させる条件を課されており、さらに側室たちが蛇蝎のごとく嫌う人物も、遺産の相続に大きく絡んでくるものだった。
この内容を聞いた各人は、自らの思惑のために行動する。
そして、不穏な空気を察した犬神家の顧問弁護士は、探偵・金田一耕助に協力を依頼するが…
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以前読んだ、すべてがFになるがかなり面白かったので、
不朽の名作と呼ばれる本作にも手を出してみました。
その結果ですが…、大変満足出来ました!
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本作品は昭和47年初版、そして舞台は戦後まもなくということで、時代背景・人々の慣習や考え方が古く、今では納得しづらい点が多くありました。
しかし、復員者(第二次世界大戦などで海外へ出征した軍人が、生き残り日本へ帰国した人のこと)であるからこその、考え方や行動。
正室ではなく、側室であるからこその女性の恩讐。
などといったことが、謎に深みを持たせ・話の展開につながるという、大変納得のいく展開でした。
また、昔の作品について「今の作品と比べると(色々な意味で)読みづらそう」と考えている方が多いかもしれませんが、表現については、少し誇大表記かもしれませんが、登場人物の一挙手一投足についてとても詳しく表現されています。
今では、そういった詳しい描写はせず、伏線として表現しているだけの作品も多い中、こういった作品は新鮮に感じましたし、とても読みやすかったです。
すべてがFになる・容疑者Xの献身などと同じように、不朽の名作と呼ばれるのに相応しい作品だと思います。
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※上記したように、詳しく・丁寧な表現(言葉)が多かったのですが、あまり聞いたことの無いもの多くあり、辞書で確認しながら読み進めました。
「一例」
・通暁 非常に詳しく知っていること
・しわぶき 咳のこと
・ギゴチない ぎこちないでもどちらでも大丈夫。
上記の表現は、昔の時代背景に入り込むことに一役買いましたし、調べながらの読了なので少し賢くなった気もします笑
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