【簡単あらすじ】ピース<新装版>(微ネタバレ)【樋口有介/中公文庫】
解くヒントはタイトルとカバーにあります。
それでも、この結末は「予測不能」です。
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この小説で重要な二つの舞台。
埼玉県秩父の「スナックラザロ」に集まり夜を過ごす登場人物と、埼玉県で起こる「連続バラバラ殺人事件」の被害者を要約すると以下になります。
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◇スナックラザロ
①「三・四十年前は公安に所属しており、あるきっかけで退職」したスナックのマスター。
②「趣味は百科事典を読むこと。静かな生活が出来ればそれで良いと話す」スナックを手伝う若者。
③「若い頃はテレビ局のカメラマンをしており、現在は山の生活等を撮っている」写真家。
④「東京で出版社に勤務し結婚、離婚し、現在は秩父の地元紙勤務」の女性記者。
◇バラバラ殺人被害者
1⃣「他人からは恨みを買うような人間ではなかった」と断言されている歯科医師。
2⃣「プロのピアニストとしてもやっていける」能力があるものの、都会に疲れのんびりとしたいと滞在していた女性。
3⃣「親への恨みがあり、普段は家の山仕事や畑仕事を手伝う」地元の青年。
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と、上記のように登場人物について要約しただけでは、一見何の関係性も無いように感じますし、つながりが全く分かりません。
中盤までは、各登場人物について深く掘り下げることはなく、掘り下げたとしても、事件と深いつながりがあるとは思えないまま、物語が進んでいきます。
最終盤で「今回の犯人の動機や犯行方法等が解説されます」が、解説役の人物が「私の個人的な仮定で、まあ、妄想とでも言いますか」と言っているように、本当に、この解説通りに上手くいくのかどうか、実際に行ったのか、ということについては引っ掛かるところもあります。
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しかし、その解説によって、
Ⅰ 何故このような田舎町のスナックに、上記のような様々な性質の人物たちが集まるのか。
Ⅱ ある人物における表現で
「ピース、ピース、ピース」と「ピース、ピース」
を、なぜ分けて表現されているのか。
など、一気に各ピース同士が繋がり一つの画になる、というところがとても面白いです。
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帯にある
ヒントはタイトルとカバーにあり。
それでも、この結末は予測不能。
という表現がぴったりの内容でした。
時事問題とも絡んだミステリがお好きな方に、特におススメです。
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