【簡単あらすじ】難事件カフェ(微ネタバレ)【似鳥鶏/光文社文庫】
初めて訪れた人には祠のように見えるかもしれない。
プリエール:フランス語で「祈り」の意味を持つこの店は、確かにどこか魔的な雰囲気をそなえている。
そんな喫茶店には、ちょっと変わった警察官が謎を持ち込み、店員の惣司季(みのる)・智(さとる)兄弟がその謎を解くことがあるという。
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久しぶりの「おじさん世代が手に取りにくい表紙デザインの作品を読了しようシリーズ」です。
2021年下半期のほんタメ文学賞「ミステリー(たくみ)部門」受賞者なので、とても気になっていた作者:似鳥鶏さんの初・読了作品です。
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第1話 喪服の女王陛下のために
初めて訪れた人には祠のように見えるかもしれない、喫茶プリエール。その店を経営している兄弟、兄:惣司季(みのる)は、前マスターの父親が急死した後跡を継いだのだが、最近、元警察官の弟:智(さとる)が手伝っている。
現在、弟の元職場の女性(巡査):直ちゃんが通っているのだが、それは、弟にある事件の手伝いをして欲しいというお願いを持っているのだった。
第2話 スフレの時間が教えてくれる
ある殺人事件で、第一発見者が容疑者として疑われている。
容疑者の印象では無実のように見えるが、その他に犯人らしき人物が見つからない。
直ちゃんはまたしても、智に力を借りようと喫茶店に通いつめる。
第3話 星空と死者と桃のタルト
直ちゃんがお盆明けの休日に、親戚が所有している田舎のログハウスで休養しないかと、季・智兄弟と喫茶店の常連である女性弁護士:的場を誘う。
そのログハウスで、的場のピアノ演奏や星空を楽しんだ四人だったが、次の日、ログハウス周辺の倉庫で、人が死んでいるのを発見する…
第4話 最後は、甘い解決を
的場さんは、過去に二度「自分の母親」「母親のように育ててくれた方」が殺された事件を経験していた。
その事件の犯人が捕まっていないと知った智は、初めて自分から事件の解決のために動き始める。
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ひと言でまとめると、舞台の雰囲気や人間関係について、大変読みやすく頭に入ってくる文章で書かれている作品でした。
もちろん、ミステリー部分についても素晴らしいのですが、主人公周辺の登場人物同士のやりとりだけでなく、各話の様々な舞台(ロースクール・町工場・発展し始めの田舎など)の中の人間関係も、文章を読むだけで違和感なくイメージ出来るように描写されています。
また、ミステリー部分だけでなく、上記したような、各話に差し込まれているスイーツ情報(裏話も含む)が、ちょうど良いアクセントになっています。
ですので、あまり文章を読まない方でも・文章より映像が好きな方でも・少しの合間の時間に読書をすることが多い方にも、大変おススメ出来る作品です。
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(少なくとも)私にドンピシャの作品であり、顧問先へ移動中の電車内で読み切ってしまいました。
そして「終わり良ければ総て良し」ということわざもありますが、本作品も、最後は、エピソードとして頭の中で映像化して再生出来るほど、凄く綺麗な終わり方でしたので、引用させて頂いてこの記事の締めとさせて頂きたいです。
もし、今回の文章を読んで少しでも似鳥鶏さんに興味を持って頂いたのならば、
youtubeほんタメch「2022/05/11『推理大戦』のきっかけはある格闘漫画だった!?」もご覧いただけますと、さらに作品を深く楽しめると思います。
トークも面白い方なので、見て損することは決してありません。
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