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【簡単あらすじ】難事件カフェ(微ネタバレ)【似鳥鶏/光文社文庫】

初めて訪れた人には祠のように見えるかもしれない。

プリエール:フランス語で「祈り」の意味を持つこの店は、確かにどこか魔的な雰囲気をそなえている。

そんな喫茶店には、ちょっと変わった警察官が謎を持ち込み、店員の惣司季(みのる)智(さとる)兄弟がその謎を解くことがあるという。



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『はじめに』
段々と冬に向かっている気候になり、朝夜は布団に入りながらゴロゴロして、読書に勤しむことが楽しくなってきた時期ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。
このレビューを読んだことで、作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

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久しぶりの「おじさん世代が手に取りにくい表紙デザインの作品を読了しようシリーズ」です。

2021年下半期のほんタメ文学賞「ミステリー(たくみ)部門」受賞者なので、とても気になっていた作者:似鳥鶏さんの初・読了作品です。

第1話 喪服の女王陛下のために

初めて訪れた人には祠のように見えるかもしれない、喫茶プリエール。その店を経営している兄弟、兄:惣司季(みのる)は、前マスターの父親が急死した後跡を継いだのだが、最近、元警察官の弟:智(さとる)が手伝っている。

現在、弟の元職場の女性(巡査):直ちゃんが通っているのだが、それは、弟にある事件の手伝いをして欲しいというお願いを持っているのだった。

※ヴィクトリアン・サンドウィッチケーキ
夫が亡くなり、元気が無くなったビクトリア女王への慰めのために作られたケーキ。その後、徐々に女王が政治・外交に力を入れるようになったため、この名が名付けられたという。

第2話 スフレの時間が教えてくれる

ある殺人事件で、第一発見者が容疑者として疑われている。

容疑者の印象では無実のように見えるが、その他に犯人らしき人物が見つからない。

直ちゃんはまたしても、智に力を借りようと喫茶店に通いつめる。

※スフレ・ショー
出来立ては非常に柔らかくふわふわとした食感だが、二・三分で萎んでしまうため焼き上がりを食べる必要がある。
ゆえに「スフレは人を待たせる」と言われている。

第3話 星空と死者と桃のタルト

直ちゃんがお盆明けの休日に、親戚が所有している田舎のログハウスで休養しないかと、季・智兄弟と喫茶店の常連である女性弁護士:的場を誘う。

そのログハウスで、的場のピアノ演奏や星空を楽しんだ四人だったが、次の日、ログハウス周辺の倉庫で、人が死んでいるのを発見する…

※桃のタルト・タタン
フランスのホテル兼食堂「オテル・タタン」を営んでいた姉:ステファニーが、タルトを作る際に生地を入れるのを忘れて料理を進めていたが、妹:カロリーヌが機転を利かせ生地を被せるように作成し好評だった商品だったため、こう名づけられたと言われている。

第4話 最後は、甘い解決を

的場さんは、過去に二度「自分の母親」「母親のように育ててくれた方」が殺された事件を経験していた。

その事件の犯人が捕まっていないと知った智は、初めて自分から事件の解決のために動き始める。

※モンブラン
直訳すると「白い山」という意味。
日本では土台に、スポンジやタルト生地を利用することが多いが、フランスではメレンゲを利用し作られることが一般的。
デコレーションにイチゴやマロンを使った商品もあり、バリエーション豊富なお菓子である。

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ひと言でまとめると、舞台の雰囲気や人間関係について、大変読みやすく頭に入ってくる文章で書かれている作品でした。

もちろん、ミステリー部分についても素晴らしいのですが、主人公周辺の登場人物同士のやりとりだけでなく、各話の様々な舞台(ロースクール・町工場・発展し始めの田舎など)の中の人間関係も、文章を読むだけで違和感なくイメージ出来るように描写されています。

また、ミステリー部分だけでなく、上記したような、各話に差し込まれているスイーツ情報(裏話も含む)が、ちょうど良いアクセントになっています。

ですので、あまり文章を読まない方でも・文章より映像が好きな方でも・少しの合間の時間に読書をすることが多い方にも、大変おススメ出来る作品です。

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(少なくとも)私にドンピシャの作品であり、顧問先へ移動中の電車内で読み切ってしまいました。

そして「終わり良ければ総て良し」ということわざもありますが、本作品も、最後は、エピソードとして頭の中で映像化して再生出来るほど、凄く綺麗な終わり方でしたので、引用させて頂いてこの記事の締めとさせて頂きたいです。

この店には時折、事件を抱えた奇妙なお客様が来店する。
もしそれがお客様自身の手に余るものであり、しかも操作と推理で解決可能な物ならば、店主が話を伺うことになるかもしれない。
常連客の警察官が横から入ってきて、話してくださいと促すかもしれない。
そしてもし必要があるなら、店主の弟であるパティシエが、あなたのために解決とケーキを用意してくれるだろう。
三角屋根のふしぎなお店は、今日も悩めるお客様の来店を待っている。

P425/426

もし、今回の文章を読んで少しでも似鳥鶏さんに興味を持って頂いたのならば、

youtubeほんタメch「2022/05/11『推理大戦』のきっかけはある格闘漫画だった!?」もご覧いただけますと、さらに作品を深く楽しめると思います。

トークも面白い方なので、見て損することは決してありません。



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