同期、会社辞めるってよ
2018年の4月、ハエある我が社には俺を含め9人の新人が入社した。そのうち俺と同じ営業部に入ったのは3人、残りの6人は製造部への配属となった(製造メーカーなの)。
そして大学卒業後に新卒で入ったのは営業部の3人で、他は高卒や中途での採用だ。それゆえ普段の仕事で絡みがあるのは営業部の3人だった。全国転勤なので、いる場所こそバラバラだが同じ悩みや悩みや悩みを共有したのは彼らだった。
だから少なくも俺は、入社以来6年苦楽を共にした仲間だと思っている。
そんな中、3年ほど前に1人が離脱した。メンタルの問題で営業部から工場へ転勤となったのだ。あまりのプレッシャーに耐えられなかったらしい。彼は工場では今も活躍している。
そのとき俺は言っちゃ悪いが、羨ましいと思った。
俺も環境も仕事も嫌で嫌で仕方がないし、同じ重力圏にいるはずなのだが不思議と折れていないからだ。もうずーーっとしんどいと思っているが、離れることができないからだ。
不謹慎だが、彼がギブアップできたことを羨ましく思うし、何よりも自分が辛くてこれ以上戦えないことを怖い上司たちに伝えた勇気を讃えたい。彼は自分の役割を果たせる環境を勝ち取ったのだ。
次は俺の番だと思っていた。俺が離脱するだろうとその機満々だった。2022年にこのノートでも「脱出経路」という記事を書き、抜ける機フルマックスで燻っていた。なぜなら
詳しく話すとチョメチョメだが、この会社に先はないと思うからだ。地元とどっぷりな上、ある分野での国内最大手だから潰れることはほぼゼロパーだが、従業員の環境が良くなることは望めないと思える。これは辞意を感じて2年ぐだぐだしているが変わらない。詳しくはチョメチョメだけどね。
と思ったらさぁ。。。
おい!!
6/20まででサヨナラとかどういうつもりだよ!!!!!!!
やっちまった。
ババ抜きのババを引かされてしまった。この世代のソルジャーあと俺だけやん。
そう、1人は工場へ、もう1人は退社。残された同期は呑気にネットの中だけで燻り散らした俺ただ1人になってしまった。
何が脱出経路だ笑 本気の奴はすでに行動を起こしているのだ。
今年で三十路にもなろう男が500万に満たない年収で、意地でも会計を割り勘にする本部の偉いおじさん達と飲みたくもねえ酒で乾杯するマヌケな生活を続行するカードを引かされてしまったのだ。
あーマヌケマヌケ
話を聞いてみると、彼は起業するらしい。
この業界の仕事を会社員としてではなく、独立し、自分ひとりの自由な発想で挑戦してみたいのだそうだ。
俺は聞いてみた。
🤔「いつ思い立ったの?」
😊「3ヶ月前に思い立って決断したんだ。」
🤔「どこで融資を受けるの?」
😊「決めてない、これから考える」
🤔「キャッシュフローの計画は?」
😊「金のことはよくわかんない」
🤔「店舗だすの?」
😊「親戚の土地が借りられるかもしれない、後で聞いてみるわ」
🤔「他社と比べての強みは?」
😊「ホームページをおしゃれにしてGoogleマップの評判を上げる」
……
……
うおい。
ガッバガバじゃねぇか!!
ここまで勢いだけの独立、中嶋勝彦しか知らねえぞ!!
※補足しよう。
中嶋勝彦とは小柄ながら殺気溢れるファイトスタイルで戦う俺の最も好きなプロレスラーの1人だ。彼は長年、プロレスリング・ノアという団体で活動していたが昨年秋に突如フリーランスとして独立。
「海外志向が強い」とマスコミでも報じられていたためアメリカで活動するのかと予測されていたが、蓋を開けてみたら突然アントニオ猪木の後継、「闘魂スタイル」を名乗り出したり、権利団体から怒られて名乗れなくなったり、突然坊主になったりと狭いプロレス界を騒がせた。
そして現在はホームレスのような姿になって現在音信不通、まさしく「何がしたいかわからない」迷走男なのだ。
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どうりで意思決定が早いわけだと思った。
2年前から会社に迷惑のかからないタイミングをおっかなびっくり探り続けた俺が追いつけないわけだ。
いざという時に飛び出せるのは頭より先に身体が動くヤツなのだ。
はあ。
なんか死相が見える。
でも、俺は心底羨ましいと思った。この起業がうまくいくかは俺は知ったこっちゃないが、自分の納得できる人生を歩めるのは彼のような人間だろうと思った。
どころかうまくいく可能性だってあるしね。俺に言わないだけで勝算はしっかりあるのかもしれないから。
はぁ。
俺の脱出するタイミングはどうなるんだろう。
「押し目待ちに押し目なし」
そんな株取引における名言が頭をよぎる1週間だった。
中嶋勝彦がこれからグランドスラム取って歴史に残るレスラーになるかも知れないしね。
俺も頑張るよ、応援してる。