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論語と算盤 渋沢栄一 by エシモの備忘録

◆この本から学びたいこと
今の時代にどう動き、何のために生きるべきか。
また、資本主義社会における発展とは何なのか、この世で働く意味を学びたい。

⑴ぼくたちはどう生きるべきか

★志の立て方
まず自分の頭を冷やし、自分の長所とするところ、短所とするところを細かく比較考察し、その最も得意とするところに向かって志を定めるのが良い。またそれと同時に、自分がその志をやり遂げられる境遇にいるのかを深く考慮することも必要だ。
→夢とリソースの整理だね。

・人格の基準とは何か
人間と動物の違いは、道徳を身に付け、知恵を磨き、世の中のためになる貢献ができると言う点にある。本当に人を評論しようと思うならば、その富や地位、名誉の元となった「成功か失敗か」と言う結果を二の次にし、その人が社会のために尽くそうとした精神と効果とによって、行われるべきものなのだ。

・進むべき道
現状をそのまま維持するだけでは、日本はいつまでたっても彼ら(欧米列強)と肩を並べられない。だからこそ、国家のために商工業の発達を図りたいと言う考えが起こって、ここで初めて「実業界の人になろう」との志がついたのであった。
志を立てようとする青年は、ぜひとも前の人間の失敗を教訓にするのが良いと思う。
→次に来る大きな波は何か、次世代に求められている日本の発展の姿はどんな姿か、逆算して行動するべし!

・文明社会の進歩
文明社会の進歩とは、政治、経済、軍事、商工業、学芸などがことごとく進歩して、初めて真の姿を見ることができる。

・本当の文明
本当の文明を高めていくためには、経済的豊かさと力強さ、この2つのバランスをうまく取ることが必要不可欠になってくる(富国強兵)。軍事力がまず吐出して、経済的豊かさが後に残されると言うのは、よくある例だ。経済的豊かさを実現する前に、まず国の整備のために金銭を使わなければならないと言う現実がある。2つのバランスを失わない努力をするべし。

パリ万博

★GIVER精神について
一個人の利益になる仕事よりも、多くの人や社会全体の利益になる仕事をすべきだ。

書物を著したとしても、
それを多数の人が読むようなものでなければ効率が薄い。
著書は常に自分のことよりも、
国家社会を利すると言う考えで筆を取らなければならない。
福沢諭吉

・良心と思いやりが人の歩むべき道であり、社会で生きていくための基礎。つまり、その人が幸運をつかむもとになるものなのだ。
→これもGIVER精神

・まずは道徳を学べ
豊かさと地位とは人類の性欲とでも言うべきものだが、初めから道徳や社会正義の考え方がない者に向かって、利益追求の科学を教えてしまえば、薪に油を注いでその性欲を煽るようなものだ。
→拝金主義への批判

財産を作れば、仁の徳から背いてしまう。
仁の徳を行えば、財産はできない。
孟子

★自分を磨き、家族をまとめ、国をまとめ、天下を安定させる。これが人の踏むべき道である。

★武士道の心得  儒教の「五常の徳」
仁:ものごとを健やかに育み(努力)、思いやりの精神を忘れないこと
義:利欲ではなく、みんなのためになることを選択すること
礼:人間関係を尊重し、礼儀を身に付けること
智:常に学び、ものごとの本質を見通すこと
信:約束や友情に対して誠実であり、信頼されること

・自業自得で困窮した人に対して、同情を持って接しないと言うのはとてもよくないことだ。人の常に抱くべき人道とは、何より良心と思いやりの気持ちを基盤にしている。

・お金は循環させよ
経営者一人がいかに大富豪になっても、そのために社会の多数が貧困に陥るようでは、その幸福は継続されない。企業が利益だけを追求し、資本を蓄積するだけでは豊かさは永続しない。社会に還元していくことで、長期的には社会発展という形で次の世代につながっていき、結果的に企業も永続することになる。
→資本主義のデメリットである格差の拡大をこの頃から指摘していた

⑵毎日楽しく働くにはどうするべきか

・自ら箸をとれ
受付や帳簿付けといった与えられた仕事、その時の全生命をかけて真面目にやれないものは、いわゆる手柄を立てている出世の雲を開くことができない。
→目の前の作業を全力でやることはわかるが、今の時代に何でもかんでも闇雲にやるのはよくないと思う。これは本当に人間がやるべきか、AIやロボットでもっと効率化できないか、常に考えながら手を進めるべきだ。

・社会に出れば必ずギャップに悩まされることを覚悟しておけ
とにかく社会の出来事が複雑なことを、事前にいくら知ったつもりで備えをしていても、実際には不意をつかれることが多い。若い人はより一層の注意を払って、このことを研究しておかなければならない。

★本当に楽しく経済活動を行う方法
世のため人のため、そして最後に自分の利益のために生きること。道徳と欲望とがぴったりくっついていないと社会は維持できない。
中国王朝の宋は経済を軽視し、道徳ばかりに偏ったため、モンゴルの元に滅ぼされた。一方で清は国民が己の欲だけに偏ったため、列強に侵略された。

渋沢栄一

・子供との接し方
子供に孝行させるのではない、親が孝行できるようにしてやるべきだ。と言う基本的な考え方で子供たちに望んでいる。子供たちがすべて私の思うようにならないからといって、親不孝の子供だとは思わないようにしている。強制せず、自由(自らを拠り所とする生き方)を教えるべき。

⑶成功したい人はどうするべきか

・蟹穴主義
己を知って決して驕るな
大きな仕事を成し遂げるためには、細事こだわるべきではない。欲望のままに振る舞っても、ハメを外すな。常に走り過ぎず、溺れ過ぎずを心がけよ。
→今の自分のベストを出し尽くそう、実像から離れた目標を設定すると辛いだけ。

・得意な時と失意な時、小さな事は分別せよ。大きなことには驚くな。
名声とは、常に困難でいきづまった日々の苦闘の中から生まれてくる。失敗とは、得意になっている時期にその原因が生まれる。
小さな事は分別せよ。大きなことには驚くな。

・貧しさを防ぐために真っ先に必要なもの
→高い道徳を持った人間は、自分が立ちたいと思ったら、まず他人を立たせてやり、自分が手に入れたいと思ったら、先ず人に得させてやる。
→GIVER精神

・自分を磨くのは理屈ではない
自分を磨くときに気をつける事は、頭でっかちになってしまうことだ。自分を磨く事は理屈ではなく、実際に行うべきこと。だから、どこまでも現実と密接な関係を保って進まなくてはならない。精神面の鍛錬に力を入れつつ、知識や見識を磨き上げていくわけだ。しかもそれは自分1人のためではなく、国家の興隆に貢献するものでなくてはならない(現代では自分の家族や仲間、子孫の繁栄と捉えると分かりやすいかも)。自分を磨こうとするものは、この点をよく心に留めて欲しい。決して極端に走らず、常に穏やかな志を持って進んでいくことを、心より希望する。

★資本主義社会で必要な道徳について
もし社会で身を立てようと志すなら、どんな職業においても、身分など気にせずに、最後まで重力を貫いて、人としての道から少しも背かないように気持ちを集中させることだ。
その上で、自分が豊かになって力を蓄えるための知恵を駆使していくのが、本当の人間の意義ある生活、価値ある生活と言えるだろう。

・実業の世界では、例えば軍事における事務のように、いちいち上官の命令を待っているようでは、成長がちょっと難しいのだ。ただしその結果として、知識ばかりに傾倒し、自分の利益ばかりを追うようになってしまっては、孟子の言う、「上に立つ人間と、下の人間が共に利益追求に走ってしまえば、国は危うくなる」と言う状態に陥ってしまいかねない。

・仕事には誠実かつ一所懸命取り組まなければならない。そして同時に、そこには深い愛情がなければならない。

★運命を捕まえるのが難しい。普通の人は往々にして、巡り会った運命に乗っていくだけの智力が欠けている。
→来る波がわかっていても、リソースが無ければその波には乗れない。

・とにかく人は、誠実にひたすら努力し、自分の運命を開いていくのが良い。もしそれで失敗したら、「自分の智力が及ばなかったため」と諦めることだ。逆に成功したなら「知恵がうまく活かせた」と思えば良い。たとえ失敗してもあくまで勉強を続けていれば、いつかはまた、幸運に恵まれる時が来る。

・成功や失敗といった価値観から抜け出して、超然と自立し、正しい行為の道筋に沿って行動し続けるなら、成功や失敗などとはレベルの違う、価値ある生涯を送ることができる。成功など、人としてなすべきことをした結果、生まれるカスに過ぎない。成功も失敗も気にする必要など全くないのである。

・経済活動においては農民は職人にかなわない。職人は商人にかなわない。刺繍された布を市場の門で売るのが最上なのだ。
→職人気質を疑え。本当にそれは今人の手で作るべきなのか、もっと効率よく、多くの人に還元できる方法はないか、常に考えてみるべきだ。

・志や意思が高ければ、相手が金持ちや権力者でも屈することはない。道義心が重ければ、相手が王様や貴族でも動ずることことは無い。

⑷エシモの 所感

「論語と算盤」の大まか内容は以下の通り
・自分の得意なことに注力し、長所を生かした志を定めよ
・毎日を一生懸命に生きていれば天命に気づく日が必ず訪れる
・焦らずゆっくり、今できることに全力で取り組め(蟹穴主義)
・世のため、人のため、次の世代の繁栄のために貢献せよ
・自分が手に入れたいと思ったら、先ず人に得させるべし
・礼儀作法、道徳を深く学んでから、お金の知識を実践的に身につけよ
→仁義礼智信、武士道、座禅、武道など
・道徳と欲望はぴったりくっついていないと社会は発展しない
・お金はただの道具、上手に使え、浪費ではなく投資せよ
・失敗も成功も大したことはない、大事なのは正しい行為の継続である

 江戸明治大正昭和と激動の時代を生き抜いた渋沢先生は、当時から資本主義の特徴である限りない成長と格差社会の到来を理解していた。全ては人々の必要性から生まれ、文明社会を発展させるには資本主義が最適解なことも分かっていた。

中国の宋と元、清と欧米列強の歴史に触れながら学業と商業のバランスが大事だと主張されている場面は面白く、以前「資本主義で得られる幸せとは?」で紹介したゲーテのファウストにも近いなと感じた。


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江戸のシステムを刷新した明治維新も、列強の圧力や不平等貿易の打開など多くの必要性から生じた動きだった。当時の若い武士たちは皆が日本の行く末を熱心に考え、道徳と経済の面からたくさん動き回って、日本を列強から守ると同時に、彼らと対等に肩を並べられるように富国強兵を実現した。渋沢先生はその時代に経済面から日本を支えた。

明治維新から150年以上経った今、集団での学校教育や記入式の選挙など、明治から続くシステムに限界が来始めている。コロナ騒動でこれらの弱点が顕著に現れた。日本は米中と比べ、AIでもロボットでも開発が遅れている。いずれ彼らによる新しいテクノロジーの圧力が迫って来ることは間違いない。幕末の黒船と同じだ。

ぼくたちは、また維新を起こす必要性に迫られている。家族のため、次世代の子孫の繁栄のために生き生きと戦えるように、気づいた人から今の時代に合った正しい行為をどんどん実践していくべきだ。

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