”金融教育は算数・数学でやりませんか?” を #投資信託事情 に寄稿しました!
これは大喜利のお題ですが、この種の算数の問題を沢山見てきました。
あみちゃんは時速5kmで30km先のたけしくんの家に向かっています。
何時間かかりますか。
子供の頃、あまり深くは考えずに割り算していましたけど、よく考えてみればリアリティのかけらも無かったようなシチュエーション、題材ですね。
50円切手、80円切手、110円切手が合わせて45枚あり、合計の金額は3150円で、110円切手は80円切手の枚数の2倍あります。50円切手は何枚ありますか。
https://www.hello-school.net/sansub0702.html
こうなると幾らか現実に近づいた気がします。が、日々の生活を思い浮かべてこんなことする?わざわざこんなことする?っていうのが率直なところ。
では、こんな問題だったらどうでしょうか。
ひふみ投信の 2021年3月29日の10,000口当たりの基準価額は63,243円でした。20,000円で一体何口を買うことができたでしょうか?
任天堂の株式時価総額は2021年3月29日の終値で 8兆5,124億円でした。来期の会社側の予想利益を元にした株価収益率は19.25倍です。会社側の予想利益はいくらでしょうか。
いずれも割り算一つで答えが出ます。こういう問題は「リアル」そのものですよね。割り算の面目躍如です。
ひふみ投信は2008年10月1日に設定され、その際の基準価額は10,000口当たり10,000円でした。2021年3月29日までの年平均成長率はいくらですか?
指数・対数の問題ですね。数学です。数学も面目躍如。指数・対数は「複利」の理解も助けてくれます。
会社の業績や株価、投資信託他、金融の世界には活きた数字が莫大な数存在していて、日々増え続けています。算数・数学がどんな風に役立つのか、その教材、材料の宝庫のように見えます。それをどう扱うかは、相関係数、標準偏差、もうドンドンと出てきます。
株式投資に触れるようになって、数学はここで役に立つんだ!と気付かされることが何度もありました、お恥ずかしい話ではありますが。
算数や数学に限った話ではありません。日本の教育は、その学びが将来どんな風に役に立つのか、その具体例を示すのがメチャクチャ下手くそなのでは、と思うんです。
株価や会社の業績で算数・数学を、というのは現場の強烈なアレルギーがあるでしょうし、金融の仕組みについて先生方が的確で正しい知識をお持ちかどうかも分かりませんから、このアイデアの実現は極めて難しいと思います。ただ、学校の現場でなければ「株式・投資信託と数学を一緒に学ぶ!」という機会はつくれるかもしれません。
というお話を 投資信託事情 の最新号に寄稿しました。
この寄稿のきっかけは、もちろんこのニュースです。
このお話の最大の疑問は、「投資信託」がなんでクローズアップされるの?ということですね。
学習指導要領を探してみました。
確かに書かれています「投資信託」。株式、債券も書かれているのに「投資信託」をクローズアップ。なんで「投資信託」?、「株式」だと反応がよりネガティブになるから、という忖度なのでしょうか。
この要領原文を見れば「家計管理」というテーマで「投資信託」が取り上げられているようです。投資信託、その実質的な構成要素になる株式・債券、これらを正しく適切に理解するには、金融の仕組みの理解、納得が不可欠だと思います。
社会・公民の学習指導要領 も探してみました。
公民はこんな具合になるようです。
キーワードは「金融」。「公共」のパートからです。
金融は、家計や企業からの資金を様々な経済主体に投資することで資本を増加させ、生産性を高め、社会を豊かにする役割を担っている
「政治・経済」でも同様の内容が示されていました。
例えば、資金に余裕のある家計が、幾つかの投資計画のうちどれを選択すればよいかを協働して考察し、評価すること
例えば、起業に際して、どのように資金を調達すれば良いか、起業の企画案と資金調達を企業側と資金提供側に分かれて企業経営と金融との関係を具体的に理解できるようにすること
この資料に当たってみて、思ったのはクローズアップするべきは、こっちの指導要領じゃないか、ってことでした。
もっと根本的に変だなあ、と痛感するのは、大学入試ではこれらの科目の扱いがマイナーだということ。僕自身は30年前に大学受験したわけですが、「歴史」で受験しました。「歴史」を学ぶことは確かに大事ですが、この差はスゴいものがあります。長男が大学受験の準備を始めていますが、見たところ「公民」の姿はまるで感じられません。
こんな記事を見つけました。
投資信託なんて、基本はインチキそのもの。
貧乏人に儲かる話は来ない
貧乏なうちは資産運用を考えなくていいのでは
まずは稼いだ金を変に使わない、奪われないことが大事だ
お金の使い方。確かに変な使い方をしないようにする。これはとても大事なことですが、だからと言って「使わずに貯めておけ」という風にも伝わるんじゃないかな、と。
お金は使ってナンボです。日本の今の閉塞感の原因の一つに、お金の使い方の失敗が続きに続いて、今もなおそれが続いている、ということがあるように思われてなりません。お金の使い方とは、つまり「投資」です。働いて積み上げた資本、資産をどう使って、より快適に、便利に、安心安全にできるか、というのが「投資」のはず。それが上手く実現していない、これは投資が下手くそ、失敗ということでしょう。
お金の使い方、投資。経験無くしてすぐに上手くいくなんてことはそうそうありません。ビギナーズラックは存在しますが、それは運でしょう。お金を使う経験を積むことで上手くなっていく面があると思いますので「使わずに貯めておけ」というのは適切なアドバイスではないように思います。
問題なのは、お金を使う、投資を何度も何度も繰り返しているのに、何度も何度も間違い、失敗を繰り返すこと。それは投資判断をしている主体が失敗から学ぼうとしていないからなのだろう、と思います。
社会・公民科の新指導要領が適切に教育の現場で実施されて、そこでしっかり学ぶ経験を得た人が増えてくれば、こんなコメントをする人たちが減ることでしょう。そんな未来がやってきて欲しいものです。
投資信託なんて、基本はインチキそのもの。
貧乏人に儲かる話は来ない
貧乏なうちは資産運用を考えなくていいのでは
まずは稼いだ金を変に使わない、奪われないことが大事だ
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