「価値」を測る、把握する ― 投資における必須のプロセス
ろくすけさんがブログでご紹介されていたので、(Kindleでの本の購入は久しぶり!)読んでみました。
あっという間に読み終えてしまったのですが、これは非常に良い本!と感じました。ろくすけさんに深く感謝です。
「価値」を測る(ざっくりと把握する)ことの重要性を明快に説明されています。そして、価値をつくりだす源泉に対する(洞察というとちょっと壮大なので)想像力を持つ、鍛えること、その大切さを感じます。
第2章のコラム「現金はそんなに偉くない!」のこの一文が印象的でした。
私たちは、目の前にある証券の価値が手元の現金より高いと思えば、現金と株とを交換すればよいし、手元の証券の価値よりも高い価格が提示されている(株価が高い)のであれば、今度は現金に交換すればよいのです。すべての投資は「交換作業」、それだけのことです。
「第3章 企業の価値を暴き出せ!」では実際の上場会社を例にして、具体的に企業価値算定(バリュエーション)が紹介されています。非常に簡便な手法ですが実用に耐えうる手法ではないか、と私も感じました。
この第3章。具体的に実例を使っているので、この"How to"に注意が向きがちになってしまうかもしれません。しかし、ここで紹介されている"How to"よりも第4章、第5章、第6章をしっかりと理解することが遥かに大事だと思います。実際、バリュエーションはどうとでもなる、主観的な部分が相応に含まれるものですから。
この本が一貫して主張しているメッセージは
「価値」と「価格」を見比べなさい!
ということ。
自分のポートフォリオに含まれる資産に、そもそも「価値」はあるのか。
その資産に仮に「価値」があるとして「価格」と比べてみてどうなのか。このプロセスでは「価値」を測る、把握する必要がありますね。でなければ比較できませんから。
この文脈で「インデックス運用」を考えてみると…
株価指数の構成対象に選ばれた会社の株式は、投資すべき「価値あり」となる。
株価指数の構成対象に選ばれた会社の株式をポートフォリオにどれだけ組み入れるかは市場で付けられた「価格」で決定される。つまり、「価値」と「価格」の比較を市場という「システム」に任せてしまう、決めてもらう。
と、私は考えます。
投資すべき「価値あり」な会社を「人」が探し出す。
「価値」と「価格」の比較を市場に任せずに「人」がおこなう。
これがアクティブ運用になります。
「システム」と「人」。どちらが持続的に安定した成果を出せるか、ということを考えると「システム」を選ぶ人が多くなりそうな、そんな気がします。
私は「人」に託す方向に舵を切りましたが、「持続的に安定した成果」の可能性に魅力を感じなくなったのが最大の理由です。
期待しうる成果ではなく、「価値」についてきちんと考えたポートフォリオにしたいな、ということです。
自分が保有している資産って「価値あるものなのか」「まだまだ価値が増えていくのか(価格が騰がりそう、ではなく!)」、そして、「価格と比べた場合、いい感じかな」と。
今回ご紹介した"知ってそうで知らなかった ほんとうの株のしくみ ”は、「価値ある」会社に投資したい、関わりたい、そう考える私にとって、スイスイ読み進められる一冊でした。