直線上で迷う(線状について・01)
直線上で迷うことがあります。嘘ではありません。誰もが経験していることです。私もしょっちゅう経験しています。
証拠があります。ハードエビデンス(hard evidence)、動かぬ証拠というやつです。
たとえば、こんなふうにです。動画をご覧ください。
ごめんなさい。
動かぬ証拠ではなく、動く証拠(soft evidence?)でした。
*
小説には始まりと終わりがあります。ということは、途中もあるという理屈になります。
始まり ⇒ 途中 ⇒ 終わり
もっと詳しく厳密に言いますと、初めの一文字と一最後の一文字があるという理屈になりそうです。
「なりそうです」というより「なります」でしょう。「でしょう」というよりも「です・ます」です。ちなみに、デスマスクもマスクです。
マスクメロンはマスクではありません。では、E・マスクさんは? これは異論がありそうです。
失礼いたしました。
*
大切なことだけを言います。
小説は直線状です。直線状に進行するのです。
まどろっこしい言い方はよしましょう。
小説は直線なのです。
*
始まり ⇒ 途中 ⇒ 終わり
最初の一文字 ⇒ 最後の一文字
このように、最初の一文字から最後の一文字までは直線状に進んでいます。
小説はそこそこ長いので、あちこちをちょん切ったり(改行とか行空けのことです)、折ったりしてありますが(ページ割りのことです)、直線なのです。
切れ具合とか折り具合などが悪いと、交換してもらえます。
*
小説とは直線なり。
直線はかならずしも小説ならず。
*
さきほどの動画にあったように、ふつう、作家さんたちは迷いながら書きます。うんうんうなる人もいるにちがいありません。
いっぽうで、読むほうも迷います。読みながら、首を傾げたり、頭をかかえたり、頭皮を掻いたり、鼻の穴に指を突っこんだりします。
ということは、直線上で迷っているのです。
*
直線上で迷う――これは、プロの作家さんたちの書く小説にかぎりません。
最初の一文字 ⇒ 最後の一文字
初めの一文字と最後の一文字があれば、何でも直線状なのです。この駄文だって例外ではありません。
*
直線状のものを書いたり読んだりしながら迷う。これは、直線上で迷っていることと同義です。
直線上で迷う。これは、よくあることなのです。
(つづく)
#noteの書き方 #noteのつづけ方 #又吉直樹 #羽田圭介 #直線 #直線上 #直線状 #小説 #読書 #執筆