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直線上で迷う(線状について・01)

 直線上で迷うことがあります。嘘ではありません。誰もが経験していることです。私もしょっちゅう経験しています。

 証拠があります。ハードエビデンス(hard evidence)、動かぬ証拠というやつです。

 たとえば、こんなふうにです。動画をご覧ください。

 ごめんなさい。

 動かぬ証拠ではなく、動く証拠(soft evidence?)でした。

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 小説には始まりと終わりがあります。ということは、途中もあるという理屈になります。

 始まり ⇒ 途中 ⇒ 終わり

 もっと詳しく厳密に言いますと、初めの一文字と一最後の一文字があるという理屈になりそうです。

「なりそうです」というより「なります」でしょう。「でしょう」というよりも「です・ます」です。ちなみに、デスマスクもマスクです。

 マスクメロンはマスクではありません。では、E・マスクさんは? これは異論がありそうです。

 失礼いたしました。

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 大切なことだけを言います。

 小説は直線状です。直線状に進行するのです。

 まどろっこしい言い方はよしましょう。

 小説は直線なのです。

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 始まり ⇒ 途中 ⇒ 終わり
 最初の一文字 ⇒ 最後の一文字

 このように、最初の一文字から最後の一文字までは直線状に進んでいます。

 小説はそこそこ長いので、あちこちをちょん切ったり(改行とか行空けのことです)、折ったりしてありますが(ページ割りのことです)、直線なのです。

 切れ具合とか折り具合などが悪いと、交換してもらえます。

乱丁・落丁本は、ご面倒ですが小社読者宛ご送付ください。送料小社負担にてお取替えいたします。

新潮文庫

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 小説とは直線なり。

 直線はかならずしも小説ならず。

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 さきほどの動画にあったように、ふつう、作家さんたちは迷いながら書きます。うんうんうなる人もいるにちがいありません。

 いっぽうで、読むほうも迷います。読みながら、首を傾げたり、頭をかかえたり、頭皮を掻いたり、鼻の穴に指を突っこんだりします。

 ということは、直線上で迷っているのです。

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 直線上で迷う――これは、プロの作家さんたちの書く小説にかぎりません。

 最初の一文字 ⇒ 最後の一文字

 初めの一文字と最後の一文字があれば、何でも直線状なのです。この駄文だって例外ではありません。

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 直線状のものを書いたり読んだりしながら迷う。これは、直線上で迷っていることと同義です。

 直線上で迷う。これは、よくあることなのです。

(つづく)


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