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2020年6月の記事一覧

理不尽な必然

生まれ落ちたその日から、僕たちは電子世界の住人となる。

大きくなった僕たちの目に映るのは平面化された現実の残像。

三次元に馴染めない僕らの必然。

第三者の手によって、否応なしに放り込まれた僕たちが指弾の矢面に立たされる理不尽。

名画はすなわち名声か

或る日ふと目を覚ましたら
一枚の紙を握ってた
薄っぺらくて貧相な
たった一枚の紙切れを

寝そべったまま太陽に
透かしてみては折りたたみ
紙飛行機を作っては
空に向かって飛ばしてた

たまには広げしわを伸ばし
下書き、落書き、殴り書き
湧き出でる形そのままに
自由気ままに我がままに

と或る所の或る人は
紋の入った化粧木に
ダイヤモンドを散りばめて

教科書通りに描きだす
それは見事で鮮やかな

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なにか

なにものかになりたくて
でもなにものにもなれなくて
時ばかりが過ぎていくことに耐えられなくなった僕は
背中を思い切り蹴り飛ばした

走り出した僕はどこにいるのか
どこにどこまで行けばよいかわからなくて
ありったけの自信が全て砕け散り果てたころ僕は
自分を思い切り突き飛ばした

誰も何にもなれないから
自己に鍵をし日々を繋ぐ
僕は何にもなれないけれど
醜く足掻き歩き続ける

三千歳の哀しみを飼い慣ら

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いろ

僕の世界には色がない
そう気づいたのはもう随分と大きくなってからだった

白黒の世界は生き易く
線の内側にいさえすれば誰も何も言わなかったから
目に映る全てに何の疑いも抱かなかった

世界に色がある事を教えた君は
僕を引き上げた後、笑顔で手を振り去っていった

以来
僕はこの彩られた世界に取り残されたまま
何色にも染まれず
かといって透明にもなれず
今尚呆然と立ちつくしている

しろ

雪の舞い散るこの街に
僕はひらりと降り立った

誰にも見えないこの形(なり)で
全てを葬り去るために

雪がさざめくこの町で
僕はいつしか笑いだす

誰も知らないこの場所で
大きな穴を掘りながら

雪が囁くこの町で
僕は漸く手を伸ばす

誰にも届かぬ鈴の音と
永久の眠りにつくように

やがて雪降るこの街は
僕の心も知らないで

ある麗らかな昼下がり
僕を路傍へ放り出す

よどんだ僕はそのままで

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虚無

翼があると信じていた頃
誰も甲冑を被らなかった

崖に挑む風を感じながら
僕は甲冑を被らなかった

射干玉の夜を彷徨い君は
甲冑の在処を気にかける

有為の奥山が浮き上がり
みな甲冑を背負い始めた

いつしか僕らは
武装した世界の住人となる

適応者には祝福を
反逆者には制裁を

無数の羽が舞い散る中
僕は甲冑をかなぐり捨て
夢を結ぶ旅に出た

あの大空を飛ぶことはできないらしい
それでも僕は歩き

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うそ

横断歩道の真ん中で
君が捨てた嘘を見つけた

どうしようもなく気になって
僕は気まぐれに拾い上げた

中を見ることさえせずに
僕はポケットに忍ばせた

それから夜が更け朝が来て
嘘は僕に笑うから

なんだか心地が良くなって
僕は不思議と駆け出した

嘘は案外転がっていて
僕はすっかり虜になる

君が嘘を捨てるから
僕はすっと跡を追う

何一つとして分からない
君と君の捨てる嘘

そうして僕のポケッ

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