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100均のイカ墨ソースでスパゲッティ アブルッツォ州の赤ワインに新たな相性発見
私のシーフードとワインペアリングの経験上、イカ墨スパゲッティにはイタリア マルケ州の白ワイン、ヴェルディッキオだ。 本日、もう一つ相性の良い赤ワインを発見することになる。
先日、子供の買い物について100円ショップを歩いていると、イカ墨スパゲティの元を発見。ハチ食品のもの、一つ108円。多めにと三つ買ってしまった。
イカ墨は日本には中世にポルトガルの宣教師から伝わったとされる。奈良時代にはイカが食べられていたという記録が残っているが、その墨を食べるに至るのは中世。墨袋から黒い液体を取り出して食べるという発想には至らず、ポルトガル人宣教師が教えてくれてようやく食べることになる。
富山県の郷土料理、黒作りはイカの塩辛にイカ墨を入れて黒くしたもの。加賀藩主が参勤交代のおりに将軍家に献上したことを記した文書が残っている。江戸時代にはすでに名産品として定着していた。
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百均で買ったソースだとあまり期待していなかったが(失礼!)、スミのコクが豊かに感じられてなかなかに味わい深い。3袋、300円でスミをたっぷりと。
スーパーで買った長崎県産剣先イカを追加で投入。一気に料理のクオリティが上がる。イカは火を入れ過ぎず柔らかさと弾力を残して。イカの弾ける身を噛むと広がる甘み、そこに絡むスミのコクを楽しむ。 ケンサキイカはスルメイカやヤリイカよりも温暖な海域を好み、日本列島の暖流の影響の強い沿岸域からインド洋、西太平洋に広く分布。近年国内では北上傾向にあり、東北太平洋側でも獲れている。
イカはトップの耳、胴、そして足と歯応えが大きく異なる。リングになった胴は弾力を最も感じやすい。足は味を濃厚に感じる。
イタリアのマルケ州の白ワイン、アブルッツォ州の赤ワインを合わせる。
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まずはイカ墨スパゲッティに間違いのないマルケ州のヴェルディッキオから。
コッレステファノ, DOCヴェルディッキオ・ディ・マテリカ, イタリア, マルケ州, 2021, 12.5%, 2,310円
Collestefano, Verdicchio di Matelica,
4年連続『ガンベロロッソ』最高賞トレビッキエリ受賞のワイン。標高420mの丘陵地、寒暖差の大きい畑で栽培される。全て有機栽培、醸造はステンレスタンクのみ。
香りにはカボス、ライム。大ぶりの梨もありつつ、ビターで引き締まったフレーバー。
味わいは透明感高く、ピュアでフレッシュ、酸味が強くシャープ、余韻にはややはっきりとビターネス、収斂性、緊張感、ビターネスとやや堅牢な印象。トスカニーで購入。
イカ墨スパゲッティにワインを合わせる。ワインのほろ苦さ、ミネラル感、やや甲高い果実味はイカ墨の余韻をさっぱりとさせる。ただ、このヴェルディッキオは一般的なものに比べて酒質が強い。樹齢の高いブドウを使っているのだろうか。また、ワインの酸味が思いのほか強く、イカ墨スパゲティとのシンクロは詰めが弱いか。相性: ★★★★☆
続いてアブルッツォ州の赤ワインに。
ファビュラス ファッラ モンテプルチアーノ・ダブルッツォ, イタリア, アブルッツォ, 2019, 13.5%, 2,475円
Fabulas Fara Montepulciano d'Abruzzo
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アブルッツォ州マジェラ国立公園内のPretoro自治区内(標高602メート ル、人口1,100人)に畑を所有。アドリア海まで35kmという立地。このワインはモンテプルチアーノ85%、その他15%で造られる。
香りにはチャーミングなラズベリー、アメリカンチェリー。コンポートと青果の混じる楽しい香り。樽か酵母香かほんのりパンのようなフレーバー。微かな胡椒のスパイス、バラ。
味わいはパワフルな果実味ながらも滋味を携えて心地よく広がる。酸味は中庸ながら的確。タンニンは元気。葡萄屋で購入。
イカ墨スパゲッティに。墨のコクのパワーに、ワインの芯のある果実味、軽やかなタンニンが絶妙にシンクロ。しかもバターを効かせた分、料理のコクも強く、この赤ワインとの相性が素晴らしい。五つ星か迷う。相性: ★★★★☆