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臭気の塊モンスターピザ(塩辛、キムチ、ブルーチーズ、ニンニク) コクの豊かなボルドー白ワインのじゃじゃ馬馴らし

とんでもないものを生み出してしまった。
紀元前4500年頃には古代エジプトでも使われていたガーリック、日本酒のお供イカの塩辛、韓国の食卓に不可欠のキムチ、北イタリア1000年の歴史ゴルゴンゾーラ。世界各地の臭気の塊をピザ生地に載せてオーブンに。翌日は家族としか会話しないと覚悟しながら焼き上がりを待つ(翌日が休みの週末に焼いた)。こんな魔性の食べ物を思いつく私の発想が恐ろしい…(冷蔵庫に残っていた賞味期限切れ間近の酒のつまみを混ぜただけw)

簡単に作り方を。スーパーで買ったピザ生地にイカの塩辛を敷き詰める。

塩辛が載った生地。この時点でヤバい雰囲気満点

チーズ、ガーリックスライス、オニオンスライス、オリーブを散らす。

オリーブはちょっとオサレなギリシャ産
ゴルゴンゾーラ

そして半分にはブルーチーズを、もう半分にはキムチを豪快に。

15分ほど焼いてオーブンを開けると、とんでもない臭気が立ち込める。換気扇全開で待ち構えていたが、予想のはるか上を行く臭いの渦。

仕上げに胡椒をパラパラと

近い例では過去、イカの塩辛にブルーチーズを添えて、島根ワイナリーの甲州に合わせたが素晴らしい相性だった。

また、チャンジャを唐辛子を料理によく使うイタリア カラブリア州の赤ワインに。これも素晴らしい相性。

とはいえ、イカの塩辛とブルーチーズ、キムチのコンビネーションをピザにしてワインに合わせるのは未体験ゾーン。用意したのはボルドー白ワインと南アのスパークリングワイン。

まずはイカの塩辛とブルーチーズのコンビネーションから。ワタにまみれて発酵したイカの身がブルーチーズまみれになりながら味蕾を蹂躙。なんと暴力的!このバイオレンスを手懐けたのはコク豊かなボルドー白ワイン。

続いてイカの塩辛とキムチのコンビネーションに。両者の塩味が触媒となり驚くほどスムーズに繋がる。イカのワタの発酵臭とキムチの唐辛子が爆発するが二者はとんでもなく相性が良く、そしてとんでもない刺激を渾然一体となって口内にぶち込む。キムチを作るときにアミというエビの仲間の塩辛を混ぜるらしく、きっとイカの塩辛とも一体化しやすいのだろう。唐辛子と発酵体の刺激物の塊を受け止め、余韻をリフレッシュしてくれたのは南アのスパークリングワイン。

最後はりんごと蜂蜜のピザでお口直し。

焼き上がるとちょっと微妙な色合いになってしまった

さて、料理とそれぞれのワインの相性について詳しく。


シャトー・ラリヴェ・オー・ブリオン, ブラン, フランス, ボルドー, 2018, 14%, 5,170円
Château Larrivet Haut-Brion, Pessac-Leognan, 2018, 14%

ボルドー地方のグラーヴ地域のなか、ぺサック・レオニャン地区の中心部に位置するシャトー。シャトーの歴史は14世紀まで遡る。1996年からは著名な醸造家ミシェル・ロラン氏をコンサルタントに起用。ソーヴィニヨン・ブラン75%、セミヨン25%。
香りにはピンクグレープフルーツ、オレンジの快活且つ熟度高い果実香。グリーンペッパー、レモングラスのハーブ香。よく溶け込んだ樽香、若さも残り熟成ポテンシャル高そう。
風味には力強い果実味、引き締まる酸味。鼻腔を抜けるリッチな樽香とヴェジェタルな芳香がバランス良い。噛めるような緻密で重量感ある質感。余韻はクリーミーでまったり。

イカの塩辛のゴルゴンゾーラピザにワインを合わせる。イカの塩辛がブルーチーズの海を泳ぎながらやってくる。ワインの厚みのある樽香、オレンジの香りを伴う野太さのある果実味、そしてクリーミーなまったりとした余韻がイカの塩辛とブルーチーズのコンビネーションに不思議と調和。相性: ★★★★☆

イカの塩辛のキムチピザに。ケンカはしないが、ワインの厚みのある果実味やコクがどこか持て余し、料理の奥まで入り込めない。相性: ★★★☆☆


グラハム ベック, ウルトラブリュット, 南アフリカ シャルドネ, 2016, 12.5%, 3,529円
Graham Beck, Ultra Brut, South Africa

1991年より生産スタート。ブドウ畑のある南ア ロバートソンは、ウエスタン・ケープの中で石灰岩質土壌の濃度が高いシャルドネの銘醸地。白亜質石灰岩の土壌が広がるシャンパンに土質が近しい。そして醸造設備はシャンパーニュから取り寄せ。南アフリカで本場シャンパーニュに極めて近い条件下で醸造。2016ヴィンテージで7年熟成。
香りにはリンゴのコンポート、ジャムにやや厚めの樽香とヘーゼルナッツ、ブリオッシュ、アカシアなどの黄色い花や蜜も微かに。上品でエレガント、シャンパンにみまがうフレーバー。
味わい、まず口に当たる泡の数がきめ細やか。キレのあるシャープな酸味、ややグリップのある充実の果実味は力強さと同時に繊細なエレガンスも。極めて上品なフィニッシュ。最高のコスパ。シャンパンを意識して作りつつ、しっかりとシャンパンに負けない味わいは立派。

イカの塩辛のゴルゴンゾーラピザに。ワインの繊細さ、エレガンスが蹂躙され、持ち味が活かされない。相性: ★★★☆☆

イカの塩辛のキムチピザに。塩辛とキムチが塩味を起点にスムーズに繋がったところに、泡の刺激と巧妙に入り込む。塩辛とキムチの余韻の塩味がキレイに立ち上がる。とんでもない塩分を摂取している罪悪感を刹那、忘れさせてくれる極上の余韻。相性: ★★★★☆

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