古民家リノベのピッツェリア ヒラメのカルパッチョ、マサバのマリネ、ホタテのピザにシチリアの島ワイン
古民家をリノベーションした店内で本場ナポリの味、イタリアから運んだ釜で焼き上げるピザ。こういうキーワードに弱く、吸い寄せられてしまう。いっとき、古民家を真剣に探していて夜な夜なワインを飲みながら古民家物件サイトを眺めるのが趣味になっていた。
さて、魅力のキーワードのお店はなかなかアクセスが良いとは言いがたいアダッキオ。京成関屋駅から徒歩9分、墨堤通り沿いの静かな住宅地にある一軒家ピッツェリア。古民家の落ち着きをしっかりと残しつつ、インテリアは機能的でスタイリッシュ。古民家感をより味わいたいなら2階がおススメ。立派な漆黒の梁がむき出しで残されていて、静かに時の経過を感じさせてくれる。そしてサービスはフレンドリーでとても居心地が良い。
今回は家族で訪問し以下の前菜、ピザ、パスタを注文。
・長崎県産 活け〆ヒラメのカルパッチョ ルッコラのサラダ仕立て 1,480円
・長崎県産 真鯖のソットオーリオ(白ワインビネガーマリネ) 880円
・パタティーネ(フライドポテト) 580円
・挽肉たっぷりナポリ伝統の白ワイン煮込み ジェノベーゼスパゲッティ 1,550円
・難波ネギと青森県産ホタテ、スモークモッツァレラ、渡り蟹ソースのピッツァ “ピッツァ・ペッティーネ・エ・チポッラ” 1,880円
・マルゲリータ 1,560円
・クアトロ・フォルマッジ 2,280円
ワインメニューはドンナフガータのものが豊富で、白ワインが5種、赤ワイン1種(訪問した際には一部在庫切れのものもあり)。ドンナフガータは150年以上の歴史を持つシチリア島のワイナリー。シチリアの海風を感じつつ魚介の前菜とピザにあわせようと、地場品種グリッロ品種で造られるスルスールを注文(7,200円)。
特にヒラメのカルパッチョ、ホタテのピザにワインのハリのある柑橘香、潮風の香りが絶妙に調和。海の恵みを味わいつつ、湾に面したナポリの風景が浮かぶよう。そんな余韻浸りのマイワールドから目を開けると、目の前には古民家の梁。そんな視覚のアクセントも楽しいレストラン。すっかりファンになってしまった。マイワシと菜の花のパスタといった魅力的なメニューもあり、春めく気分で再訪したい。
さて、シーフードメニューとワインとの相性について。
ドンナフガータ スルスール, グリッロ, イタリア, シチリア
Donnafugata, SurSur, Sicilia, DOC, Grillo, 2021, 13%, 7,200円(レストラン価格)
ドンナフガータ社のオーナーは何世代にも渡って酒精強化ワイン、マルサラワインの生産に携わってきた由緒ある家系。
「ドンナフガータ( 逃げた女 )」という名は、19世紀初頭にブルボン朝の王の妃が、ナポリで起きた革命を逃れて、現在のドンナフガータ社のある土地へ逃げてきたという歴史にちなんだもの。
香りにはグレープフルーツ、レモン、ライムの爽快な柑橘香。柑橘果皮のビターなニュアンス。典型的な南の緩いワインとは一線を画すフォーカス。海岸の潮風、レモングラスも。
味わいには瑞々しい果実味。冷えた状態では酸味が締まり的確なフォーカス(温度が上がり緩くなるのもまた魅力)、キュッと効いた塩味、余韻にはグリップのあるほろ苦さ。
シーフードメニューにワインを合わせていく。
長崎県産 活け〆ヒラメのカルパッチョ ルッコラのサラダ仕立てに。
ルッコラの爽やかな香味、アクセントの効いたビターさを考慮しつつ、ヒラメに載せる分量を調整して口に運ぶ。ヒラメの弾力ある身を噛みしめると広がる繊細で軽快な風味。ワインのハリのある柑橘香、軽快な塩味がその脂の魅力をさらに引き立てる。相性: ★★★★☆
長崎県産 真鯖のソットオーリオ(白ワインビネガーマリネ)に。
ワインビネガーは軽めで鯖の旨味と脂をダイレクトに。ダイナミックに楽しめる味付け。そのためサバのワイルドな磯の香り、青魚特有の香りも強め。ワインを合わせると、生臭さがすっと立ち上がってしまうか。ワインに合わせたいときは少し強めにビネガーを効かせるとよいかも。相性: ★★☆☆☆
難波ネギと青森県産ホタテ、スモークモッツァレラ、渡り蟹ソースのピッツァ “ピッツァ・ペッティーネ・エ・チポッラ” に。
ミルキーで軽快な風味のチーズは素材を引き立てる。渡り蟹ソースの旨味もしっかりとした存在感。ホタテはやや小ぶりで見た目の存在感はやや弱めのものの、出過ぎずにチーズと渡り蟹ソースの風味にちょうどよくバランス。余韻のネギの香味が爽やかに。爽やかな余韻が残るなかにワインのハーブ香が繋がり、チーズの旨味をワインの塩味が引き立たせ、ホタテと渡り蟹ソースはワインの潮の香りによりさらに活力を増し、貝と蟹がフィーバー。相性: ★★★★☆