読書感想文「ゆっくり、いそげ」 良い人間関係をつくる仕組みの本


最近読んだ本、影山知明さんの「ゆっくり、いそげ」がとっても良い本だったので、その感想をメモしておくことにしました。

「カフェから始める人を手段化しない経済」というのが、もともとのタイトルになるのだけれども、個人的な理解としては、以下のような感じでした。

人のいいところを引き出す、人間関係のあり方・仕組みの作り方のお話。そして、そうゆう素敵な関係を気付ければ、経済も最終的にはもっとうまくんじゃない?

つまりは、よく「利益」か「優しさ」かどっちかを選ばなきゃという議論があるわけですが、「優しさ」を選んでいったら、最終的には利益よりもいい結果と、ちゃんとした(もしくはそれ以上の)利益だって出るかもしれないんですよ、というお話です。(と、私は理解しました)


「良い関係」の気づき方をきちんと説明してくれているところが、とてもためになる

そして、この本で一番いいなと思ったのは、カフェの経営の仕方だとかカフェに来てくれる人・働いてくれる人との関係の気づき方をすごく丁寧に解説してくれているところです。大抵、こうゆうのって、「相手に優しくしまうしょう」みたいなふわっとした言葉になってしまうかもしれないですが、これはそうじゃない。きちんと、「どうして良い関係が築けるのか」という仕組みを解説してくれている。

これはカフェという形だけじゃなくて、どんなお仕事でも、どんな組織でもチームだったり人と関わることでは、すごく大事だし使える(といってしまうと言い方が悪いような気もするけれど)、考え方だと思うのです。

そして、それを経済に落とし込んでいるけれど、ここでは経済はあくまでも、そうした人と人との良い関係の媒体であって、それ自体が主体ではない。そうゆう意味で、「人を手段化しない、人そのものに価値がある経済のあり方」みたいなことをおっしゃっているのかと思うのです。

なんだかすごく理想論に聞こえるけれど、実はその理想論に方が、結果的には数字としても良い結果を産むことになるんじゃないのかと。

体感的にはわかるような気もしますよね。だって、400円でチェーン店の機会が入れたコーヒーを飲んで、マニュアルに決まった接客を受けるよりも、650円払って、顔見知りのバリスタが入れた、産地の知っているコーヒーの方を買って、一言二言お話する方が、生活的にはずっと豊かだと思います。そして、そんなふうに思っている人って、きっとたくさんいる。

そうゆう小さめで、特定の人たちに向けた市場をきちんと見て、そうゆう人たちから助けてもらってつくるお店って、すごく素敵ですよね。

それに、そうゆうビジョンに共感する人って、別にどこか特定の場所じゃなくても良い。この本ではたまたまカフェのお話だったけれど、本だったら、きっと日本中の中で何人かがその本に共感してくれれば良い。他の商品もそうで、それを他言語も対応すれば、世界の何人かが共感してくれれば良いことになる。それってすごいことですよね。世界からちょっとずつの「それ良いね」を集めて、何かを実現させることもできるようになるんです。

そんなふうにして、人間関係と経済の関係に対する、とても良い本でした。「カフェを経営するヒントになればな」と思って読んだ本だったけれど、割と人生の何事にも応用できそうな、深みのある本でした。


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