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高峰玲人
2022年9月29日 12:59
7月3日。線香臭い初七日が過ぎて、気持ちも整理がついた朝、学校に行くことにした。朝起きて、ごはんを食べて、家を出て自転車に乗る。何も変わらない日常。交差点を渡って右に曲がると、長い下り坂になる。 そこで、あの人はいつも私の自転車の後ろに飛び乗ってくる。「免疫にいいから」「下り坂は漕がなくて済むから」と、最初はもっともらしい理由をつけて乗ってきたくせに、近頃ではただ飛び乗ってきて、私の両肩に手
2022年9月27日 21:09
それは、寒い、寒い、雪が降る日のことでした。一人の貧しい少女が、かごにいっぱいのボンカレーを詰めて、道端で売っておりました。「ボンカレーは、ボンカレーはいりませんか。封を開けなくても、このままレンジでチンできるんです。」「冷たいやつだろう?いらないよ。」 少女は必死に道行く人に声をかけましたが、誰ひとり足を止める者はいないのでした。時折、『おじょうちゃん、寒いのだろう?イイコトをして暖