夢の国、本日も異常なし
この仕事をしていると、一年に一度だけ、こんな日がある。娯楽施設の園長、金に汚い彼が気まぐれで始めた慈善事業の日。近所の福祉施設、病院、そんなもので暮らすこどもたちを無料で招く日には、夢をいっぱいに抱えた彼らが、わずかな小遣いを手にしてやってくる。親のいないこども、親と別れたこども、捨てられたこども、そして病を抱えるこども。彼らは一様に、無表情だがどことなく温かい笑みを浮かべた職員に連れられてやってくるのが常だ。ここでは全てを平等に扱う。親のある子も、親の無い子も、健康な子も