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「絵本」は架け橋
ーーおじいちゃんおばあちゃんが孫に本を読み聞かせる文化もあるように、絵本は子どもと大人が関わり合う架け橋なんですよね。
人生は物語。
どうも横山黎です。
大学生作家として本を書いたり、本を届けたり、本を届けるためにイベントを開催したりしています。
今回は「絵本は架け橋」というテーマで話していこうと思います。
📚こどもがテーマの読書会
さっきまで、「こどもがテーマの読書会」というイベントに参加していました。ミト読書会というイベント団体がスピンオフイベントととして、「こども」をテーマに本の紹介をしたり、フリートークをしたりする場です。
ミト読書会さんの読書会にはずっと参加しようと思っていたのですが、なかなかタイミングが合わず行けずじまいでした。今日やっと初めて参加することができたのです。
しかも、ベストタイミングでした。
テーマが「こども」ということで、「こども」に関する本を紹介しなきゃいけないわけですが、今の僕のマイブームである「桃太郎」はまさに「こども」のための本であり、それを紹介する意味があるのです。
ということで、僕は『芥川龍之介の桃太郎』と『ふたりのももたろう』の2冊の絵本を紹介してきました。
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📚現代の桃太郎の絵本
以前の記事でもこれらの絵本に触れたことはありましたが、ちゃんと紹介したことがなかったので、一度整理しておきます。
『芥川龍之介の桃太郎』は、1924年に世に出た芥川龍之介の『桃太郎』という作品を絵本化したもので、出版されたのは2024年の1月末。つい先日です。
話の流れはおおよそ一緒なんですが、中身が全然違います。桃太郎が残虐非道の侵略者として、鬼が文化的な生活を送る平和愛好者として描かれるんです。僕がすごく印象的なのは、そんな非人道的な桃太郎を、芥川が最後に「天才」と呼んでいることです。
僕の大学の卒業研究は「芥川龍之介文学研究ーー『桃太郎』を中心に」という題目なのですが、そのなかで重点的に研究しているのが、「天才」という言葉でした。「天才」とは何なのか、どうして芥川は桃太郎を「天才」と呼んだのか、追求していったのです。
世界を別の角度から見ることによって、善悪とは何かについて議論することはできるし、「天才」の考察も白熱しそうなので、多世代の人たちで対話するきっかけにもなる絵本といえます。
続いて紹介したのが、『ふたりのももたろう』という絵本。桃から生まれた桃太郎と、鬼に育てられた桃太郎のふたりの桃太郎の物語です。
まず、普通にページをめくっていくと、よく知っている桃太郎の物語が展開されるのですが、最後のページの隅っこに「めくれるよ」と記されているんです。
なんと、この本、じゃばら構造になっているので、裏っ返すと裏の物語を読めるようになるんですね。これ説明するの難しいから、是非買って手に取っていただきたいんですけど、仕掛け絵本として魅力があるんですよね。
それだけではなく中身も面白くて、特に鬼に育てられた桃太郎がそう。自分だけが頭に角が生えていないことをコンプレックスに感じてしまい、鬼に慰められるシーンがあるんです。
桃太郎は、違いこそ自分らしさであることに気付くのです。
それ以降、それぞれの「好き」を大切にして尊重する場所にしようと、名前のついていなかった鬼の住んでいる島を「にじがしま」と名付けるんです。趣味嗜好価値観に絶対的に善悪は存在せず!全ては虹のようなグラデーションのなかにあるというわけです。
終盤、鬼退治をしにきたもうひとりの桃太郎が登場するのですが、にじがしまには悪い鬼はいないので、困ってしまうのです。物語の最後のページの隅っこ、今度は「考えてみよう」と記されており、ふたりの桃太郎はどうやったら仲良くなれるかについて読者に考えるように投げかけているのです。
『芥川龍之介の桃太郎』同様、『ふたりのももたろう』も、大人も子どもも分け隔てなく対話するきっかけづくりの役割を果たしているのです。
📚絵本は架け橋
これは絵本に限った話ではなく、どんな本も、今や対話のきっかけづくりの役割を果たしていると考えています。
それこそ、今日の読書会では、「こども」について対話するために、みんなで「こども」にまつわる本を紹介し合ったわけです。何もないところから語り出すのは難しいけれど、本が一冊でもあれば、そこから対話を始めることができます。
もちろん「読み物」としての機能はあるけれども、それだけじゃなくて、「きっかけをつくる物」としての機能が本には備わっていて、それを上手く活用していくことが、僕のように「本」の活動をしていく人の使命なんだろうなと思います。
ビブリオバトルとかまさにそうで、バトルとはいいつつも、キャッチコピーにもあるように、あのコンテンツの本質は、「人を通して本を知る。本を通して人を知る」なので、交流に重きが置かれているんですよね。
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絵本は、きっかけをつくる対象が子どもにまで広がるので、多世代に渡って対話するきっかけをつくることが可能です。おじいちゃんおばあちゃんが孫に本を読み聞かせる文化もあるように、絵本は子どもと大人が関わり合う架け橋なんですよね。
僕は今後も本の活動を続けていくつもりでして、本を通していろんな人と関わりたいし、そういう場所をつくっていきたいと考えているのですが、今日の記事で語ってきたような理由から、やっぱり絵本の存在を見て見ぬ振りはできません。
だからこそ。
僕は近いうちに絵本『桃太郎』を自分でつくりたいと考えているんです。
そんな話も、今度のイベントで物語っていくつもりです。今日の読書会の経験、そして、その振り返りがさらに僕の「桃太郎」熱を加速させました。最高の舞台に仕上げていきますね。最後まで読んでくださりありがとうございました。
20240224 横山黎