「本」は孤独を消してくれる。
ーー本をきっかけに始まるコミュニケーションってすごく健全だし、本が緩衝材になってくれるのでちょっとした不安やストレスを軽減してくれるんですよね。
人生は物語。
どうも横山黎です。
大学生作家として本を書いたり、本を届けたり、本を届けるためにイベントを開催したりしています。
今回は「本は孤独を消してくれる。」というテーマで話していこうと思います。
📚即興で本を紹介するイベント
一昨日、僕は本のイベントに参加してきました。「あなたのオススメの一冊は何ですか? ~本屋さんで、新たな感性と出会う~」というイベントです。
開催地は、東京都綾瀬駅の近くにある「あやセンターぐるぐる」のなかにある「Oasis」という本屋さんです。本の並びがいわゆる独立系書店のそれで、最近そういう場所を巡りがちな僕からしたら、見知っている本が少なくありませんでした。中にはカウンターもあり、ドリンクの提供もされています。
実は、2週間くらい前にオープンしたばかりのようです。コンセプトは「やってみたいを、やってみる」。「はじまり商店街」という会社のプロジェクトで、今回のイベントの主催は、その施設の周知も兼ねていたんですよね。イベントの冒頭ではイベント主催でもあり「はじまり商店街」代表の柴田さんから「あやセンター」の説明がありました。
その後、本のイベントが本格始動します。普通の読書会とは違い、自分で本を持参して紹介するわけではないんです。店内にある本から気に入った1冊を選んで、それを紹介するんです。読んでいるか読んでいないかは関係なく、どうしてその本を選んだのか、どんなところに魅力を感じるのか、伝え合うんです。
やってみるまでその良し悪しが分からなかったんですけど、やってみたらちゃんとイベントとして成立するし、面白かったんですよね。
そこで僕が思ったのは、やっぱり本って良いきっかけだなってこと。本をきっかけに始まるコミュニケーションってすごく健全だし、本が緩衝材になってくれるのでちょっとした不安やストレスを軽減してくれるんですよね。
📚本って良いきっかけ
かれこれ半年以上お世話になっているシェアハウスがあります。「はちとご」という場所なんですが、そこは家屋の一部をコミュニティスペースとして開放しているんです。まちライブラリーに登録しているので、図書館としても機能しているんですね。
はちとごのオーナーのはやぶささんの口によく昇るのが「本って良いきっかけだよね」という言葉。この節のタイトルはその受け売りなんですが、受け売りしたくなるほど共感できるんです。
はちとごの本の貸し借りは、全て「図書カード」と呼ばれる紙で行います。その日オープンしている当番(図書委員って言ったりする)が受付をするんです。借りる人の名前は何か、借りる本のタイトルは何か、借りる日はいつか、返却予定はいつか、所定の紙に手書きで記していくんです。
何が言いたいかって、そこには必ずコミュニケーションが生まれるってこと。
本を借りる人と図書委員の間でやりとりが生まれるんです。その本のこともそうだし、全く関係のない世間話を始めたりする。小さなコミュニケーションではあるけれど、本をきっかけに始まるそれがとっても魅力的に思うんですね。
📚本は孤独を消してくれる
21世紀最大の課題は「孤独」といわれています。
効率とか、利便性とか、現代を生きる僕らはついそういうものを追いかけがちだけれども、その先にあるのは、孤独、です。ひとりで全部済むようになってしまったら、ひとりで生きるようになってしまうのです、悪い意味で。
「速い」や「便利」を追求した果てには、「誰かとつながりたい」や「ひとりがさみしい」という新しい問題が生まれるのです。
きっとこれからは、どう孤独を解決していくのか、その課題と向き合っていく時代です。ひとりではなく、他人とどうつながって、どう関わって、どう孤独から遠ざかるか、考える必要があるのです。
一昨日のイベントの後半は交流会でした。そのときに主催の柴田さんとお話したんですが、「はじまり商店街」が目指すのは、「孤独を感じない場所づくり」とのことでした。
柴田さんはこれまで鎌倉を拠点にシェアハウスもゲストハウスもやってきて、カフェや家具屋とも関わりながら、コミュニティづくりに励まれたそうです。2018年に「はじまり商店街」をスタートさせてから、ひとりで年間200本のイベントを開催したらしく、社員やバイトも集まった今では年間300本のイベント運営を目指しているとのこと。
やっぱりそこには、これからの時代は孤独が深刻な課題になってくるし、ならばコミュニティづくりに力を尽くした方がいいという考えがあるんだと思います。
一昨日のイベントではほぼ初めましての人ばかりではありましたが、本好きの人、いつか本屋さんをつくりたい人など、もう一度会いたいと思える人とつながることができました。
イベントは分かりやすい例ではありますが、今後、孤独を消してくれる装置の価値が高まってくるといえます。はちとごの「図書カード」もまさにそれ。コミュニケーションが発生する装置なんですよね。
極論、本というもの自体、孤独を消してくれるものだと思っていて、それはひとりで楽しめるコンテンツだから(作者と対話できるから)という意味ではなく、コミュニケーションのきっかけをつくることができるからです。
本棚に持ち主の人となりが現れるというように、「選書」には個性があるんです。どんな本を借りるのか、どんな本を本棚に置くのか、どんな本をイベントで紹介するのか。その違いは、個性の違いなんですよね。
したがって、本を通して人を知ることができるんです。その本をきっかけに、コミュニケーションは自然と生まれ、関係を築くことができるのです。
📚読書会に参加しませんか?
ちなみに、一昨日のイベントで僕が紹介した本は畑野智美さんの『トワイライライト』です。コロナ禍を生き抜く女子大生が、「twililight」というブックカフェでの時間を通して成長していく物語です。
実はこの本、もう既に2回も読んでいて、最後に呼んだのはつい4日前とかでした。店内で見つけたとき、「あ、ちょうどこの前読んだしこの本を紹介しよう」と思い、手に取りました。
実は、「twililight」というブックカフェ、実在するんです。三軒茶屋駅から徒歩4分のところにあるビルの3階にあるんです。本のなかで描かれている通りの店があるんです。魅力的な本の並び、おしゃれなドリンク、屋上からの夕暮れ空……。読書に最適な居心地の良い陽だまりのような場所です。
偶然にも、今度僕そこで読書会をやるんです。それもあって、4日前に『トワイライライト』を読んだし、その翌日には打ち合わせをしに「twililight」に伺っていたんです。こんな偶然あるんだあと驚きつつ、この機会を逃すわけにはいかないと思い、ちゃっかり読書会の告知もしてきました。
本をきっかけに、孤独を消しませんか?
興味を持たれた方は、是非、以下の記事をのぞいてみてください。陽だまりのような場所でお待ちしていますね。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
20231116 横山黎