見出し画像

【前橋&高崎旅②】ここにしかないもの、自分にしかないもの。

――前橋と高崎を巡る小旅行の果て思うのは、「ここにしかないもの」や「自分にしかないもの」をみつめる意義です。


人生は物語。
どうも横山黎です。

作家として本を書いたり、木の家ゲストハウスのマネージャーをしたり、「Dream Dream Dream」という番組でラジオパーソナリティーとして活動したりしています。

今回は「ここにしかないもの、自分にしかないもの。」というテーマで話していこうと思います。

8月10日の土曜日、僕の敬愛するアーティストであるコブクロのライブに行くために、コブクロ好きの友達と一緒に群馬県を訪れました。せっかく群馬に行くから小旅行を兼ねようということになり、いくつか場所を巡りました。

ということで、前回に引き続き、前橋と高崎を巡った小旅行の軌跡をここに残しておきます。前回の記事を未読の方は、こちらからご覧ください。





③西洋亭 市 前橋店

前回の記事でも紹介した馬場川通りを訪れた理由は、前橋でまちづくりをしているひろしさんから紹介された店に立ち寄るためでした。「西洋亭 市 前橋店」というソースかつ丼の店です。

ちょうど昼時に前橋に到着する予定だったので、ランチはこの店にいこうとかねてから決めていました。ソースかつ丼はボリューミーで、そのうえどこか懐かしさを感じる味で、おなかも心も膨れました。

ただ、僕の満足度上げたのは、この店が本の場所だったという事実です。


ソースかつ丼


各テーブルにはそばの壁に本棚が設えてあって、読書にふけるという楽しみ方もできるのです。ひろしさんからはソースかつ丼がおいしいお店としか紹介されなかったので、まさか本のある場所だとは思ってもいませんでした。そんな背景もあり、僕はこの店をすっごく気に入るに至ったというわけです。

今度また前橋に来たときは、ここに立ち寄って、読書にふける時間を過ごせたらいいな。


本のある喫茶店だった


④本屋「REVEL BOOKS」

さて、メインイベントであるコブクロのライブは高崎芸術館という場所で行われます。ランチを済ませた僕らは、前橋から高崎へと車で向かいました。ライブが始まるまで少し時間があったので、高崎にある「REVEL BOOKS」という本屋に立ち寄りました。実はこの店も、ひろしさんが紹介してくれたんです。今回の旅は、ひろしさん様様です(笑)

ホームページを見てみると、店名に言及していました。

たとえ退屈な日常に閉じ込められていたとしても、本を手に取ればジュラ紀の森の様子からテクノロジーの最先端まで知ることができる、冬のロンドンで事件を解決したり、太陽が照りつけるアルジェリアの街を散歩したりもできる。立ち上がって本を取り、時空を超えて世界を自由に駆け回ろう、そんな意味を込めてREBEL=反抗と名付けました。

about – REBEL BOOKS

いやあ、こういうの、僕好みです。本とは、日常に反抗するための道具なんですよね。四次元ポケットといっても過言ではないほど、僕たちにいろんな景色を見せてくれるし、心を動かしてくれるし、時に人生を変えてくれる。摩訶不思議な秘密道具です。


REVEL BOOKS


「REVEL BOOKS」は、案の定、いわゆる独立系書店と呼ばれる本屋で、並ぶ本を見ながら「そうそう、こういう本があるよね」とにやにやしていました。

せっかくだし何か1冊本を買いたいなと思いながら店内を巡っていたら、レジの付近に置かれていた1冊の本が目に止まりました。クラインバウムの『いまを生きる』という本です。

店先に置かれた看板に描かれた青年の絵のモデルになったのが、この本のイラストらしいんです。次に添える写真とさっき添付した写真と見比べてみてください。「確かに!」となるはずです。その情報がポップに書かれていたので、思わず手に取ったというわけです。


『いまを生きる』


アメリカ版『君たちはどう生きるか』という言葉にも惹かれたし、あらすじを読んで僕好みの物語だと予感したので、僕はこの本を手にレジへ向かいました。

会計のとき、お店の人から「この本、まじでいいですよ」との声をいただきました。その人いわく「映画もおすすめ」とのこと。こんな風に、本をきっかけにコミュニケーションが生まれるのはどの町へ行っても同じことみたいですね。


⑤高崎芸術劇場

「REVEL BOOKS」を後にして、僕らは高崎芸術劇場へ向かいました。お待ちかね、コブクロのライブに参加するためです。

コブクロのことを語り出したら、1冊の本になってしまうほど長くなってしまうので、割愛しますが、とにかく好きなんです。

中学1年生のときにひょんなことから「ここにしか咲かない花」を聴き、「雨上がりの道を泥濘むけれど今ここに生きている証を刻むよ」という歌詞に衝撃を受けたあの日から、この歌が、自分の人生の道標になったんです。

毎年ツアーには参加しているし、日常的にもコブクロの音楽をよく聴いています。そんなコブクロは結成25周年を迎えまして、そのアニバーサリーツアーを開催することになりました。そのツアーの初日の日時場所が、8月10日、高崎芸術劇場だったのです。

次の写真以降、若干ネタバレが含まれるのでご注意ください!


コブクロのライブ


ライブに関して語りたいことは山ほどあるんですが、ここではひとつだけ。今回のツアーのセトリに、さっきも触れた「ここにしか咲かない花」があったんですね。このタイミングで、この曲を生で聴けたことに、僕は特別な感動を覚えたんです。

さっきも紹介した歌詞を受け、「どんなときでも自分らしく生きる」姿勢を持ち、学生時代を駆け抜けてきました。他の人がどう思うかよりも、まずは自分がどう思うか。それをやりたいなら、やる。やりたくないなら、やらない。自分の心の針が振れる方へ、命を運んできたんです。

時に迷いや不安に苛まれることもあったけれど、だからこそ出逢えた景色があるし、自分の生きる姿勢に誇りを持てるようにもなりました。

新社会人1年目から4ヶ月を過ぎ、教育学部を卒業しながらゲストハウスマネージャーとして活動するという異端な道を踏むことになったのも、およそ10年前、「ここにしか咲かない花」を聴いた衝撃に起因していると思うのです。

答え合わせをするように、「ここにしか咲かない花」が披露されて、コブクロのふたりの圧倒的な歌唱に、自分の人生を抱きしめることができました。生でこの曲を聴くのは初めてではなかったけれど、今回の歌唱がいちばん感動しました。


⑥スパゲッティー専科 はらっぱ 本店

ライブ後の興奮冷めやらぬなか、僕らは夕食を高崎で済ませることにしました。高崎といえばパスタ。僕らが向かったのは、「スパゲッティー専科 はらっぱ 本店」という店です。

正直、僕は友達に言われるまで、高崎はパスタが有名であることを全く知りませんでした。ということで、さらっと調べてみることにしました。

群馬は気候柄、二毛作で小麦がつくられており、小麦をつくった粉物の料理は古くから名物なんだそう。1968年、高崎パスタの原点とも呼ばれている「ジャンゴ」という店がオープンしたことを皮切りに、高崎はパスタの街としてブランド化していったのです。今や、人口当たりのパスタ店が最も多いといわれているほどです。

ボリューミーであることが特徴とされていますが、僕らの立ち寄った「はらっぱ」でも、確かに食べ応えのある量のパスタが提供されました。絶妙にピリ辛で、めちゃくちゃ美味かったです。


高崎パスタ


話をまとめていきますね。

前橋と高崎を巡る小旅行の果て思うのは、「ここにしかないもの」や「自分にしかないもの」をみつめる意義です。

「まちづくり」という文脈でも、「生き方」という文脈でも、それはいえることで、唯一性や個性、特異性を追求することは大いに意味のあることだし、むしろ必要なことだと思うのです。

古くからレンガの建物がよくつくられていたから名前入りのレンガを敷いた馬場川通りのように、小麦がよく取れることから高崎パスタをブランド化していったように、その街にある歴史や気候、文化をみつめて、新たな価値を生み出すことは、街を盛り上げるためには意識するべきことなのではないでしょうか?

観光客もその視点を潜在的に持っていると考えられます。この街に来たからには、この街ならではの楽しみ方をしたいと思うものです。実際、僕は高崎パスタを食べにいきました。

また、「REVEL BOOKS」で『いまを生きる』を購入したのも、「REVEL BOOKS」のロゴの元になったという本がそれだったから。この本屋さんに来たからには、この本屋さんで買う意味のある本を買いたいと思ったのです。


高崎といえばダルマも有名


そして、それは「生き方」にもいえることです。

自分の過去や強みをみつめて、今に活かし、未来を選択することで、自分に自分だけの価値が生まれます。一丁前に語れるほど僕は大した人間ではないけれど、僕は「自分らしさ」を念頭に生きてきたことで花開いた夢もあるし、見つけられた仕事もあります。

ここにしかないもの、自分にしかないもの。そういった視点で物事を見つめることで、より豊かな「まち」や「自分」をつくっていけるんじゃないかな

やっぱり旅はいいですね。いろんな刺激をくれる。また近いうちにどこかへ旅立ちたいなと思いました。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

20240812 横山黎



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?