この料理家のレシピが天才すぎる㉑東山広樹さん篇/高山惠
私はフリーライターとして仕事をするかたわら、夫と高校生、小学生の子どもとともに生活しています。ありがたいことに原稿などの締め切りに追われる毎日ですが、夜になるととりあえず仕事を切り上げ、台所に立って夕食をつくっています。
そんな自分にとって日々助けになっているのが、SNSなどでみかける「誰かが作った美味しそうなレシピ」。簡単で美味しそうなレシピをみつけては「いいね」を押して、いつでも確認できるようにするのがライフワークとなっています。
Xでの出会いは「たけのこ茹で方パーフェクトマニュアル」
私は2006年から2020年くらいまでさまざまな媒体を渡り歩きつつ、ほぼ毎年ラーメンの取材をしていました。もともとラーメンが大好きだったので、美味しいラーメンを味わうことができるのはもちろん、それを作り出す店主の情熱や神髄に触れることができる日々は本当に刺激的。ラーメンの数だけそれを作り上げた店主のこだわりがあり、その情熱にいつも圧倒されてばかりでした。1杯のラーメンはその店主が生み出す芸術品。私にとって美味しいラーメンを作り出す店主は、つねに尊敬するべき存在でした。
で、ここからが本題なのですが、実は2018年に汁なし担々麺専門店『タンタンタイガー』というお店を取材しており、その際に店主として対応してくれたのが東山広樹さんでした。東山さんのXのポストで、最初に「いいね」をしたのがこちらです。
糠不要でタケノコを美味しく茹でる「たけのこ茹で方パーフェクトマニュアル」。今年の春はタケノコが豊作で、タケノコを購入してはこの方法で茹でまくっておりました。長年タケノコは糠でゆでなきゃダメだと思っていたのに、なくても全然平気だったとは……。糠は手に入れる手間はもちろん、茹で終わったときに捨てるのも地味に面倒だったのです。おかげで一気にタケノコを茹でるハードルが下がりました。軽く下味もついており、これさえあればタケノコご飯が秒でできちゃいます。
しかしこの方がまさか6年前に取材したことがあるラーメン店の店主の方だとは、しばらく気が付きませんでした。
Cook Doでプロ級の汁なし担々麺が再現できる!?
そんな注意力のない自分でも、ある日さすがに見過ごせないポストが投稿されました。それがこちらです。
そこで初めて、私は東山さんがあの『タンタンタイガー』の店主だったことに気が付きました。そりゃ汁なし担々麺のプロですよ。そんな方が公開するレシピとは、一体どんなものなのかと思ったら、なんと味の決め手は味の素の「Cook Do」 (中華醤調味料)担々醤。普通にスーパーで売っている調味料です。まじかよ東山さん! と思いましたが、さっそく買いに行って作りました。
試しに作ってみたら、これが嘘みたいに美味しい。今、市販の中華調味料ってこんなにクオリティが高かったのか! まずそのことに驚きました。以来私はCook Do担々醤をつねに常備しており、麻婆豆腐や麻婆ナスの味付けにも使っています。この調味料プラス、東山さんのレシピにある手作りラー油などを加えると、本当に本格的な味付けになるんです。
その中でも私が感動したのが、こちらのレシピの中に出てくる「手作りラー油」。一味唐辛子とサラダ油を耐熱容器に入れてレンチンするだけというシンプルなものですが、これだけで出来立ての香り高いラー油が楽しめます。餃子に使ってもいいし、先ほどの麻婆豆腐に使ってもいい。いろいろなレシピに使えるので、私はもうラー油は買わなくなりました。そのかわり、一味唐辛子を袋買いするという今までにない行動をしております(笑)。
ちなみに同じラーメンレシピとしては、東山さんが中国に行かれた際に現地で食べたというまぜそばを再現したレシピがあり、これも本当に美味しかったです。
本当は刀削麺を使うレシピなのですが、手に入らなかったのでスーパーで売っている100円位の太麺で代用。しょう油と黒酢、味の素、ラー油(先ほどの手作りラー油を使います)、ニンニクという味付けが新鮮で、このレシピも本当にハマりました。
なんだかラーメンレシピばかり紹介してしまったのですが、普段東山さんが発信しているレシピはもちろんラーメンだけではありません。東山さんは現在、料理家としてさまざまなレシピ開発や飲食店のコンサル業、さらには会員制レストランの経営といった幅広いご活躍をされています。今年7月にはご自身初となるレシピ本『スーパーの食材で究極の家庭料理』(大和書房)を出版。和洋中に限らずさまざまな料理のレシピを公開されており、私はこちらも参考に日々料理を作っております。
それでも私がラーメンレシピに異様に食いついてしまうのは、やはり私が単純にラーメン好きだからでしょうか(笑)。こんなに美味しいラーメンが家で食べられるのは本当に幸せなことですよね!
(つづく)