認知症と糖尿病 血糖管理について
皆さんこんばんは。
前回に引き続き、認知症と糖尿病について続けて書いていこうと思います。
今回は主に血糖の管理方法についてです。
私が糖尿病を怖いと感じるところ
1.血糖のコントロールが上手くいかないことにより、低血糖が進むと命の危険に直結してしまうところです。
2.血糖コントロールが上手くいかないことにより、様々な疾患につながってしまうところ
でしょうか。
生活習慣の是正もありますが、1型糖尿病(先天的な原因で糖尿病になり、インスリンが全くでない状況になってしまう)などのように防げないこともあります。
今現在の糖尿病の薬剤としては内服薬とインスリン注射に大きく分けられます。
注射の場合、短時間で急速に血糖値が下がっていくため、食事直前に注射を打つことが多いです。また、人によってはインスリンを持続的に注射し続けることもあります。その場合は摂取した物と今までの血糖値の変動などから本人がインスリンの調整を行う必要が出てくることがあります。
持続的に注射し続ける場合は糖尿病についての知識が深く、食事療法にもある程度の理解と経験があり、器具の交換が行えることなどが条件になってくるかと思います。
様々な薬剤を使用しながら糖尿病は管理されるのですが、その目安となるのがHbA1cという血液検査の値です。
基本的に1か月に1回の周期またはそれ以上の間隔をあけての周期で採血する際に検査することが多いかと思います。
このHbA1cは大まかに言うとですが、「一ヵ月分の血糖値の平均」として見ることができます。
そして、これには大きく分けて3段階の目標値が設定されています。
1,HbA1cが6.0%未満 正常化を目指す値
2,HbA1cが7.0%未満 合併症を予防を目的とした値
3,HbA1cが8.0%未満 治療強化が困難な場合の目標値
そしてこれらの数値を目的として、治療を行う上で重要なこととして
1,運動 2,食事 それでもだめなら3,薬剤
を行っていくことになります。
さて、糖尿病のことばかりを話してきましたが、認知症のことも忘れてはいけません。
認知症である場合、糖尿病の目標値がやや変動されます。
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と上記のように目標とする値が変わります。
もちろん、あくまで目標の値であり、そこに個人の特性を考慮しなくてはいけません。例えば、他に合併症がある、糖尿病に罹患しての期間や理解度などです。
では認知症の話を少しだけ行います。
認知機能が低下することで様々な症状として、記憶障害などが出てきます。
それらにより、薬を飲み忘れてしまったり、時にインスリンが予定したものではない単位を注射してしまったりといったことが起こる可能性が出てきます。
では、これらの問題に対してどうすれば良いでしょうか。
一つは本人の認知機能に合わせて薬を内服しやすいように調整していきます。今は一包化(朝食後など飲むタイミングが同じものを一つの袋に入れてくれるサービス。ただし、緩下剤など別で分けておいた方が良いものがある場合は2包になることもある)をほとんどの薬局で行ってくれます。また、お薬カレンダー(薬局や100円均一などで購入可能)を併用することで、飲んだのかそうでないかを分かりやすくします。もともと本人が注意を向けられる方であれば問題ないですが、難しいようであれば周囲から援助の声をかける必要があるかもしれません。
2つ目はインスリン注射のみを他者が行うようにすることです。そのためにインスリン注射事態を長期型に変更し注射の回数を減らすことも必要になるかもしれません。本人以外に同居家族や訪問看護などの利用することで実施していくようにします。可能であれば血糖値も測定できると変動がわかり、より管理しやすいかもしれません。
3つ目は運動や食事療法を継続してもらうです。
認知機能が低下すると失敗することが増え、苦手なことが増えてしまいます。そうなると外出することが億劫に感じてしまい、自宅に閉じこもることが多くなってしまいます。できるだけ今まで行っていた外出(老人会の催し物やカラオケなど)を継続してもらうようにしてください。
そして、これらを調整することで時にベストの治療方法ではなく、管理が行えるのであれば多少緩くなってしまっても長い目で見ればその方が良いと判断されることがあります。
そのため、認知症と糖尿病を併せ持つ方は上記のようにHbA1cの目標値がややおおらかにしていることがあります。
認知症を持つ方にはやはり周囲の方のサポートが必要になる場面が多く、急な変化になる場合は特に順応することが苦手な方が多いです。
是非この記事を読んでいただいた方がそういったサポートを手助けしていただけると助かります。
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些細なことや、普段気になることなどあればコメントで教えていただければと思います。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
※更新頻度が空いてきてしまい申し訳ありません。
1月末にはおそらく以前の更新頻度に戻せるかと思います。