
Photo by
think_rabbit
🍎偏差値45の教員。先生になる
1時間目の「詩を味わう」の意味がわからず、文部科学省から出されている国語の学習指導要領を開いた。大学生のときに教職の授業で使うから買うようにと言われたが、一度も開いたことがなかった。
私が教える2年生の目標は、読んで感想を持って交流し合うことらしい。
そういえば、曙中学校に赴任する前に行った校長面談で校長から「曙中学校のとても学力は低く、学習調査の結果では国語の平均が46しかなかった。国語の教員として受け持つ学年の国語の学力を上げるように。」と、言われた。その、46という数字が何を表すかはわかないが、偏差値45ほどの無名大学出身の私からしたら別に良いやろ、という感じだった。
第一に、詩を読んで感想を交流させることが詩を味わうということに繋がるのも意味がわからなかったし、それで、学力が上がるというのも理解ができなかった。
学力を上げるには塾みたいに、問題と解説を繰り返した方が良いだろ、と思ったが指導要領によると、そういうわけではないみたいだ。
とりあえず文部科学省の言うことを聞くことにした。これで、50分持たせる。中々に厳しいものがある。音読もできるか不安だ。
辺りは暗くなり、窓の外では暗幕すっぽり包まれているようにグラウンドに引かれているラインが見えなくなっていた。
すっかり時間が遅くなり、職員室に残っている先生は教頭と青井先生と部活動を組みたく無いと陰で言ってきた松島先生だけだった。
そろそろ帰るか、と思い席を立った。カバンの中には、教科書を入れた。
後ろの3学年のまとまりに座ってる青井先生から、「帰る?私も今から帰るからさ、夕飯食べて行こう。」と誘われた。疲れたから断りたかったが、1人でも多くの味方が欲しくて承諾した。
明日で春休み終わろうとしており、土日を挟んだら始業式が差し迫っていた。