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ベルリン青染色と高校理科🧪未来へつながる学びの架け橋

病理学実習で「ベルリン青染色」を学び、高校化学で教えていた鉄イオン反応が医療分野で活用されていることを発見し、高校理科が未来につながる重要な基礎であると再認識しました。この記事では、ベルリン青染色の概要と高校理科(化学・生物)との接続性について解説し、理科教育の価値を共有しています。

皆様こんにちは🐰
病理学実習で特殊染色の一つとして「ベルリン青染色」に出会いました!
この染色法の原理を学んだところ…
実は高校化学にも登場する鉄イオンの反応が応用されていると知りました!
高校の先生として教えていた頃…
「ベルリンブルー」や「ターンブルブルー」は暗記項目として扱っていましたが…
それが医療分野で役立つなんて初めて知りました!
今回の実習を通じて「高校理科で教える内容が未来にちゃんとつながる」ことを再発見してとてーも感動しました🤣

この記事ではベルリン青染色を紹介します!
続けて高校理科(特に化学と生物)とのつながりを述べていきます!
高校の先生方が自信を持って「学校の理科が先の世界につながる事例」を知る手助けになれば嬉しいです🎁

ベルリン青 (Berlin Blue) 染色とは

ベルリン青染色の臨床的意義は主に体内の鉄代謝異常や鉄沈着を検出することにあります!
この染色法は病理学や血液学を中心にさまざまな診断で重要な役割を果たしています!

  • 鉄代謝異常の評価
     ベルリン青染色は,組織内の3価鉄イオン$${Fe^{3+}}$$ (主にヘモジデリン)青色に染めることで鉄の蓄積や欠乏を視覚的に確認できます.
    鉄過剰症 (ヘモクロマトーシス,ヘモジデローシス) や鉄欠乏性貧血など,鉄代謝異常が疑われる場合に使用されます.

  • 炎症性疾患アスベスト曝露の評価
    アスベスト小体など含鉄小体の検出にも利用され、肺疾患や職業性疾患の評価に役立ちます.

染色の原理

$${Fe^{3+}}$$フェロシアン化カリウム (黄血塩) $${K_4[Fe(CN)_6]}$$ と結合すると不溶性のベルリン青 $${Fe_4[Fe(CN)_6]_3}$$ (フェロシアン化鉄) が形成されて呈色します🧪

$$
4Fe^{3+}+3K_4[Fe(CN)_6]\rightarrow Fe_4[Fe(CN)_6]_3 +12KCl
$$

高校理科との接続を考える

高校生物で学ぶ「鉄」

高校理科「生物基礎」「生物」では鉄の役割が生命活動に関わることを学びます:

  • ヘモグロビンと酸素運搬
    ヘモグロビンに含まれる鉄が酸素を運ぶ役割を果たします.
    これが血液中での鉄の最も重要な役割の一つです.

高校化学で学ぶ「鉄」

高校理科「化学」で扱われる "鉄の性質や化学反応" を確認してみましょう:

  • 鉄の酸化還元反応
    鉄イオン ($${Fe^{2+},Fe^{3+}}$$) が酸化還元反応を示し,化学式や反応式を学びます.
    この性質が前述のベルリン青染色の化学的基盤になっています.

  • 鉄イオンの反応

    • 鉄 (II) イオンの反応
      $${Fe^{2+}}$$ を含む水溶液に,ヘキサシアニド鉄 (III) カリウム $${K_3[Fe(CN)_6]}$$ 水溶液を加えると,濃青色沈殿 (ターンブル青) を生じる.

    • 鉄 (III) イオンの反応
      $${Fe^{3+}}$$ を含む水溶液に,ヘキサシアニド鉄 (II) カリウム $${K_4[Fe(CN)_6]}$$ 水溶液を加えると,濃青色沈殿 (ベルリン青:紺青) を生じる.
      またチオシアン酸カリウム $${KSCN}$$ を加えると血赤色水溶液になる.

まとめ

病理学でベルリン青染色を学びながら…
高校理科で教えていた内容が臨床検査でこんなに生きてくるんだ!」と驚きと喜びを感じました🤩
理科の先生として教壇に立っていたころ「鉄」や「酸化還元反応」を無機工業の世界の暗記モノとして扱ってしまっていた過去を振り返り…
教える際の視点を広げる大切さを痛感しました🎊

高校の先生方へメッセージ

高校理科で教える内容は生徒たちが未来のどこかで必ず役立てられる「知識の種」です!
先生方が「今学んでいることが未来につながる」ということを自信をもって生徒に言葉で伝えることで,生徒の学びの意欲をさらに引き出せるはずです!
理科教師としての経験と医療や病理学とつながった私の気づきを皆さんと共有できれば嬉しいです!
これからも「学び続ける先生」として教育も医療も両方学び続ける視点を発信していきます✨

あとがき

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おまけ:鉄イオンの呈色反応を利用した実験教材の論文

松岡雅忠. (2023). 鉄イオンの呈色反応を利用した面白い実験. 化学と教育, 71(1), 16-17.

松岡 (2023) は,鉄イオンの特性を活用して視覚的に興味深い化学反応を観察できる授業実験を提案しています.

具体的な実験例は次の通りです:
①塩化鉄(III)水溶液とフェノール類の反応
②ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムとの反応
③チオシアン酸カリウムとの反応

期待される教育効果は次の通りです:
①視覚的効果:色変化が明確であるため生徒や初心者に化学反応への興味を喚起します.
②基礎知識の習得:鉄イオンの酸化状態や錯体形成について学ぶ機会を提供します.
③安全性:危険性が低い試薬を使用するため安全に実施できます.

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れいれい🌎学び続ける先生
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