見出し画像

23 悲しみが教えてくれたこと

大事な娘が自ら命を絶つという出来事は、これ以上の悲しみはないと断言できる悲しいことでした。これまで書いてきたように、娘の死に関わるさまざまな苦しみを取り除いても、悲しみが消えることはありませんでした。でもそれでいいと今は思っています。悲しみを抱えて生きていることが幸せだと思えるようになっているのです。

なぜなら悲しみがギフトだと知ったからです。悲しみが与えてくれた恩恵に気づいたのです。その一つが、忘れていた心の場所を思い出せたことです。

娘がまだ生きていた時の私は、本当に忙しく動き回っている人でした。仕事にボランティアに子育て、趣味、遊び、勉強に自分磨き!いつもアンテナを外に張り巡らせて活躍の場を求め、成長を求めていました。自己否定からくる不足感のために動いているなど気づきもせず、肩書きや見た目で武装して、いつも元気で明るい快活な人を演じていました。

でも娘が亡くなってしまった日から、私は何もせず、ただ悲しくて泣くか呆然と座り続けるだけの人になりました。悲しみのせいか、忙しかった日々の中では誤魔化していた、体の痛みも敏感に感じられるようになっていました。体に力が入っていない感覚、胸からみぞおちのあたりが常に押しつぶされているような感覚、泣き始めると胸の中心がぎゅうっと痛くなる感覚など、久しぶりに感じる体の感覚でした。

それらの体の感覚は、悲しみという感情が生まれる場所の在処を教えていました。どうにも制御ができないほどの悲しみは、心の場所と感情が湧き出てくる感覚を知らせました。家庭や社会でうまく生きていくために自分の感情を殺して生きていた私が、本当の自分の思いを知ることができる場所を思い出すことができたのです。

この深い悲しみを体験していなければ、残念ながら私は今も自分が何をしたいかも、何を幸せに思うのかもわからないまま、自分探しという名目で、今も忙しく動き回って、ますます自分を見失っていたと思います。娘がその生き方に終止符を打ってくれたのだと思います。

そして心で何を感じているかがわかるようになった私は、以前にも述べた通り、苦しいことをやめたり、無理や我慢をしているのに気づいたりすることができるようになったのです。そして娘が取り戻してくれた心の声を聞きながら自分がどうしたいのか、何をしたらいいのかがわかるようになり、こうしてnoteに書く自分を見つけているというわけなのです。

そして、悲しみが教えてくれたことの二つ目は、悲しみは、それだけ愛していた人と暮らせていたという証明だということです。もう既にたくさんの幸せを与えてくれていたから、悲しいのであり、自分が人生を捧げたい愛しい存在に既に恵まれていたということなのです。ならば後は恩返しをするだけなのです。

また、そのことを知れたことで、私の生き方は変わりました。もしも自分と関わりをもった人がこの世からいなくなる時、私はその全ての人の死をきっと悲しむでしょう。そうだとしたら、私はもう既にその人から愛を受け取っているということです。私と出会う全ての人がすでに恩返しの対象だと知っていると、いつでも感謝して生きていられます。それはとても幸せなことです。

そしてさらに言えば、自然と感謝したくなってしまう人生とは、見える全てが感謝したくなるものと言うこと。すなわち現実世界が、天国のような場所なのです。悲しみは裏返せば愛なのです。そして悲しいことがあったらそこには必ず愛があると知っている私は、何も怖くないのです。

確かに人が死んでしまうことは嫌なことではあります。でも人はいつか死ぬのです。その時に悲しくても後悔しない生き方があるとすれば、いつでも誰にでも「今」恩返しの気持ちで接することです。そしてその生き方は実は自分を幸せにする生き方だったりするのです。悲しみは愛の循環も生み出してくれるものでもあるのです。

他にもたくさん悲しみのおかげで愛を受け取っています。例えば悲しくて泣いていたおかげで、人に優しくしてもらったり、逆に悲しむ人の気持ちもわかるようになりました。他にも悲しい映画をみて自分を慰めようとしたら、新しい気づきに繋がるメッセージが込められていたり、悲しくて大泣きするのでお肌のためにガーゼのハンカチを作り出したのをきっかけに、ハンドメイドショップを開いたり・・・全て娘からのギフトです。

私は娘との別れの悲しみを思い出すたびに、自分の心の在処を確認しています。おかげでいつも心に従って生きることができています。人にとって自分の心のままに生きていられることほど幸せなことは他にありませんから、私は今とても幸せです。そして出会う人全てに自分をシェアできることが喜びです。

こんな生き方ができるようになったのは、全て娘の死をきっかけに気づかせてもらってきたからです。これからも娘への恩返しとして、気づきの全てをここに記していきたいと思います。




*Rayより読者の皆様へ*
いつもお読みくださりありがとうございます。
皆様のスキやフォローやコメントに励まされ、
私の体験した全てを勇気を出して書いています。
センシティブで、ダークな内容もありますが、
闇こそ光を一番見つけやすい場所だと思っています。
私の体験した闇があなたの光を見つけるヒントになれば幸いです。


☆遊びに来てください。
↓↓↓↓↓
アメブロは気分で書いてます。
https://ameblo.jp/angelily-ray

インスタ、Twitterも最近始めました(フォロバ100%)。
https://www.instagram.com/ray_angelily
https://twitter.com/ray_angelily

#自死遺族 #遺族 #死別 #絶望
#天国 #恩返し #悲しみ #一期一会
#note大学新入生  

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?